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ヒレイスト物語  作者: 瑛
第2部 第3章 ”変化”と
90/176

24-2

だが、その考えは扉を開けた瞬間間違いだったと気付く。



「何してるの?ほら、行くわよ。」



シェーンは扉の前で待っていた。それに使用人がちらほら視線に入ってくる。さっきの音を心配してきたのだろうか。というか使用人の視線が痛い。それなのに、シェーンはゆっくりと歩を進め、それも俺にぴったりとくっついて歩く。


俺だけスペードをあげるのは許されないような気がする。それに俺には選択しなどないに等しい。どちらにしようが視線が襲い掛かってくるのだから。だが、一個だけ抗える点がある。



「あの、シェーン様少し離れて歩きませんか?歩きにくいでしょう。」



「そんなことないわよ。・・・それともビスは私が近くにいるのが嫌?」



そんな言葉をはき捨てた。上目遣いでこちらを見ながら。



「い、いえ、そんなことは。」



視線を外し、そんな言葉が出てしまった。



「じゃあ、このままでいいわね。」



そう言うと、腕を絡めてきた。なぜか辺りから黄色い声が沸き起こっているような気がするが、気のせいだろうか。というかこのままではない。むしろ悪化している。


・・・今頭の中であらぬことを想像してしまった。まさかな。俺をからかいたくてしているだけだ。この状況を変えることは出来ないが、せめてシェーンの思惑通りにならないように、気持ちを静め、平静を装う。



「そうですね。このまま行きましょう。」



笑顔を貼り付けそう言った。もちろん視線は合わせずに。



「ふん。・・・」



鼻を鳴らした後、何か言ったような気がするが、聞こえなかった。



「何か言いましたか?」



「何も言ってないわよ‼」



俺が慌てないことが癪に障ったのだろう。きっとそうだ。俺の勝ちだな。・・・何を争っていたんだっけ?




そのあと会話はなかった。ただ、笑顔は忘れていない。チクチクと視線が刺さってくるがそこだけはやめなかった。


おそらくシェーンも笑顔を張り付けていることだろう。ただ、周りの声が黄色いものではなく、色々な色が混じったものになっている。それでも、俺はシェーンの顔を見る勇気は出なかった。


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