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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
壱章~十六夜咲夜の消失~
74/75

オワリハジマリ編4/?

思ったより長くなりそうで焦っております( ̄▽ ̄;)ちょっとスランプ気味かも……。

「──吸血鬼の契約は絶対なの!!こいつがどれだけヤバい奴でも、それ以前に私の執事なのよ!殺す事も追放する事も、こいつの主人たる私が許さない!!」

 「契約、契約って、古臭い蝙蝠風情が……!はぁ、行けるわよね?藍、燈」

 今までは紫に従うばかりだった二人の眼に光が灯る。まるで憑き物が憑いたかの様に、あるいはパソコンが立ち上がった時の様に。

 その豹変ぶりに背筋を凍らせていると、二人は人の身では有り得ない跳躍で晴天に躍り出た。実際、彼女らは人間で無かったということだろう。

 「石橋!逃げなさい!」

 観察もそこまで。お嬢様は俺を突き飛ばし、重力の上乗せされた二人の一撃を真正面から受け止めた。その音と衝撃はなかなかのものだったが、お嬢様は眉一つ動かさず、真剣そうな凛とした顔を一切歪めない。

 「何してるの!早く!!」

 あぁ、そうだった、非常にドラマチックな展開だがこれは現実で、俺は悲運な事に当事者なのだ。自機は俺でプレイヤーも俺、物語の中心たる主人公では無いが、不思議とモブ同然の第三者ではいられないのは何故?。思考の迷宮と紅く赫い廊下が混ざり合う渾然一体の現実が始まる、捕まればどこまでも残酷なゲームオーバーが待っているばかりだ!。

 「何考えてんだ俺ゃあ……」

 よくも逃げながらこんな妙な事を考えられるものだと、全力疾走に必要な分を遥かに余剰した思考で呆れた。そして、何でいつも無駄には事欠かないんだがね、と更に無駄な思考を積み重ねつつ階段を駆け降りる。

 「どこに逃げれば……!くそっ、館内で撒いてから外に逃げるか!?」

 階段を一階分降りてから一先ず口を開いた、こうでもしないとテンションが捻り切れた俺の思考は纏まってくれないだろうから。 さっさと決断しないと奴らが来てしまう、無駄を極力無くして少ない体力と魔力を温存しないと逃げ切れない。その為には逃走ルートが。

 タッタッ、と足音が落ちてくる。もう追い付かれたのか、お嬢様は無事なのか、あぁ──まだルート確立してないのに。もう終わり?。

 「くそったれ!」

 雑念を一蹴して近くの部屋に飛び込んだ。やっぱり考える暇はない。

 「ええっ!?」

 飛び込んだ部屋では運の悪い部屋の主が驚いている。妖精メイドの部屋だったとは……俺も運が悪い。

 「質問には絶対答えるな!」

 「何が!?」

 驚きっぱなしの彼女を尻目に、今度はロッカーに飛び込んだ。中は衣服が詰まっていてどこか甘い匂いがする……思えば結構最低な事をしているな。女性の部屋にいきなり飛び込んでロッカーを開け、挙げ句にはその中に入ってしまうとは。

 ほんの数秒が経ち扉が開けられたのであろう、盛大な物音が聞こえた──追っ手だ。気配は消すが耳は澄ます。全意識を集中させ、少しでも危険そうなら廊下にワープしよう。また走る事になるだろうが……。

 「ねぇ、ここに男が来たでしょ」

 部屋主とは別の声だ、幼い少女の様な声。二人の見た目的に考えるなら猫耳が生えている方だろう、断定は出来ないが。もう片方はどうしているのだろう、足音は一つだけだったが……足音を立てない移動手段なんて幾らでもある、安心はできない。

 「答えなさいよ」

 返事は無い。滅茶苦茶な指示で従ってくれるか不安だったが良かった、結果オーライ。このまま隠れさせてくれ……!。

 「ズタズタにするよ?」

 可愛らしい声に合わない酷い脅しに思わず俺の背筋が凍る。口を割るようならもうワープしようか……?俺だってズタズタ死体はごめんだ。

 「はぁ……呆れた、もういいよ、そこに居るのは分かったし」

 バレた!?何で!?気配は殺していた筈なのに──いや、待てよ。これがブラフでないと誰が言い切れる?更にワープした先にもう一人、もしくは紫本人が居て俺は既に袋のネズミとなっているという可能性が無いなんて誰が言い切れる?。例え一厘でも可能性が有るなら動くべきでは……。

 「バカな男」

 徐々に気配が、足音が近付いて来る。これ駄目な奴だわ。

 刹那、俺はワープを発動させて廊下を走る。いいんだ、多少は距離を稼げた。魔力こそ多少失ったがこの距離を少しでも広げられれば……!。

 「翔符『飛翔韋駄天』!」

 背後から甲高い叫びが聞こえたと思った瞬間だった。

 「ぐあああぁぁぁ!?」

 とてつもない衝撃に襲われ、耐えきれずに吹っ飛ばされて床を転がった。

閲覧ありがとうございました。

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