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第3話 オモイショクザイと深紅の影

注文を受けて厨房に戻り、さらに奥の部屋へと向かい扉を開ける。そこには非常に低音の部屋で、皮が削がれた肉塊が大量に吊るされていた。その中から牛?や豚?のような肉塊などをある程度の大きさでカットして部屋から出る。その後冷蔵庫の扉を開けて玉葱やブロッコリーなどを取り出して調理台の前に戻った。


「さぁ、作りましょうか」

そう言って肉をミートミンサーの中に入れる。

「やっぱりお肉は牛4に豚3、■■3の割合が1番よね」

そう言いながらミートミンサーのハンドルを回し、合い挽き肉を作る。

その後玉ねぎをまな板の上に置き、玉葱に包丁の刃を通していく。


「玉葱の微塵切りは面倒だから先に薄切りにして細かく切ろうかな」

言った通りに玉葱を一玉微塵切りにしていき、それを小さじ二杯のオリーブオイルを敷いたフライパンに入れ、中火で炒めていく。


「塩を最初にかければ水分が飛んで時短になるからかけておきましょ」

玉葱が飴色になるまで炒め、マッシュルームを薄切りにし、今が旬の占地を細かく分ける。


その後ブロッコリーを塩茹でにしていき、茹で終わったら水を軽く切ってまな板の上に乗った茸と炒めた玉葱を別の場所に置き、六百グラムの合い挽き肉をミートミンサーから取り出してまな板の上に置いた。


合い挽き肉を捏ねる前に小さじ一杯の塩とナツメグ、大さじ一杯のウスターソースを合い挽き肉にふりかけ、その上に卵を2つ入れて合い挽き肉を握るように、満遍なく下地がつくように練っていく。


そこにパン粉と先程炒めた玉葱を半分入れて粘り気が出るまで練っていく。

「こうした方が形が崩れないし肉汁も逃げなくなるんだよね」

濃いピンク色になったら練るのを止める。その後手にサラダ油を塗り、練った合い挽き肉を手に取って形を整えながら空気を抜いていき、小判型の形に整えてゆく。


その後熱していないフライパンの上に小判型にした合い挽き肉凹ませずに乗せ、片面二分を目安で中火で焼いていく。

両面に焼き色がついたらバター10gと先程切った茸を投入し、軽く炒める。炒めた後は赤ワインを100ミリリットル入れて蓋をしてアルコールが飛ぶまで煮詰めていく。


その間に人参、玉ねぎ、ベーコンを一センチ間隔で切り、深鍋にオリーブオイルとバターと共に入れて強火で炒める。

「わざと焦がせばソースにコクが出るからいいんだよね」

その後深鍋に赤ワインを二百ミリリットル入れて焦げを削ぎ落とすように混ぜながらアルコールを飛ばしていく。その後、市販のデミグラスソースと少量の水を投入し、十五分ほど煮込み、湧いてきたら弱火にして十五分ほど煮込みその間に煮込んでいたハンバーグが乗ったフライパンの火を止めて余熱で温める。


ソースが煮込み終わったらザルで丁寧に濾していき、濾し終わったら七十パーセントの板チョコと塩胡椒、ケチャップを入れて味を整える。その後ハンバーグが乗ったフライパンに先程のソースと生クリーム50ミリリットル入れ、蓋を閉めて煮込んでいく。途中でフタを開けてとろけるチーズと塩ゆでにしたブロッコリーを入れ、再び蓋を閉めて煮込む。


蓋を開けてハンバーグと野菜を皿に移し替え、フライパンに乗ったソースをハンバーグにかけて煮込みハンバーグが完成する。

「ふぅ…完成だね。あとはこれを持っていくだけかな」

ワゴンに料理、料理の皿の上にクロッシュを乗せて、料理人は客の元へ料理を運んで行った。




注文をしてから師匠と会話をして料理が来るのを待つ。しばらくするとこの店のオーナーであるマステア・ハイリンヒが料理をワゴンに乗せて運んで来て、蓋がされた料理を目の前に置いた。

「お待たせしました、こちらが煮込みハンブルクでございます。どうか美味しく頂いてください」

そう言いながら蓋を取る。


「うわぁ!いつ見てもすっごく美味しそう!」

ハンバーグにナイフを刺し込む。その瞬間、切り口から肉汁が湧き水のように溢れ出てきた。

「相変わらずものすごく肉汁の量だな。一体どうやってここまで仕上げたんだ?」

それを聞くと、マステアは手を口元に持ってきてクスリと笑い問に答える。


「強いて言うなら空気を抜くことを根気強くやることですかね。回数でいえばそうですね…二十回は最低でもやるといいですね」

「なるほどな。参考にするよ」

切り分けたハンバーグを口の中に入れる。

ソースの芳醇な香りと濃厚な味、そしてハンバーグの肉の味と肉汁が口の中に広がる。


ハンバーグを1度噛む。すると口の中で肉汁が更に増しハンバーグの味と中の玉葱の味とソースの味が歯車のように噛み合う。更にハンバーグを噛むとその噛み合わさった味が噛む回数に比例するように増していく。これが俗に言う美味しいというものだ。

「んん〜〜美味しい〜〜♪♪」

「……美味い」

私たちは満足げな顔をしてハンバーグを食べ進める。

「美味しそうに食べてくれて嬉しいです!腕によりをかけて作った甲斐がありますね。いっぱい食べてくださいね」

その言葉に甘えて私達はハンバーグを美味しく食べて至福のひと時を過ごした。


「ふぅ…美味しかったぁ~」

至福のひと時を堪能し終えて一息つく。

少し時間が経つとマステアが何かを持ってこちらにやって来た。


「私事なんですけど…アイスを作ったので食べませんか?もちろんお金はいただきませんよ」

そう言いながらアイスを見せた。

「いいんですか?師匠、無料みたいですし食べましょうよ」

眼を輝かせながら言う。

「丁度アイスが食べたいと思っていたからありがたく頂こうかな」


そう聞くとマステアは嬉しそうな笑顔でお辞儀してアイスを2人に差し出す。

「わかりました!ではこちらをどうぞ。空いたお皿は持っていきますね」

そう言ってハンバーグが乗っていた皿を持って厨房へと歩いて行った。

貰ったアイスを口に運ぶと、シャリっとした食感とヒンヤリとした冷たい温度、濃厚なバニラの味が口の中に広がり、幸せな時間を過ごす。


「さて、そろそろ帰るとしようか」

「そうですね、今日は一段と疲れましたよ」

欠伸をしながら二人は席を立ち、会計を済ませに向かう。

「あら、帰るんですか?」

「あぁ、ずっと居座るのも悪いからね」

「アイスの味はどうでした?美味しかったでしょうか?」

「凄く美味しかったよ、ハンバーグの後に食べたからか分からないけどさらに美味しく感じたね。やっぱりマステアちゃんの料理は本当に美味しいよ」

「ありがとうございます。これなら新しくメニューとして出せそうです」

そんな会話をしつつ会計を済まして店を後にして自宅へと向かって行った。







夜が深くなり街が眠りにつき、街灯の明かりと夜空の輝きが静かな夜を照らす。そんな中、眠る街に1つの足音がカツンカツンと鳴り響く。

「久しぶりに目が覚めたから外に出てみたが…()()()()()()()()()()()()()()()()じゃねぇかよぉ。まぁいつもの事だがイライラすんぜぇ」

男の独白は虚しく路地裏に響く。

しかし、それを遮るかのように男の正面から不安定な足音がした。男は舌打ちをしつつその先を見ると、千鳥足の男2人がこちらに迫ってくる。苛立ちながら酩酊状態の男達の横を通り過ぎようとするが、偶然にも方がぶつかってしまった。


「ひくっ…どこ見て歩いてんだァ小僧…ひっく…ガキはさっさと家に帰ってママの…」

遮るように男は足を踏み鳴らす。その直後、近くで破裂音と悲鳴が聞こえる。酔った男が破裂音と悲鳴がした方向を見ると隣にいたもう1人の男が居らず、代わりに一つの大きな血溜まりが出来ていた。酔った男は酔いが覚めたかのように悲鳴を上げる。

「クソジジイ、てめぇ今なんつった?」

その悲鳴を遮るように男は言った。

「た…助けてくれぇ!」

「耳障りな声で叫ぶんじゃねぇよ、イライラすんだろうが」


そう言って再び足を踏み鳴らす。すると大量の赤い棘が酔った男の全身を貫いた。酔った男は悲鳴を上げる間もなく息絶えてその場に倒れ込んだ。

「雑魚のクセに粋がんじゃねぇぞ」

男は血溜まりの上で高笑いをする。しかしその後ため息をついた。

「泥酔野郎の血なんざ不味くて飲めやしねぇ…殺し損かよ、ほんとイライラすんなぁ」


男は深紅の髪を掻きむしりながら眠る街を徘徊し、深紅の影はじわりじわりと水無水市のネオン街(ものがたりのぶたい)に這い寄る。

「さぁ今回はどんな強敵(ヤツ)がいるんだろうなぁ。考えただけでワクワクすんぜ」

数多の作品の中から私の作品を見てくださり誠にありがとうございます。


煮込みハンバーグを作るだけで原稿用紙3枚と半分の程の量を書いていたとは気づきませんでしたw

お肉の割合は牛と豚を6:4にしてこの通りに作れば本当に美味しい煮込みハンバーグを作ることが出来るので是非作ってみてはいかがでしょうか。


小説で飯テロのような事を書く予定でしたが中々難しいですね…


今後も応援してくれると嬉しいです。

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