ツンデレはヤンデレの始まりかもしれないって話
予想外に書けてしまった…今回は奏ちゃん回です!奏pickup!開催!一途でツンデレなヤンデレ目指して頑張るんだよ奏ちゃん!!
その日の夜、和への説教なんかが終わってからの話。
実のところ、アンジュは最初から起きていたらしい。
寝たフリをすることで、少しでも長く和とくっついていたかったとか…。
「…もうっ!アンジュのやつうぅっ!!」
無性にイライラしてしまった私は、割り当てられた部屋のベッドにダイブした。
もともと私は、学園にある女子寮に住んでいる。外泊なんかは、寮母さんや学園長に許可を取れればできるシステムだ。
許可をとればできる、とは言っても、ずっと外出してる訳にもいかないから一度寮に帰ってきていた。
私は、歯を食い縛る。
「…私の方が、あいつらよりずっと長く和と過ごしてたのに…」
髪を結ぶヘアゴムを取り、枕に顔を埋める。
どす黒い感情が、私の中をぐるぐる回っていることがわかって、苦しい。
「…ずっと、会いたかったのに…」
道場で一緒だった頃から、和が気になっていた。
最初こそ、私のことを男だと思っていたみたいだし、なにより、気にくわなかった。
私は生来負けず嫌いだ。それは和にだってそう。何度組手を繰り返しても、最後まで勝てなかったあいつに一泡ふかせたくて、和と別れてしまった後も鍛練を欠かさなかった。
そんな私の頭の中からはいつも、和のことが頭から離れなかった。
和は、強い。
でも、どこか儚い、脆い部分がある気がして。
「…ほっとけないのよ、あいつは…」
それなのに、「あの」アンジュに和が拐われているとは微塵も考えていなかった。
普段のアンジュは、深窓の令嬢のような清らかさと、どこか近寄りがたい荘厳さを身にまとった女子だ。
反対に私は、がさつで、お世辞にも穏やかとは言いがたい。
それに加えて、アイナというイレギュラーまで和のことが、その、好きだった、なんて。
「~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」
ジタバタと足をばたつかせる。
「あのバカ和!!!!どこであの二人を引っかけたのよ!!!!!」
アイナは謎が多い女の子だが、小動物のような外見と、成績の優秀さから生徒と教室からの人気がある。
そんなのに…私が勝てるわけがない…。
アイナと違って私は、背丈はあるし、成績だってすごくいい訳じゃないし、なにより、言葉より先に手が出る。
こんな私…
「和が好きになってくれる訳……って」
なに言ってるんだ私ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!
ジタバタ、ジタバタ、ジタバタジタバタ!!
あぁ、顔が熱いし、心臓がドキドキする…!!
「……そっか、私……」
和のことが好きなのかもしれない。
本当に?
……いや、すきだ。どこの誰よりも、何よりも、すき。
アンジュや、アイナなんかより私の方が和のことが好きだ。絶対そう。
「…絶対、渡さない。」
あっちがその気なら、わたしだってやってやる。
和が嫌がるようなら動けなくなるまでボコボコにしてでも拐い返してやる。
「…絶対、負けないんだから」
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「ッ!?!?」
「どうしたんですか、和様?」
「いや、なんか悪寒がしてね…」
「まぁ!それはいけません!今すぐいっしょのお布団に入ってお体を暖めなくては!全裸で!」
「却下でお願いしますお嬢様」
アンリが物陰から殺意の籠った視線を飛ばしているのを感じつつ、僕は丁重に断るのだった。
ちなみにセバスも物陰から優しげな目で僕たちを見ていたけど、それもスルーすることにした。
何かイヤな予感をひしひしと感じつつ、アンジュたちを自分の部屋から追い出し、鍵をしっかり閉め、つっかえ棒をし、盗聴器や隠しカメラを合計六台排除してから僕は眠りについた。
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