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修羅場回~僕の精神はかき氷機にかけられる~

こんにちは。僕の名前は三上和。


「はなしなさい泥棒猫!あなたのような無表情で無口な女郎に和様は渡しませんわ!!」


「…それはこっちのせりふ。このアバズレお嬢様。」


ひょんなことから誘拐されて海外へ輸送。ちょっと頭に問題のあるお嬢様に一生お世話するというとんでもない告白をされました。


「キー!そういう貴方こそ!私が嫌いだからって見せつけるようにして!なんですの!和様のことを知らないくせに!!」


「それこそ私のせりふ。和のことはよく知ってる。あなたの方こそ和を知らない。」


大変遺憾ではあるが、根回しは全部済んでいて抜け出せない状況をいつのまにか作られてしまっていた。僕にどうしろって言うんだ。絶対僕は悪くない。


そして今目の前で起きてることを直視したくない。


「くっ!こうなったらご本人に決めていただきましょう!」


「…それは賛成。アバズレのくせに、頭の回転は早いのね。アバズレのくせに。」


「アバズレは関係ないでしょう!!」


「…そんなことはどうでもいい」


「「和(様)!どっちがいいのか決めて(くださいまし)!!!!」」


…ははっ。誰か、助けてくれる人はいないかなぁ?


両腕を美少女二人に絡め取られているぼくは、この状況からいかにして脱出するかということだけを真面目に考えていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


遡ること数分前。息を切らせながら彼女、アンジュ=アルフォードは僕とアイナの前に現れた。


「アイナ=シュヴァリエ!!和様から離れなさい!!」


「…いやよ。和が迷っても放っておくようなアバズレに渡す和はない。」


勝手に物扱いするのはやめてくれませんかアイナさん?


でも確かに。何故探しに来なかったのかは気になる。


彼女のことだ。即行で僕を見つけることもーーー


「そ、それは!後ろにずっとセバスを付けていましたわ!ちょっとカメラで迷ってしまっている和様を見て楽しんでただけで…ってそんなことはどうでもいいのですわ!」


はいギルティ。なんてことしてんだこのお嬢様。


それにどこをどう見てもどうでもいい要素が見つからないのはなんでですかねえ。


「…ふっ。そんな性格の悪いことしているから和に嫌われる。私はそんなことしない。」


「んなっ!私は嫌われてなんかいーまーせーんー!!」


まぁ嫌ってはないけど誘拐という手段を取る時点でやべぇ奴って認識になっちゃってるよね。


ズカズカズカ!っと床を踏み鳴らしながらアイナとは反対の腕を取るアンジュ。


「はなしなさい泥棒猫!あなたのような無表情で無口な女郎に和様は渡しませんわ!!」


(ここから冒頭に戻るので割愛)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…さて、どうしたものか。


直視したくないとはいえ、目の前で争われるのは僕の精神衛生上よくない。


某漫画のキャラのように、植物の如く静かで穏やかな人生を送りたいのだ。


…なに?台詞が違う?細かいことは気にするな。


「…アンジュ、アイナ。よく聞け。」


「はいっ(うん)」


「僕からしてみたら二人はとてもじゃないけど比べるなんてことはできない。二人には知らないことが多いし、二人にはそれぞれ良いとこがあるんじゃないかなと僕は思う。」


「そんなっ」


「…どっちつかずは、嫌。」


「まぁ聞いてって。そんな二人が些細な事で争うのは見てるだけで辛い。わかってくれるかな?」


そう。辛いのだ。主に僕の精神が。かき氷機に削られるごとくガリガリと削られるんデスよ。


しかし、僕の言葉が効いたのかバツの悪そうな顔をする二人。もう一押しだな。


「できるだけ、二人が仲良くしてくれると助かるな。だめかな?」


「し、仕方ないですわね。和様がそう言うなら!」


「…ん。できるだけ仲良くする。」


計画通り(ゲス顔)。


我ながら性格がよろしくないと思うが、そこはそれ。出来るだけ仲良くしてほしいと言うのは事実だし、嘘は言ってない。


…しかし謎が増えた。


(…僕、アイナと会ったことってあったっけ?)


考えても答えは出なかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後。


「和様は女殺しでございますね」


ボソッとセバスさんに言われた。


…勘の良いイケオジは嫌いだよ。


てか女殺しちゃうわ!

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