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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
壱章~十六夜咲夜の消失~
54/75

激情編4/?

ヤバい……忙しいぃぃ!

──この陰鬱は三日間館を覆い続けた。

 「あぁ~辛いわぁ」

 咲夜さんの抜けた穴を埋める為、執事もメイドも等しく東奔西走し、奮闘した。咲夜さんのこなしていた仕事量の前に何人ものメイドが逃げて行った、それほど咲夜さんの存在は館にとって大きいものだったのだ。前までは楽にこなしていた仕事も倍になればえげつないもので、たった三日しか経っていないにも関わらず鈴君は一回倒れている。そんな中で俺は心から時でも止めなきゃやってられないと思い、咲夜さんを真似してみたり思い浮かべてみたが時は進み続けた。つまりは打つ手が無くなって来た訳で、夜。

 「これもう妖夢さん引き抜く位しか打つ手無いだろこれ」

 おもいっきり欠伸をかましながら廊下を歩く午後十時、今日も他に時間を裂いた為、そこそこの量の仕事が残っている。しかしこの仕事には残業が無い、どれだけ頑張ろうが手当ても出ないのだ。まぁ現世のブラック企業に比べればましだろうし、働き詰めの社畜さん達からすればこのレベルで愚痴を吐こうなぞ甘え以外の何物でもなかろうな。

 「お嬢様は何処にいらっしゃるかねぇ~っと」

 お嬢様からは明日の食事の要望を聞かなければならない、咲夜さんの様なスピードで料理が出来ればそうしなくとも良いが俺にはそんな技術は無い。ならば時間を掛けるだけだ。という事で聞いておきたいけども……部屋で見かけられなかったし、探りにくいお嬢様の魔力を何とか探り、この辺だと目星をつけたは良いものの見当たらない。

 こうなったらしらみ潰しに部屋を見て回るしか無いな──と思い、立ち止まって辺りを見渡せば、使っていない筈の一部屋から光が漏れていた。

 その怪しい雰囲気についつい足が向く、そして好奇心の様な、悪戯心の様な何ともとれないくすぐったさに見舞われ、部屋には入らず気配を消して覗く。

 「……それは本当!?何でなのよ!」

 「ちょっ、お嬢様、落ち着いて!」

 声からしてお嬢様と小悪魔か、緊迫の元を知りたいものだが。

 「何十人単位で捜索に当たっているんでしょ?それで見当たらないって……!」

 探し物の話──にしては規模が大きい気がするし他人事の様な言い方である。お嬢様自身が探している訳ではなさそうだ。

 「私達も捜すべきでしょうか?」

 「いいえ、あの娘相手なら気配と魔力でバレるわよ、疲弊していたとしてもね」

 「でももう三日ですよ、それで見つからないなら、もしかして──」

 「……うるさい、彼に言っといて、限界まで増員する事と腕の立つ者を中心に捜索範囲を広げなさいって」

 彼?三日?この話どこか聞き覚えが──。

 「何をどうしても咲夜を死なせないで、絶対に彼の元に戻すのよ……!」

 じゃああれは全て先生の言った通り、お嬢様が仕込んだ事なのか……なら。

 「お嬢様、咲夜さんはどうなったんですか?」

 俺が連れ戻す、どのみち俺は式には出られないし、館には咲夜さんが必要なんだ。それに、今の俺には絶対的なイメージが有る、あのときの無力感を払拭する絶好の機会でもあるのだ。

 「お前……!何時から聞いていたの」

 「『それは本当!?』辺りからですかね」

 「ほとんど最初っからじゃないの……」

 お嬢様はいかにもめんどくさい奴に聞かれたといった体である、まぁ間違えではない。

 「で、何の用なのよ、結構大事な話の途中なんだけど」

 「いや~、お嬢様って人に運命を見せる事って出来ますか?出来るのであれば少し見たいのですけど」

 実際の所分からない部分ではあったし、この際に聞いて、なんだったら体験しておきたい。

 「見せれるけどさ……一体誰の運命を見たいのよ?」

 「咲夜さんの」

 それを聞いた刹那、お嬢様の表情が引き締まり厳しくなる。気持ちは分からんでも無いけども、必要な事だし協力を願いたい。

 「……見ても何も変わらないわよ」

 「ええ、存じております」

 じっと向けられるお嬢様の視線、それに己の視線を交差させ、覚悟を伝える。

 「はぁ……分かったわ、少し目を閉じて」

閲覧有難うございました

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