34-1 どうでもいい
モルテは少しあそこにいたいということだったので、一人でアシオンたちのほうに戻ってきていた。
「おい、何やってるんだ?」
「さっきも言った通りバカにわからせているとこですわ。」
うん言ってた、言ってけれども。まさか実力行使でわからせるとはだれも思わないよな。今メイユはアシオンに四の字固めをしていた。それにしても、そんなんでアシオンが折れるだろうか。
「わ、わかった。俺が悪かったから。やめろ。」
案外簡単に降参するものだ。
「ふん。わかったならいいですよ、わかったなら。」
そう言うとアシオンから離れ俺に近寄ってくる。その途中アシオンが”はあ、腕が取れるかと思った。”と言っていた。そんなにきつかったのだろうか。それにしても、アシオンなら簡単とは言わないが抜けられると思うが。その答えはメイユが俺の耳元で言ってくる。
「あのバカ。内心わかってるのよ。でも、言った手前意地になってたの。だから言葉で言っても無駄なのよ、絶対に反発してくるから。まあ、ビスが来てくれて助かったわ。来なかったらまだ、やってたかもしれないわ。ふふふっ。」
納得はしたが、最後の方怖いことを言っていた。もしかしたら本当にアシオンの腕が取れていたかもしれない。俺が早く戻ってきてよかったなアシオン。言葉には出さないが心の中でそう投げかけた。それに、あの事がもう信じられないのでカマをかけてみる。
「まあ、理由はわかったが、親に向かってバカ連発は良くないんじゃないか。」
そう言うと、二人はポカンと口をあけ、一瞬固まっていた。
「ははははっ。まさかまだ信じてるとはな。それより、モルテのやつはどこにいる?」
やはりというべきか。ただ、バカにされたみたいで癪に障る。何か言い返してやろうと思ったがこのままの方がスムーズに進むと思い、質問にだけ答えた。
「モルテはあっちだよ。少しひとりでいたいようだ。」
「そうか。じゃあ、きたら話す。それまで・・くくくっ。待っててくれ。本当のこと話すから。いいよな、メイユ。」
「ええ、もう意味がないでしょうしね。」
メイユはなんとなくわかっている気がするが、アシオンは俺がまだ騙されていると思い笑いが止まらないらしい。
「メイユ。お願いがあるんだがいいか?」
「何?できることなら何でも聞いてあげるけど。」
俺はメイユに耳打ちをする。アシオンに聞こえないように。
「・・・」
「おい、なんだよ、二人して。また仲間外れかよ。」
俺のお願いを聞き終わったメイユは口角を上げ、無邪気な顔をこちらに向けてくる。
「なんだ、そんなこと。お安い御用ですわ。」
そう言ってメイユはアシオンに向かっていく。仲間に入れるために。
「アシオン心配するな。仲間はずれにはしないから。むしろ俺の方が仲間はずれかもな。」
「な、なんだよ。その含みのある言い方。言いたいことがあるならはっきり言えよ。・・・て、いててててて‼」
アシオンが俺に視線を変えた瞬間、メイユはアシオンの視界から消えるように動いていた。そして、懐に忍び込みさっきと同じことをしたのだ。
「やめろ、メイユ。仲間外れでもから、な。ていうかやめさせろ、ビス。」
「そんな悲しいこと言うなよ。仲間外れにはできないだろ。」
「こ、この野郎。」
何とか本当のことを言わずに仕返しができた。しかし、それは長くは続かなかった。離れたところにいたモルテが戻ってきたのだ。俺と同じような言葉を吐き捨てながら。
「あなたたち何をやってるんですか?」




