童話警察24時! お菓子の家に家宅捜索!
ここは深い森の中にある、お菓子の家。
子供を食べる老婆が住んでいる。
「すみませーん! すみませーん!」
乱暴に扉がノックされ、クッキーの扉に穴が開く。
そこからスーツを着たガタイの良い男が入って来た。
「なんだい⁉ 人の家を壊さないでおくれ!」
「童話警察です!
こちらに男の子と女の子がいますね?
隠しても無駄です」
「ちょ! 勝手に入るんじゃないよ!」
遠慮なく地下室へ向かう男。
牢に入れられた男の子と、その世話をする女の子がいた。
「見つけましたよ」
「この子たちは私の胃袋に収まるんだよ!
人の食料に手を出さないでおくれ」
「あなたに用はありません。
私が会いに来たのは……」
男は兄妹に令状を見せる。
「君たちはこの老婆を竈に入れて焼き殺そうとしたね?」
「「はい」」
「えええええええっ⁉」
兄妹の告白に白目をむく老婆。
「だめだよ……最近は描写に厳しい世の中だから。
もっとソフトに殺してあげないと」
身をかがめて女の子に視線を合わせ、優しく微笑む男。
「でも……どうやって?」
「例えば毎日の食事に塩をたくさん入れて、塩分過多で殺すとか。
脳血管障害を引き起こすリスクが跳ね上がるし、
老婆を葬り去るにはもってこいだよ」
「なんて恐ろしいことを教えてるんだい!」
さすがに我慢ならない老婆は文句を言う。
「今時、竈に入れて焼き殺す話なんて子供に見せられませんよ。
でも死因が塩分過多であれば、
実在するリスクを子供たちに教えることもできます」
「私が殺されるのは前提なのかい⁉」
「ええ、だってこれ、そう言う話ですから」
真顔でそう答える男に、老婆はうそ寒いものを感じる。
「あっ! いいことを思いつきました!
不摂生の危険性を啓蒙する話にしてはいかがでしょうか?
あなたがお菓子を延々と食べ続ければいいんですよ!」
「ええっ……」
「決まりですね」
それから男は老婆を椅子に縛り付け、動けなくした。
「これからお菓子の家を全てあなたに食べてもらいます。
体調を崩し、通院を余儀なくされる様子を物語にしましょう」
「こんな話、童話じゃないよ! サイコホラーだよ!」
「何をいってるんですか?
人を食べたり、焼き殺したりする話の方がずっとサイコです。
童話としてはこちらの方が適切です。
ではさっそく……あーん!」
「嫌だあああああ!」
老婆はお菓子を無理やり食べさせられ、体調を崩して入院しました。
偏った食生活を続けると生活習慣病にも繋がります。
食事は三食にわけ、バランスよくとりましょう。