激情編3/?
書き貯め分が消滅……うおぉ、一応夏はもった、もったぞ!。
天井に手を伸ばす、当然何も掴めず力無く腕を下ろす。こういったどうでもいい事を繰り返せば気が紛れるかと思っていたが、あの事件は思ったより私の奥深くまで根を張ってしまったみたいで。盛り上がり続ける哀しみに抗戦しようにも打つ手が無い。
「まだなのかしら……」
連絡用の魔結晶、これからクアロの声がしたら、報われる。そう願って待つ。まずクアロが咲夜を確保した時点で連絡するように言っておいたのだが、遅すぎる。私の行った暴行や雨で体力も失われているだろうし、そこでミスを犯せば致命的なタイムロスが生じる。
最悪のケースは──自殺、その前に確保して貰わなくては。私は確かに咲夜から手を引いた、でもそれは譲渡の為であって傷付ける為では無い。ましてや死なんて……望んでない。
だから私は待ち続ける、その間の身を切る様な哀しみはこんな卑怯な真似しか出来なかった私への罰、『幸せ』を盾に平然と裏切った私への裁き。それを癒すは唯一、あの娘達の幸せな姿。
「咲夜、どうか幸せに……」
掠れた声は雨の音に邪魔され、私より遠くに響きはしなかった。まぁもとより独り言、どうしようとそうなった筈だ──咲夜が居たら?側にいて応えてくれたら?きっとあいつは苦笑して言うだろう「お嬢様の幸せが私の幸せですよ」とかそういった事を。それを考えたら少し笑えた、だがしかし笑いはすぐに戦慄に変わる。まだそんな事を考えられる恥知らずな自分が居る、自分から追い出しておいて側に居てくれたら、なんて考える自分が居る。都合がいい事甚だしい、資格無き事を望むな。どう思われようと咲夜の為にと決めたじゃないか──。
裏切り者の夜は自問自答に更ける。
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