Knockin' on heaven's door
夢を砕かれたのはいつだったのだろう。
少年の青さを無くした時か、圧倒的な強者に打ちのめされた時か。
その後の暮らしは堕ちるとこまで堕ちていった。
適当な女を捕まえて、愛を嘯いて夢を語る。
ようは「ヒモ」だ。
だとすれば、この結末も必然だったのであろう。
夢は夢なままで語る言葉など、誰の心にも響かない。
もう少し俺に強さがあれば、なんて後の祭りだ。
結局俺は、愛すらも突き通せないピエロに過ぎない。
その証拠がこの背中の熱だ。
意識を失うと同時に、俺を刺したこの女にせめてもの幸せを祈った。
それをエゴだと知りながら。
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暗い、暗い、暗い、目を開けているのかもわからない。
確かなのは指の感覚がまだあること。
俺は生き延びてしまったようだ。
月明かりが差し込み、視界を取り戻す。
見上げた空には赤と青の月。
周りを見渡せば、都会にはありえない木、木、木....
なんだこれは?
これが俺への罰、こここそが地獄なのか?
だが、俺の手には相棒のストラトキャスター。
ここが何処か、そんなことはどうでもいい。
こいつが、俺の相棒が手元にあるのならやることは決まってる。
地獄だろうが何だろうが、もう一度、そうもう一度。
俺の生き様、Rockを一人でも多くに魅せてやる。
悪魔も天使も人すらもいないことに一抹の不安はあるが、やるべきことは一つ。
そう強く心に刻んみ、月明かりを頼りに歩みを始める。
同じ過去を繰り返さないために。
週一で投下予定。