19-2
「なんだ、リベさんか。」
安堵の声が出てしまう。
「”なんだ”って何よ。失礼ね。ほら夕飯持ってきたわよ。」
「ありがとうございます。・・・というかベルがいるならいるって言ってくださいよ。人の気配がしたから一瞬ビビっちゃったじゃないですか。」
「あら?言ってなかったっけ?」
これはわざと言わなかったな。まあ、いいか。ここで怒っても何もならないし、それでチャラになるならお安いものだ。
「はあ、まあいいです。」
「それより中の様子はどう?」
リベも気になっていたようだ。平静を装っていたが、内心穏やかではなかったみたい。その言葉を発する時語気が少し強くなったように感じた。
「たぶん、大丈夫だと思いますよ。仲直りは成功していると思います。」
そういうと肩を小突かれてしまう。
「だったらこんなところで突っ立ってないで早く入りなさいよ。紛らわしい。まったくビスは考えすぎなのよ。」
そういうものなのだろうか。俺はなんとなく謝ってしまった。
「す、すみません。」
リベは俺の言葉を気にすることなく軽々と扉を開けて中にズンズン入っていく。勇ましいというかなんというか俺には真似できない。でもだからこそ助かった。俺も慌ててリベを追うと二人は呆然としていた。そりゃそうか。無遠慮にずかずか入ってくる人が突然やってきたらな。
「ほら二人ともご飯よ。ぼーっとしてないで手伝って。」
二人はリベの声と聞いて慌てて動き出す。二人の頬には薄っすらと線が浮かんでいた。
そのあとは、リベを除いた三人でご飯を食べた。宿は盛況のようでまだ忙しいようでご飯を置いたらリベはそそくさと下に戻ってしまう。残された三人は一斉にその言葉をいった。
「いただきます。」
久しぶりに笑顔に包まれた食事だった。
食事の後は3人で遊んだ。1時間ぐらいだろうか。それぐらいでベルは眠くなってくるのか目が閉じかかっていた。
「ベルそろそろ遊ぶのやめるか。」
「やだ、まだ遊ぶ。」
ベルが珍しく駄々をこねている。さてどうしたものか。するとモルテが手を差し伸べてくれた。
「じゃあ、お兄ちゃんとお風呂で遊ぼう。ほら行くよ。」
モルテはベルの手をひっぱりお風呂に連れて行く。
「うん‼」
モルテはうまく誘導している。そういうところは敵わないと思う。俺は部屋に一人取り残された。まあ、風呂と言っても部屋のなかにあるんだけどな。そう感じるぐらい静寂に包まれていた。この後のことを考えると気が気じゃない。気を紛らわせるために剣の手入れをする。剣を見ると小さい傷が目立つ。そういえば昨日手入れをするのを忘れていた。
「昨日はいろいろあったからな。それにシェーンも手加減しないし。」
ブツブツ言いながら、作業をする。傍から見たら危ない人だろう。剣を片手にブツブツ呟いているのだから。そう思った時には遅かった。
「ちょっとビス、怖いこと考えてないでしょうね⁉」




