4話 弁当一緒に食ベント
第4話 弁当or購買イベント
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前話で序盤は暇だと言ったが、それは当たり前といえば当たり前なのである。
こんなヘタレ同士の付き合い、
そうそう簡単に発展はしない。
そもそも本タイトルがそうであるように、
俺たちが動かなければ何も起こらないし、こいつらは起こそうともしないのである。
…
よし、では今から親友初心者の君にもできる「弁当一緒に食べント」を行う。
説明するまでもなく、学園モノのラブコメでは
9割の確率で起こるイベントだ。
このイベントはリスクをほとんど伴わない上に
何かに発展する確率はバカ高いのである。
気軽にできて、ヒロインとも発展性を作ることもできる。
現実でも行える普通に強いイベントである。
でもたいていは何も起きないけど。
うちの学校は購買も食堂もあるのだが、
それこそ弁当の方がいい。
二人とも中学から弁当派である上に
購買があると教室がガラリと誰もいなくなるからだ。
さて、誘い方だが、一緒に食べる同士の中で協力者
がいるならほぼ何も考える必要はない。
「涼ー、飯食うかー」
「おう、食べるか」
「ん?あらー帆香さんカップ麺とはどうなさったのですかーw」
「うっさい寝坊したんだよ4ね」
お、毒舌!
ってことはあの作戦か...
この返しで大方今後の展開の予想はついたわ。
んじゃ、あとは誘うだけやな。
「おお、立花(千恵)さんの弁当綺麗だなぁ」
「い、いや、そんなこと無いよ」
りえ「千恵のは手作りだからね、あんたらの親が作ってる弁当とはわけが違うよ」
涼「手作りなの!?すげぇ!」
お、涼が食いつきましたねー。
これでOKかな。
「よしじゃあ、一緒に食うか!」
「なんだお前、おかず目当てか?」
「カップ麺wのあかずはとりませんのでww」
「お前ちょっとこっち来い」
「え?
まって冗談です帆香さんすいませんごめんなさい」
「うるさい来い」
「あああああああああああぁぁぁ...」
首根っこつっかまれて教室の外へ引っ張られていきました。
涼「...」
千恵「...」
涼「と、とりあえず食べようか!」
千恵「そ、そうだね!休み時間終わっちゃうし...」
千恵「あ、涼君弁当凄い!!」
涼「いやいや、そんなことないよ」
千恵「いやだってこれ...」
...
…
りえとは今、
購買で二人で飯を食っている。
「達哉、涼は弁当どうなの?」
「自作。あいつは主婦力高いぞー」
「主人公としてはテンプレだな。千恵は料理得意だし話題はありそうだな」
「ああ、そこんとこは大丈夫だと思う」
もちろん教室から抜け出したのは二人っきりにするためであり、
今は少し時間をつぶすために、購買で、
おれは弁当、りえはカツカレー定食を食べている。
「この学校のカツカレーってどうなんだ?美味いのか?」
「けっこう美味しいわよ。味も濃厚でカツもサクサクだし
あんたまだ購買で食べて無いの?」
「親が弁当作ってくれるからなー。お前こそ弁当食わんの?」
「親朝居ないし、作るのめんどくさいしね」
ちなみに寝坊でカップ麺は嘘である。
りえは今日まで購買でパンと定食しか食ってない。
「ごちそうさま。ふーカレー美味しかったぁー」
「ぼちぼち戻るか」
「そうね」
…
「あ、りえちゃん!」
「千恵ただいまー!もう食べた?」
「うん!」
千恵も涼も何かにやにやしてる。
あれだな、弁当作る約束か何かしたんだな。
「ってか達哉どこ行ってたの」
「...こいつに定食奢らされた」
「...あぁ、なるほどね」
「お財布が...」
りえ「安心しなさい!今度スイーツ4人分奢らせる約束もしといたから」
「え、まだ奢るの...?」
りえ「何か不満でも......?」
「いえっ!奢らせていただきます!!」
千恵「あはは...」
…
廊下にて。
「りえ、お前もう次の作戦入れてんのか」
「当り前よ。あんたちょっとやること少ないからってゆるみ過ぎじゃない?」
「お前の気合いの入りようの方がすごいよ」
「次の大計画まではまだ時間あるんだから
あんたもなんかやっときなさいよ」
「まぁさっき考えたのがあるし、俺はそれ実行するよ」
「あるの」
「あるよ」
…
ネクストデーイ(次の日)である。
お、りえがいたぞ。
早速作戦を実行に移そう。
「おはよう」
「達哉か、おはよう」
「はい、これ」
「...?弁当?」
「いや、お前が弁当持ってきてないと
”4人一緒に食べるイベント”実行できないじゃん
俺朝は暇だし、親手伝って2人前つくってきたわ」
「...あんた結構、型にはめるタイプなのね」
「カップ麺で弁当組と一緒はきついだろ」
「別に異質放つ不健康キャラでもいいんだけど」
「ま、おかずも容器もなるべく違くしてるし大丈夫だろ」
「そんなの鈍いあいつらが気付くわけないから大丈夫よ」
「それもそうだな」
…
その日の昼食、涼と千恵は同じ弁当を食べていた。
親友同士である俺らは、もちろんのごとくからかった。
そして俺たちの弁当には全く気づく気配がなかった。
ちなみに、りえ曰く、俺の卵焼きはちょっとしょっぱ過ぎたらしい。
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りえ「弁当作ってきてくれたのはうれしかったけど、やっぱカップ麺食べたかった」