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ヒレイスト物語  作者: 瑛
第2章 ”別れ”と
33/176

8-2


どれぐらい歩いただろう。足が鉛のように重くなる。



「大丈夫か。もう少しで着くからもうちょっと頑張れ。」



ディグニに声をかけられる。”だらしないわね!”なんて声が飛んでくると思ったけど、

そんなことはなかった。それが不気味で仕方ない。

ディグニは時々後ろの様子を確認してくるし、クラフトは何だかソワソワしていた。



「シェーン様。もうちょっと抑える努力をしてください。」



ペルがとうとう触れてはいけないものに触れた。それも、ストレートしかも剛速球で。



「え?何のこと?私何かしたかしら。」



ペルの言葉に覚えがないのかシェーンはキョトンとしている。



「はあ、シェーン様足は大丈夫ですか?」



「え、ええ。まだ歩けるわ。ねぇ、それより、さっきの言葉は何だったの?」



「さっきの言葉とは何ですか?」



ペルが分かりやすくとぼけている。意地でも答えないつもりらしい。



「ぐぬぬぬぬ!もういいわ。こうなったら絶対話してくれないんだから。」



二人にとってはよくあることなのだろうか。シェーンはすぐに食い下がっていた。

それにさっきまでの雰囲気は和らいでいた。






城門に人影が見えた。その人は、大きく手を振って近寄ってくる。



「おおーい!」



「ツァール兄様は、もう。王様自ら出向かいにきてどうするのよ。それにあの大声。」



シェーンは愚痴っていた。



「お久しぶりです。ツァール様。」



「おお、ディグニ。よく来てくれた。おっ。君がビス君だな。宜しくな。」



ツァールの勢いに押されてしまう。



「う、うん。宜しく。」



そのあと、ツァールはみんなに一言ずつ声をかけていた。



「おお、クラフト。家族には挨拶できたか?」



「はい。充分に。」



「そうか。それは良かった。早くお前の家族がこっちに来られるように俺も努力するよ。」



「ペルフェットも見ない間にまた一段と綺麗になったなぁ。嫁に来ないか。」



「御冗談を。でも、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいですよ。

・・・あっ、それと嫁になることは丁重にお断りします。

私には心に決めた方がいますから。ふふふ」



「あははは。そうであったな。残念だよ。」



「シェーンもよく来てくれたな。道中疲れただろう。」



「そうなんです。ツァール兄様。

足が鉛のように重くなってしまって。どこかで休憩したいですわ。」



「そ、そうだな。とりあえず城の中に入ろう。こっちだ。」



シェーンの言葉を聞いて、ツァールは僕たちを城の中へと案内する。

気さくな人だな、と思うと同時に、モーヴェ王国の王様とは全然違うなと思ってしまう。






ツァールに客室に案内される。



「疲れているところ済まなかったな。ここで休憩してくれ。」



部屋は、僕とディグニ。シェーンとペル。クラフト。の三つに分かれた。



「ツァール兄様。二人で少々お話がしたいのですが、宜しいですか。」



「ああ、それはもちろん。いいが、足はいいのか?」



「ええ、もう治りましたわ。」



「そ、そうか。じゃあ私の部屋で話そうか。」



シェーンはツァールのあとを着いて行った。



「先を越されてしまったか。」



「まあ、いいじゃないか。兄妹で積る話もあるのだろう。

俺は他の傭兵たちに挨拶に行くが、ディグニ。お前はどうする?」



「俺も着いて行きます。ちょっと探りたいこともありますし。」



クラフトとディグニもいってしまった。この場に僕とペルしかいない。

ペルは何かすることがあるのか部屋に入ろうとしている。僕はペルは呼び止めた。

聞くなら今しかないと思ったからだ。



「ペル、ちょっと待って。」



ペルは足を止めてこちらに向きなおる。



「どうかしましたか?ビス様。」



「あの、その、城門で言ってたその・・・」



ペルは屈んでこっちをじっと見てくる。



「・・・心に決めた相手って誰?」



意をけっして僕はペルに聞いた。



「ああ、そのことですか。それは・・・ふふ。内緒です。」



人差し指を口に当ててそう言った。






いつの間にかペルは部屋に入っていて、

廊下には僕以外だれもいなくなっていた。


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