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ヒレイスト物語  作者: 瑛
第2章 ”別れ”と
53/176

幕間



自室から玉座に戻る途中ヴァイセと雑談をしていた。

行く先々で部下たちがお辞儀をしてくる。そして軽く挨拶を交わす。



「魔王様、おはようございます。ヴァイセ様も」



「ああ、おはよう。」




「そういえばあの件はどうなっている。」



ヴァイセは首を傾げた。



「あの件とは何ですか?」



「ほらあの、なんだ。チャイルとの件だよ。この間喧嘩をして愚痴ってきたではないか。」



その時もいや、それ以上の形相で私の部屋にやってきた。



「あー。あの件ですか。もう仲直りしましたよ。

チャイルが謝ってきてくれたんです。それにこれをプレゼントしてくれたんです。」



そういうと、必死に背伸びをして首元をアピールしてくる。

どうやらネックレスをプレゼントされたらしい。



「お前は単純でいいな。」



「何か言いましたか?何か馬鹿にされたような気がしました。」



別に馬鹿にしていないのだが、むしろそれが羨ましいとすら思ってしまう。



「お前らは仲がいいなと言ったんだ。」



ヴァイセは体をくねらせる。



「なんだ。そういったんですね。それ程でもないですよ。」



「んっ、んっ。」



咳払いをすると、何かわかったのかくねくねするのを止めた。



「それより、喧嘩するたび私の部屋に飛び込んでくるのはやめてくれないか。

いつもいつも心臓に悪い。他に話す相手はいないのか?」



「申し訳ありません。その、話せる相手が魔王様しかいないんです。

断じて、仲いいものがいないわけではないんですよ。

ただ、私はこの見た目ですから、弱みを見せて舐められるわけにはいかないんですよ。」



ヴァイセにも思うところがあるのだろう。



「はあ、まあ今度からは時間を考えてくれよ。

毎回夜中に叩き起こされてはこちらの身が持たない。」



「はい、承知しました。」



目を輝かせて言っていた。



「そうだ、魔王様はいい相手いないんですか。」



まずい。変な話題になってしまった。どう切り抜けようか。



「いないよ。それに私はそういうことはいいんだよ。」



「そういうわけにはいきませんよ。魔王様が良くても周りが気になります。」



「そう言われてもな。私はそういうことに疎いんだ。それに今考えている暇はないだろう。」



これで切り抜けられるだろうか。



「ダメです。考えてください。」



ダメだった。



「それにチャイルに疑われるです。その、私たちの関係を。

それが私たちの喧嘩の大抵の理由だったりするんです。」



これはいい。この策でいこう。



「私たちの関係ってどんな関係だ?」



「言わなくてもわかるでしょう。」



「うーん。いくら考えてもわからない。教えてくれ。それも具体的に。」



ヴァイセは言いづらそうにする。




「もう、魔王様わかって言ってますよね。




あの、その・・・・・・手を繋いだりとか?」



恥ずかしそうに言葉を発した。どれだけ初心なんだよ、と思ってしまう。笑いが漏れてしまう。



「ぷっ。そうか、手を繋いでいる関係か。それはまずいな。そう思われないように善処するよ。」



というか、その一端はヴァイセにあるのではと思ったが飲み込む。



「お、お願いしますね。」



ちょうどよくチャイルが現れる。



「お疲れ様です。魔王様。」



「おお、チャイルか。元気そうで何よりだ。」



「お仕事ですか?」



「ああ、そんなとこだ。ああ、それと、」



私はチャイルの耳に顔を近づける。



「私とヴァイセはお前が思うような関係ではない。

それと、ヴァイセのこと悲しませるなよ。そんな事したら、わかるよな?」



語気を強めて言う。



「は、はい。承知しました。」



「それじゃ、チャイルも仕事に励むように。」







チャイルから離れてから、ヴァイセに話かける。



「直接言ってやったから大丈夫だろう。」



「いや、何を伝えたのか分かりませんが、

チャイルの様子を見ると、他のところを問い詰められそうです。」




その言葉を聞いて確かにと思ってしまう。済まないヴァイセ。




「そんなことはないと思うぞ。」



溜息をついている。




「はあ、そういうことにしておきます。」



よし、これで切り抜けられた。







「そうだ、幹部たちはもう集まっているのか?」



「ええ、他の者に伝えるようにいっていましたので、

すでに集まっていると思います。

ただ、あの方たちはマイペースなところもありますので、絶対とは言えません。」




癖もの揃いだからな、当たり前だ。



「まあ、集まっていなかったら、それはそれでいい。

別に問題はない。来ていなかったらあとで伝えておいてくれ。」




「承知しました。」





玉座の前に着いた。扉を開けると、珍しく全員集まっていた。

そして私が来たのがわかると、全員片膝を付いた。玉座に目を据えて言う。




「珍しいな。お前たちが全員揃っているなんて。」



幹部の中の一人が言う。いつもこないやつが。



「本当ですね。こんな珍しいことがあるんですね。」



こいつを除いてここにいる全員が思っただろう。



「お前が言うな‼」と。



私は椅子に座る。隣にはヴァイセが立っている。







「さあ、始めよう。侵入者を排除するための会議を。」



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