6-3
ビスと別れた後、今日起きたことを聞いた。
「フィロ王子が⁉」
「ええ、タドと一緒に国を出たようです。」
ものすごい行動力だ。しかし、なぜ?と疑問が湧く。
「昨日王と何やら話し込んでいたご様子だったので、王が何か知っておられるかもしれません。」
玉座に着くと王はあまり慌てている様子はなかったが、腕を組み仁王立ちしている。
「おう、やっと来たか。」
「申し訳ありません。道が混んでいたもので。」
なんだかデジャブを感じる。
「いや、怒ってはいないのだが、まあ良い。早速だが、今起こっていることは知っているか。」
「はい。ルトさんから伺っています。フィロ王子が国を抜け出したとか。」
「そうだ。行先の予想は大方ついているのだ。フィロは、レーグル王国に向かおうとしている。」
王様は一呼吸おいてその理由を話した。
「昨日フィロがレーグル王国に行きたいと申してきてな。ツァールの役に立ちたいと。
私は反対した。仲が良さそうに見えるが、あの二人の相性は非常によくない。
なんでここまで極端なのかと思うほどに対局にいる存在だ。
それにフィロは何でも器用にこなすから、ツァールは負い目を感じていた節があった。
そのフィロに慕われていたのだ。
相当のプレッシャーがかかっていただろう。だから反対したのだ。そしたらこの有様だ。」
「王のせいではありません。フィロ様は決めたことはよっぽどのことがない限り曲げない性格です。誰かに似て。一応王の考えを聞くために話をしたのでしょう。無断で出たところですぐ知られることになると考えたのだと思いますよ。」
これは王をフォローしているのだろうか。
「それはわかっておる。だからそのあと見回りを増やしたのだ。
それでも出ていきよった。誰にも気づかれずに。」
「フィロ様に一本取られましたね。もしくは・・・」
ルトさんが何か勿体つけて言う。
「はあ、話を戻そう。フィロの件はまだ国の中に潜伏している可能性もあるため警戒中だ。
抜け道の捜索も同時並行で行っている。ここからが本題だ。
昨日話した捕虜から情報を聴き出してくれ。外の様子が気になる。
今すぐに外に出るのは危険だと判断した。宜しく頼む。」
要は情報を聞き出さないと前に進まないことを案じている。
それと、王様は最悪の事態を想定しているのがわかる。親として複雑だろう。
「畏まりました。」
俺は身を翻す。その場所へと向かう。道は体が覚えている。
そこに着くと入り口には傭兵が二人立っていた。
「「お疲れ様です。」」と声をかけられる。
「ああ、」と返事をし、扉を開け、階段を降りる。
コツ、コツ、コツ。その音とともに心を徐々に捨てていく。
光のない世界へと足を踏み入れた。
次話に残酷描写があります。次話を飛ばしてもなるべく話が繋がるようにしてあります。苦手な方は、飛ばしてください。




