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剣と魔法と超能力  作者: てきさすじたーばぐ
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第8話 修行開始!

「ではまず、魔力と魔法についての説明をしよう。魔力とは、魔法を使うのに必要なエネルギー。ここまではわかるかね?」


「うんうん」


木造の教室では、先生による授業が開始していた。魔法については全然知らないので、一から教わっているのである。


「ほとんどの人間がそれなりに魔力を持っているのだが、全員が魔法使いになれるわけではない。魔法使いの適性があるか否かは、習得できる魔法によって決まる。こればかりは生まれた時点で決まっていて、才能としか言いようがないな。また、魔法の系統による向き不向きもある。習得できる魔法と自分の得意系統が一致せず挫折する魔法使いもいる」


「あー、なるほど。タイプ不一致みたいな感じね」


「先祖代々魔法使いの家は、魔法を受け継いでいくのが基本だ。その場合は生まれた時点で既に魔法を習得していることが多い。…話がそれてしまったな。まずは君に最も適性のある属性を調べてみよう。手を出しまたえ」


幸太郎は言われた通りに手を出す。そして、先生の体が幸太郎の手を飲み込む。


「君は…雷属性と冥属性か…珍しいな」


「冥属性?闇じゃなくて?」


魔人将軍の使っていた魔法を思い浮かべながら、疑問を口にする。


「冥属性…禁術として、遠い昔に封印されたはずの魔法だ」


「封印…そんなヤバい代物なのか…」


「冥属性は置いておいて、基本の3属性の火、氷、風、そして適性のある雷属性の魔法を習得してみるとしようか」


「押忍!でも具体的にどうやるの?」


「魔法の術式を君の体に刻む。この石を握り、念じるのだ。体に異変があるだろうが、少しの間だから我慢したまえ」


ぽん、と3つの石が先生の中から飛び出す。落とさないように、慌ててキャッチする幸太郎。2つの石を机に置き、手元に残った赤い石を握ってみる。


「─────っ!」


身体が熱くなる。いつかドラゴンの炎を操った時のように。手から伝わった熱さが全身にめぐり、次の瞬間消える。


「これでもう使えるようになったのかな」


「ああ。まあまず他の石も試してみなさい」


「オッケー!」


青い石からは、体が凍るような感覚を受け、緑の石を握ると風に吹かれる感覚を覚えた。


「よし、これで基本3属性の魔法を習得できたな」


「雷はどうやって習得するの?雷って勇者っぽくてなんかカッコいいなぁ」


超能力として電撃は使えるが、雷とは規模が違う。天から雷を呼び出す姿をぼんやり思い浮かべ、幸太郎は浮き立っていた。


「雷は基本属性ではないから習得するには精霊との契約が必要になる。北の岬にある神殿で契約ができるはずだが、とりあえず基本属性で魔法の扱いに慣れてからがいいだろう。まずは実践、外に出るぞ」


ということで学校の外に出ると、チコリが魔法の練習をしている姿があった。バジルとビーツはそれを眺めている。


「レノファイア!」


チコリの手のひらに火球が現れたと思うと、火球はすぐに落下して消えた。


「うう…また失敗…」


「最初は煙すら出なかったんだから、確実に上達してるよ」


しょんぼりと肩を落とすチコリをビーツが励ます。


「チコリが使おうとしていた火の最下級魔法、レノファイアをあの的に当ててみなさい。重要なのはイメージだ。やってみたまえ」


「よーし……レノ…ファイア!」


適性魔法を調べてから、幸太郎は自分の魔力を知覚できるようになっていた。燃え盛る炎をイメージしながら全身の魔力を手のひらに集中させる。すると赤い火球が現れたので、すぐさまそれを的に向かって投げる。

命中。的は燃え、焼けてなくなった。


「自分で投げないと飛ばないのね…」


「それは魔力操作とイメージ次第でできるようになる。初めてにしてはなかなかの威力だった。これは適性魔法に期待できるぞ」


「コータローに追いつかれちゃったよぉ…」


「チコリも魔力量は多いはずなんだけどな」


落ち込むチコリとフォローするビーツ。幸太郎が魔力のイメージについて考えていると、座っていたバジルが立ち上がった。


「よし、次は剣の修行じゃ!行くぞコウタロウ!」


「休む暇ないなあ…でも、張り切っていくぜ!」


「私も私も!!」


「チコリ、君は魔法の修行だ」


チコリは苦手な魔法から目を逸らして剣の修行をしたいようだったが、先生に止められる。

バジルと幸太郎は場所を移して、街の隣にある森へ。


「コウタロウ、お前の目標は二つ。一つは、流れる動きを基本として剣を振れるようになること。二つ目は、激流斬の習得じゃ」


「激流斬…チコリも使ってたな…」


「激流斬は魔法も斬ることができる。故に清流剣のように見よう見まねで完成させることはできん」


「たしか、清流剣と同じ動きから転じるような感じだったよね」


「そうじゃ。まず、流れる動きを定着させる必要がある。そこでこの修行方法じゃ。わしが続けて全方向から石を投げるので、お前はそれを一つ残らず斬る。いいな?」


「それはわかったけど全方向からどう投げるのさ」


「高速で周りを移動すれば問題ないじゃろ」


「それ人間辞めてませんかー!?」


当たり前のように言ってのけるバジルに幸太郎は思わず突っ込む。この世界に来てから人間離れした身体能力の持ち主とばかり会う気がする。…とまあそれはともかく修行が開始した。

前方後方左右から、次々石が飛んでくる。ただ追うだけでは遅れてしまう。幸太郎は流れる動きをイメージする。洞窟で成功させた、清流剣の動きを。そして、気づく。


──技を一回一回放つんじゃない。流れる動きは“止まらない”、剣技もあくまで流れる動きの一部でしかないのか…!


その気づきが、幸太郎の動きを変え、対応の動きを舞へと昇華させる。幸太郎の動きにはたしかな余裕が生まれていた。


「よし!そのまま激流斬じゃ!」


バジルは石を投げるのを止め、剣を抜き流れる動きが止まらないうちに斬り掛かる。幸太郎は全身の動きを加速させ、剣を振る。


「激 流 斬 !!」


幸太郎の斬撃が、バジルの剣を弾く。それには今までにない手応えがあった。


「おみごとじゃ、コウタロウ。今の呼吸を忘れるな!」


「よおし、順調順調!」


「まあ、激流斬も基本の技じゃがな!奥義までの先は長いぞ!ハッハッハ!!」


そして、とりあえず一日の修行が終了する。一日で色々習得した幸太郎だが、疲れと先の長さを感じていた。


一方忍び寄る影は、彼らの成長など待たない。脅威は着々と近づいていた。

読んでいただきありがとうございます!

悩んだ末、修行パートはさくっと終わらせることにしました。

魔法と魔力の説明については後々補足していきたいと思います。

では、次回もよろしくお願いします!

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