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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
壱章~十六夜咲夜の消失~
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連続死編3/?

「兄上ぇぇぇぇぇぇ!!……くそっ、呪ってやる、お前は末代まで呪って、呪って、呪い殺してくれるっ!」

 被害者の遺族は騒々しい、まぁ無理も無い。

 これからどうしようか、クアロ到着が何時の事なのかは見当も付かない。取り敢えず咲夜さんを解放しておくか、そう思った時、不思議と俺の足は咲夜さんの方には向かなかった。それどころか男の体を地上に下ろし、静かに見下ろしている。自分が何をしたがっているのかは、はっきりと分かった、それは当然なんだけど。

 俺は妄想の実現に最も近い瞬間に居る、そして自分でもちょっと引いてしまうような妄想を叶えたがっている。

 「これ流石に人間としてまずいよなぁ……うーん、どうしよ、やるか~やらな──いや、やっちゃうか、これ」

 そうと決まれば早かった、俺は男の腹を裂き、いつも仕事でやるのと同じ様に解体を始める。

 「おいっ……何故お前はこんな事が出来るんだ!?死者への冒涜だとは思わないのか!?」

 こいつが今どういう気分で喋っているのかがてんで分からない、毎日の仕事で感覚おかしくなったかな?。死者への冒涜云々はファンタジー作品では良く聞く話だけども、やはり文章上と現実では話が違うな。

 そしてその訴えを無視し、皮を剥がし終えて解体も半ばへと差し掛かった時に、ふと大切な物が欠けている事を思い出した。そうだ、頭取ってくるのを忘れてた。幸い生首は重量からかそこまで遠くには行っておらず近くの草地を探せばすぐに見つかった。真っ赤だったのに今や真っ青を大きく通り越した顔色をしている頭をじっと眺めてみる、けどもあまり面白い物でも無いな。取り敢えず頭も皮を剥がして、まだずしりと重い頭骨を露にした。そうして手に入れた綺麗な頭骨だったが妄想に従って、木におもいっきり打ち付けた。頭蓋骨の一部が割れ、脳味噌が露出する。骨の破片が少しかかってしまったが許容範囲、地面に安置しとく。

 それ以降は本当に面白みが無く、普段の仕事と同じ工程だったので無心で終わらせた、その間、今回の妄想の被害者もずっと放心した様に待っていた、自殺されるよりかはましだけど。さてと──下拵えはこれで完了!これからがお楽しみだ、と言っても妄想の中の俺が楽しんでいたってだけなので現実の俺が楽しめるとは限らないのだが。

 能力で皿を出現させ、スライスした脳味噌を綺麗に並べた、そしてゆっくり剣客に近付く。

 「お待たせ致しました──これは、あちらのお客様からです」

 「何を……?」

 そう言う剣客の口に男の脳味噌を突っ込んだ。

 「!!」

 剣客は当然吐き出そうとする。

 「如何でしょう?あっ、ちなみに、数量に限りはございますがおかわりは無料でございます、ご自由にどうぞ──ってか、まぁ俺が食わせるけど、それに嘔吐は禁じておりますので是非ご協力ください」

 剣客の顔がますます青ざめていく、まるで男の生首と同じ様に──。

 「しかしまぁ、脳味噌って旨いの?動物のだったら塩かけて食べる場合も有るらしいけどね、あっ、塩必要だった?」

 やがて脳味噌は飲み込まれた、迷っただろうね。吐き出すっていう選択肢を奪っておいて何を言っているんだって感じだけども。

 「まだまだ有りますので、ほら、遠慮せずに!」

 男の肉を突っ込み続ける、奴も最初は抵抗していたが、次第に突っ込まれた側から飲み込んでいた。そのうち男は骨を残し、無くなった。やがて弟である剣客に還るのだろう、皮肉な話かもしれない、男の皮肉を飲み込んだ張本人は土気色の顔をして、死体みたいだけど。

 「うん、遊んでごめんね?まぁこんな事はもうしないと思うよ」

 言いながらリビングデットの首を切り取った、彼は死んだと言うより壊れたと言う方が相応しいと思う。

 さて、遊びもとい実験もとい時間潰しを終えてすっかり忘れていたが、咲夜さんはどうなっているだろう?縄をほどかなかったし、大丈夫だと良いが。

 「咲夜っ!誰なんだこんな事をした不届き者はっ!」

 到着したか。大分長らく待たされたものだ、重役出勤の坊っちゃんを迎えてやる。俺としては話がしたいだけだし、相棒は隠しておこうか、誤解を招くといけないし。

 「貴様はいつぞやの執事!!お前か……?お前だろ?」

 豪奢な剣で咲夜さんを縛る縄を取り除いているクアロに近付いたらいきなりこれだ、わざわざ丸腰で迎えた俺に投げ掛ける言葉がそれとは、部下の動向すら掴めていないのによく言う。

 「いや、やったの部下だよ、お前の」

 「ふざけるな……!!あまつさえそんな戯れ言を!何処まで下衆なんだ、貴様は!!」

 話をする気は無いみたいだ、この魔女狩り中毒者め。まぁそうなる気はしていたけど。俺は相棒の刀身を露にする。

閲覧有難うございました。

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