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ボーイ ミーツ ガール

突然ですが僕、迷子になりました


「…ここ、どこや…?」


関西出身でもないのに関西弁になっちゃうことって、あるよね!!


ーーー時刻は現在9時半を回ったところ。


いささか張り切りすぎなアンジュに案内されていたところ、催した僕はトイレに行くことにした。


「お手洗いですわね!私が付いていってあげますわ!安心してくださいませ!私に全部任せてくださいまし!!悪いように致しませんわ!」


絶対(僕にとって)悪いようにしかならないため当然却下。


場所だけ聞いて来たのはいいものの、道を間違えたのかたどり着くまでに相当時間がかかった末、色々な道をぐるぐる回ったがために最初の場所すら見失ってしまった。


「…まずい。これはかなりまずいぞ。」


迷路のような廊下をぐーるぐる。


かれこれ一時間はさ迷っただろうか?全く見覚えのない場所まできてしまっている。


このままでは錯乱したお嬢様(爆笑)が手段選ばず探しに来るに違いない。


ん?


歩いていると、目の前に一人の少女を見つけた。


少女は廊下の壁に背中を預け、こっちを見ている。


じぃー、っと僕を見つめる目は、品定めをしているようで落ち着かなかった。


しかしこれはこれで好都合。彼女に道を尋ねれば万事解決!!


…あーでも、日本語通じるかな、この子。


見た感じ、僕と同じくらいの歳だ。


翡翠色の瞳に、ブロンドの髪。身長は160程度。知性を感じさせる顔立ちをしている。


…まぁ、ダメだったらその時はその時だ…。


「ね、ねぇ、君。日本語、わかる?」


彼女の数歩手前で立ち止まり、目を見て話しかける。すると彼女は首をかしげ、


「…ん、わかるよ。」


よっし、通じた!


心のなかでガッツポーズをする。違う国で、他人から日本語が聞けると言うのはなんだか感動した。(残念なお嬢様や執事等は除く)


「あぁよかった!実は僕、道に迷っちゃってさ。今日、ここの学園に編入してきたんだ!ああ僕、三上和。君は?」


「…アイナ。アイナ、シュヴァリエ。…そういえば私達のクラスに転校生が来るって、叔母さんが言ってたっけ。そう、貴方なのね。」


なんと。既に僕の存在を知っていたらしい。


これはこれで好都合。このままクラスまで案内してもらおう。


…ん?シュヴァリエ?


「…理事長は、私の叔母。」


まじか。学園モノのテンプレートとも言える出来事に僕は直面しているらしい。


ほんとにあるんだねぇー、こういうの。


「というか…顔に出てた?」


「うん。すごくわかりやすく。」


どうやら疑問に思ったことが顔に出ていたらしい。これはいけない。


「ところで、アイナさん。その、恥ずかしいんだけど僕、迷っちゃってさ。出来れば案内してもらってもいいかな…?」


しかし一番重要なのはこれ。アイナさんの協力が得られない限り、延々迷い続けることになる。


…んー…、と、考えるの素振りをしたアイナさんは、何を思い付いたのかイタズラめいた笑みを浮かべた。


「…案内はしてあげる。

ただし、寄り道するけど、いい?」


なんだ。そんなことか。


「もちろん。それくらいならお安いご用さ。」


そういうことになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…さて、アイナさん。これはどういうことかいね?」


僕は横で身体を密着させ、腕を絡めてくるアイナさんを見下ろした。


「…迷うといけない」


いやそこまでしなくてもいいだろ、と思うが余計なことは言わない。


今の僕は親切を受けている身。我慢だ。


「ここが食堂」


「ここが、図書室。」


「ここが、音楽室」


ほうほう。ある教室は日本の学校と変わらないな。規模がおかしいだけで。


しかし、アイナさんの案内はサクサク進んでいいな。あの残念お嬢様とは大違いだ!






…しかし僕はこの時知らなかった。


彼女の、僕に対するその強すぎるほどの執着心を。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…(オーラ的ななにかが迸ってるときのアレ)


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