とりあえず誘拐されたらしいけどスケールがデカすぎて笑えない件について
はじめまして!しののんです(°∀°)
初めての連載ではありますが!どうぞどうぞ、ゆっくりしていってください。
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やあ。僕です。
と言っても誰もわからないですよね。
僕の名前は、三上和。
しがない高校二年生。
スポーツも勉強も平均。特に取り柄もない。
趣味は読書。それからかなりマニアな音楽鑑賞。
容姿は、まぁ、良くも悪くも普通。
将来の夢は公務員。
…なんでいきなりこんな説明口調かって?
ははっ。面白いことを聞くね。
「和様?どうかなさいましたか?そんなボーっとしてしまって…具合が悪いのですか?!それはいけません!!爺や!!爺や!!和様が!!和様が死んでしまいますううううう!!!」
この目の前にいるワケわからんお嬢様がなんの
因果か僕を拉致した挙げ句屋敷にご招待。
「一生」をかけて僕のことを養ってくださるそうなんですよね。
…なにを言ってるのかわからない?
奇遇だね。僕にもわからない。
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そのお嬢様は突然やってきた。
季節は春真っ盛り。新年度を迎えて新しくなったクラスに期待と不安を抱きつつ登校している途中のこと。
桜の並木道で僕は突然気を失った。
この時点で訳が分からないだろうと思うが一番僕が訳分からないと言いたい。
後ろから布を口元に当てられるというあれかと思ったがどうやら違う。前のめりに倒れる途中、誰かに抱き止められたことだけは覚えているが、そこまでだ。
次に目を覚ましたのは豪奢なベッドの上でした。
その傍らに少女が一人。
年は自分と同じくらい。綺麗な銀髪に青色の瞳。日本人離れした容姿。僕は、
「ああ、夢だなこれは。」
二度寝しようとした。
が、ベッドに倒れ込もうとしたら肩をグワシッと掴まれて阻止された。
そうか、これが白昼夢か。
「和様!!やっとお目覚めになりましたか!!半日も寝たきりで、もう目覚めないのではないかと不安になっていたところです!!」
うん、僕今寝起きだから静かにしてね。
そう言いたいが寝起きなので声が出しづらい。
そしてこのあり得ない現実を認めたくない。
「あぁ、和様がこんなに近くに!!本当、本当に信じられませんわ!!ずっと、ずっとこの日を心待ちにしておりました!!」
僕を置いてけぼりにしてトリップするのやめてくれませんかね…てかここ日本?部屋とかめっちゃ洋風なんだけど。ついに異世界召喚されたかな?
そんなことを考えていたら段々頭がクリアになってきた。
てかよく考えたらおかしくない?
よく考えなくてもおかしいんだけどさ?
「…ここどこよ…そして君は誰?」
ぼそりと、呟くように聞くと彼女は居ず舞いを正す。この所作を見る限り良いとこのお嬢様みたいだ。
「失礼しましたわ。私は、アンジュ=アルフォードと申します。父方の姓でして、日本にいた間は神代という母方の姓をつかっていますわ。」
そう説明してくれるアルフォードさん。
なるほどなぁー…あるふぉーどさんねぇー…?
あれ?あるふぉーど?アルフォード…?
まさか
「和様の想像なさっている通りですわ。
私の父はアルフォード財団の会長、ジェームス=アルフォードですのよ!」
な、なんだってー!!!
ってちょっとまて。
「…そんなアルフォードさん家のアンジュさんが僕を誘拐してまでなんの用なの?控えめに言って犯罪だと思うんだけど。」
そう聞くと、よくぞ聞いてくれました!!とばかりに鼻息を荒くするアンジュ。
「これからは私が、いえ、アルフォード家が和様のお世話をしますわ!!すでに貴方の家人からは許可を頂いておりますの!!これからは、たーっくさん甘やかしてあげますわね!!」
丁重にお断りさせてくださいお願いしますなんでもしますから。
てかこの書類本物かよ!!この筆跡ガチで父さんと母さんじゃん!?
一体どんな手を使ったんだ…?
驚愕に目を見開く僕を見て何となく考えてることが分かったのかアンジュは答える。
「ちゃんと包み隠さずお話しましたわよ?あなたの息子さんをくださいーって言ったら泣いて喜んでいましたわ!和様のご両親には頭が上がりません!!早く私たちの子供の顔を見せなくちゃいけませんね、和様!」
あんのクソ親アアアアアアアアアア!!!!!
なんじゃそりゃ!?喜んで僕を売ったんかい!?それはいくらなんでもアカンやろ!?
いやまて。逆に考えるんだ。ここで恭順した振りをするんだ。チャンスはある。この訳のわからない場所とお嬢様から逃れるのは安全を確保してからだ。ここにいたら危ない。主に僕の貞操が。
よし。考え付いたら即実行。
「そ、そうだったのか。なるほどねえ。確かにこの書類も本物みたいだね!ところでアンジュ、ここってどこなんだい?日本なのか?」
そう、場所が大事。とりあえず県内ならなんとかなるはz…
「どこって、ここはドイツですわよ?まだ誰にも知られてない場所で、一番近い町は100キロ先にありますわね!!誰にも邪魔されないところを探すのには苦労しましたのよ?」
あ、これ、終わったわ。
「は、はは、そ、そうか……ぐふっ……」
そして僕はベッドに座ったまま意識を手放した。(ここから冒頭に戻る)
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次に目を覚ましたのは夜中でした。
例によって先ほどのベッド。
傍らにはアルフォードさん家のアンジュ。
心配そうな顔でこちらを見つめていた。
「和様…?お目覚めですか…?」
おずおず、といった調子で尋ねてくる。
先程の彼女からしたら真逆のテンションだ。
「ああ、うん。大丈夫。少し心配かけたみたいですね。ごめんなさい。」
そういうと彼女は、ほっとしたように表情を緩めた。
不覚にも、僕はそれを可愛いと思ってしまった。
グゥウウー、と、自分のお腹から音がする。
おっと、そういえば今日は朝以来なにも食べてないな。
その音を聞いたアンジュはニコッと笑って、
「では、お食事にしましょうか?和様?」
素晴らしい笑顔で僕にそう問いかけるのだった。
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さて、財団の娘というのは伊達じゃなかったようだ。
一言で言うと、ヤバい。口からヤバいとしかでなくなってしまうレベルでヤバい。
まずめちゃくちゃ広い。そして豪華。
白でまとまった内装に、赤い絨毯。毛が長くって踏み心地最高。まじやばい。
そしてどこまでも続く回廊。壁に掛かる燭台。ファンタジー世界にでも入り込んだかのように錯覚してしまった。
「私にご用意出来るのは限られていますわ。その中でも、思い切り良いものを集めて参りましたの。気に入ってくださいました?」
気に入るとかそれ以前の話じゃないのこれ?
そんなことを思いながら食堂に入ると
そこはホグ◯ーツでした。
いや、そこまで広くはない。ただ、例の映画に出てくるような長机が1つ、ど真ん中に置かれている。これはかなりテンションが上がった。
そして料理。コース形式になっていて、名前は分からなかったがとても美味しかった。が、
「これからはこの家は私と、和様のものになりますわ!どうぞ好きに使ってくださいな?」
吹き出さなかっただけ僕を誉めてほしい。
しかし僕は、そこから上手く料理の味を感じることができなかった…。
その最中。
「…絶対、和様は誰にも渡しませんわ…」
その呟きは僕の耳には入らなかった。
続く