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メイドとのふれあい(殺伐)

和様のお世話役を仰せつかった。


(…こんな軟弱そうな男のなにがいいのか…)


口には出せないが、お嬢様の好みがほとんど理解できない。


男は度胸!女も度胸!が私の信条。なよっとした男は好みにない。


「でわ私は出掛けますわ。アンリ、あとはよろしくね?」


「畏まりました」


お嬢様が食堂からセバスと共に去っていく。


さて、と。


「和様」


このモヤシのごとき細っこい男の世話をしなくては。


「ひ、ひゃい!!」


ああ情けない。なんと軟弱な返事か。


「朝食が済みましたら、中庭にでも参りましょう。この屋敷の庭は他とは比べられないほど美しいものですよ。」


とりあえず昔飼っていた犬と同じでいいだろう。

そうしたらこの男にイライラすることもないだろうから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

やばーいマジ怖いアンリさん!!


僕を見つめる瞳これ確実に人を見るものじゃないよね。絶対動物を見る目だよね!!


ただまあ逆らう道理は全くないので従おう。


そしてアンリさんに連れられて行った中庭で、ティータイムを楽しむ(楽しめるかは別)ことにする。


案の定中庭もとんでもなかったがこの場では割愛。


紅茶の味など僕にはわからないが、今まで飲んでいたものは確実に紅茶の色をしたお湯だったということだけはわかった。


「お口に合いましたでしょうか?」


相変わらず鋭い瞳のままこちらを見つめるアンリ。


「う、うん。今まで飲んでいた紅茶は紅茶じゃないって気づかされました。淹れたの、アンリさんですよね。凄いです。」


「いえ。それほどでも。メイドの嗜みですから。」


相変わらず相好を崩さないアンリ。


…会話が続かない。


「…和様」


「…なんでしょうか?」


「和様は、アンジュ様のことをどうお思いで?」


一瞬警戒した。

これを答えればそのままあのお嬢様に伝わるのではないかと。しかし、すぐ問題ないことに気がついた。


別に彼女にたいして後ろ暗い感情を抱いている訳ではなかったからだ。


「どう思うもなにも…突拍子もなくて予想外すぎるけど…嫌いなんてことは絶対ないよ。」


「そうですか。もしここでその様なことを申されましたら切り落とすところでした」


「どの部位を切り落とすんですかねぇ!?」


危ない!!このメイドなんてことを考えていやがる!!


「正直に申しますと、私はあなたのようなナヨッとしてそうなモヤシは苦手ですというか嫌いです。なぜアンジュお嬢様があなたを見初めたのか疑問に感じる程です。」


随分な言われようだ。


「言い返さないのですね。あなたにプライドはないのですか?」


白い椅子に腰かけている僕は、空を見上げる。

そこには青空が広がっていた。

まぁ、確かにむかつく。言い返しても誰も文句は言わないだろう。けれど。


「言い返したところで、どうにもならないことはわかっているんだよ。」


「そうですか」


「それに」


「?」


言い返したら、君と同じ土俵に上がることになる。

そしたらアンジュが一番困る。なぜか。それはアンリが結局のところメイドであるからだ。

メイドと、この屋敷の主人の客人(?)である僕とと争う。

普通ならメイドの首が飛ぶのだろうが、それはアンジュの望むところではないだろう。


そしてそれは僕もだ。別に彼女のことが嫌いという訳ではないし、嫌うほど彼女を知ってはいない。


だが、これを口にするのはなんとなく憚られた。


なので。


「なんでもない。」


と、この一言に留めておくことにした。

アンリはひどく不満そうな顔をしたが、別にいいだろう。


大事なのはこれからだ。彼女には、これから僕のことを知っていって貰いたい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(…変な男ですね。何を考えているのかわからない。)




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