表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒレイスト物語  作者: 瑛
第4章 ”不変”と
112/176

31-3

俺たちは、トレーニングルームに来ていた。入るとすでにメイユは正座をして待っている。



「な、なんですかここは?こんなに設備が整ってるなんてすごいですね。」



モルテは俺と同じように驚いていた。まあ、俺は2回目なので驚くことはなかったが、デジャヴを感じた。



「だろ。」



「何でビスさんが誇らしげなんですか。」



何か癪に障ったらしい。やっとアシオンの気持ちがわかった気がする。もし、モルテが初めての誰かを連れここにきたら同じことをするだろうと俺は思った。



「ははっ。俺のことはいいから、メイユが待ってるぞ。」



俺の言葉を聞いたからかメイユは立ち上がった。



「話は終わりましたか?」



「ああ、いつでもいいぞ。」



「だから何でビスさんが答えるんですか‼」



そんなモルテを他所にメイユは音もなくモルテに近づいていく。だが、メイユは遠目からだと何も持っていない気がするがもしかして素手で戦うのだろうか。そう思った時何やらメイユの拳にキラッと光る何かが握られていた。それも両手に。



「はああああ‼」



メイユが拳を放った瞬間、メイユの手元に残像のようなものが見えて腕が消え去った。その直後、カキンと金属音が部屋に鳴り響く。寸でのところでモルテはメイユの拳を止めたのだ。だが、まだ押し合いは続いている。



「くっ。いきなりひどいじゃないですか。・・・それにしても、意外と力があるんですね。」



「ふふっ。ありがとうございます。モルテさんこそワタクシの攻撃を初見で止めるなんてすごいですよ。」



「まあ、予想外なことに対応するのは慣れていますから。ねえ、ビスさん。」



なぜ今俺に振るのだろうか。心当たりがないわけではないが、ここは答えないのが最善か。



「まあ、仲がよろしいことで、焼けちゃいます。ビスはワタクシのことを見ててくださいね。」



「いえ、ビスさんは僕を見ててください。」



なぜかモルテはメイユに張り合っていた。なんだかややこしいことになった気がする。まあ、今はこういうのが無難だろう。



「おお、二人とも頑張れ~。」





モルテは珍しい武器を使う。武器の形は、三日月型で今は剣として使っている。そう今は。モルテの使う武器は弓にもなるのだ。三日月型のちょうど中央部分は手が入るぐらいの隙間ができており、凹の方が握れるように加工がなされているのだ。そして柄の部分にカラクリがあり、ボタンを押すと弓にも剣にもなる。このカラクリを自分で作ったのだというのだからすごいものだ。


ある時なんでそんなものを作ったのかと聞いたら”だってこの方がいろんな敵に対応できるでしょう。それに、どこにもこんな武器は置いてませんでしたからね。それだけです。”という答えが返ってきた。まあ、その通りなのだが、自分で作るという発想にいたりそれもいとも簡単に作り出すところがモルテのすごいところだ。




「ここまで攻撃を防がれたのは初めてです。でもモルテさん、防ぐだけじゃワタクシは倒れませんよ。それとも、体力がなくなるのを待ってます?」



「そんなわけないじゃないですか。ただ、小手調べをしていただけですよ。今終わりましたけどね。」



そう言うとモルテは後方に飛び退いた。そしてボタンを押し、剣から弓へと切り替えていた。



「へえ。すごいですね、その武器。弓にもなるんですね。でも、それが何です?放たれる前にあなたの懐に潜り込めばいいだけです。」



メイユは音も出さずに駆け出す。ただその直後、メイユは立ち止まり、矢を弾いた。



「もう、あなたは僕に近づけませんよ。」



「・・・」




メイユの目つきが変わった。いままであまり微笑みが取れることはなかったが、今は真顔に近い表情になっている。そして何か目に光が消えたような気がした。


そのあと二人の間に会話はなかった。あるのは甲高い金属音と木が破裂する音だけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ