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ヒレイスト物語  作者: 瑛
第4章 ”不変”と
107/176

29-3

空き部屋の掃除も終わり部屋を出るとちょうどそこにアシオンが通りかかった。俺は会釈をして、その場を去ろうとしたがそれは許してもらえなかった。



「ん?ここで何やってるんだ?お前の部屋ここじゃないだろ。」



なぜ人の部屋がどこなのか知っているのか気になったが、まあ気にしても仕方ないか。それよりも気になることがある。



「ドイボさんの手伝いを。それよりアシオンさんがどこに行かれるんですか?大剣なんか持って?」



アシオンは大剣を肩に担いでいたのだ。それを気にするなという方が無理だろう。



「これか?ちょっと体を動かそうと思ってな。ちょうどいい。お前付き合えよ。」



アシオンに俺は腕を掴まれ引きずられる。凄まじい力だ。振りほどこうにも振りほどけない。どうやら、あの筋肉は見掛け倒しではないらしい。



「ちょっと待ってくださいよ、アシオンさん。まだ仕事の途中なんです。」



「固いこと言うなよ。おっさんになんか言われたらオレがどうにかしてやるから、な。」



アシオンは何か勘違いをしているようだった。確かにドイボさんの後々の反応を考えると面倒くさいが、別にドイボさんが怖くて嫌がっていたわけではない。怪しい人物と二人きりになることを避けたかったのだ。


だが、俺はアシオンの誘いに乗ることにした。実力を測るのにもいいと思ったからだ。まあ、一番の理由は現実逃避したかっただけなのだが。


「わ、わかりました。だから腕を離してください。アシオンさん。」



そう言うとアシオンはあっさりと腕を離してくれる。ただ、何か言いたげに顔をしかめていた。



「どうかしましたか?」



アシオンはその一言で合点がいったのか、喉のつまりが取れたかのように言葉を発した。



「お前。その敬語やめろ。お前に敬語を使われるとなんかこうむず痒いんだ。」



そう言いながら体を掻きむしっていた。敬語を使う度にこの行動をされたのでは溜まったものではないので、アシオンの言う通りにする。



「わ、わかった。アシオンさん。」



まだ、文句があるのか、アシオンは俺を指さし力強い視線を向けてくる。



「それと、さん付けも禁止だ、いいな。」



「わかった。アシオン。」



それでようやく満足したのか振り返り目的地へと足を向けた。だが、ここまで言われて俺も一言言ってやりたいことがあった。



「アシオン。”お前”ってやめてくれない。俺は”ビス”だ。」



「・・・ははははっ。すまんすまん、そうだったな。”ビス”。」




笑うようなことか。それに笑う前に何か不思議な間があったような。まあ、名前をちゃんと呼んだので良しとしよう。


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