慣れと部下と首切り編9/?
遅くなってすいませんでした。
「ひぃ!何ですか!?」
悲鳴をあげる妖夢、雷ごときで大げさな……と思うが、あれだけ近ければ無理も無いだろう。そして右腕が重い、しかしどことなく柔らかい感じがするぞ。これは──
「妖夢さん?びっくりしたのは分かりましたが、顔見知り程度の殿方の腕にしがみつくのはちょっと……流石に不用心過ぎませんか?近いし色々当たっちゃってるし」
「あなただったら大丈夫かなぁって思っちゃいました、すいません……」
これは本当に駄目だろ、もし俺が獣欲に満ちた肉食系男子だったらどうなっていた事やら。まぁ幸いにも俺がチキンだったために何も起こらなかったけども。それにその言い訳も反則だ、いかにも勘違いした殿方が量産されそうな言い方しやがって、これには俺もついついキュンとしてしまう。
しかしこんなアホな事を考えている間にも状況は悪化する、上空の黒々とした雷雲はあの雷を尖兵とし、地上に重厚な雨を展開する。吸血鬼のお嬢様は流水に弱い、雨なんかもっての他だ。だが心配には及ばない、魔方陣さえ描ければ何処からでも即時帰還出来る。雨の音が邪魔だけどまだ楽しんでいても良いだろう。
「皆さんご注目くださーい!お嬢様が瞬き厳禁!早着替えショーやりまーす!」
まさかと思い、振り返れば会場の中心にお嬢様と咲夜さんが立っていた。何も聞かされていないぞ!?。出発前に言っていた準備とはこういう事なのか?。取り敢えず状況を把握する為に先生や紅さんをチラ見するも、二人とも戸惑った様子である。
「咲夜何言ってんのよ!?こんな事やるわけ無いでしょ!」
歓声の中で耳を澄ませば辛うじてお嬢様の怒号は聞こえてくる。お嬢様も分かっていた訳じゃない、では咲夜さんが?。そんな人じゃ無いと思うけど……。
「はははっ、本当にやるとは!面白れぇなぁ」
笑い声の元を探ればその源泉が、顔を紅潮させた魔理沙に依るものだと分かった。勿論すぐに駆け寄る。話を聞かないと──!
「魔理沙さんがけしかけたんですか!?あれ!」
「ああ、あいつこれと同じ奴飲んだんだけどさぁ、すぅぐ酔っぱらってさぁ」
魔理沙が持っている瓶をひったくるとどうやらブランデーのようで、裏面を眺めたところ度数は五十五度、規格ギリギリの度数じゃないか。
「なんて物飲ませたんですか!?五十五度はヤバいですって!」
「でもまさかああなるとはなぁ」
無責任な……!と思っても無益な事なのは分かってる、今は暴走した咲夜さんを止めないと。
「いきますよっ!はいっ、スクール水着!次は~ナース服だぁー!」
咲夜さんが能力を使っているのか何なのか、凄い勢いでお嬢様の衣装が入れ替わっていく。咲夜さんは気にしていないようだが観客とお嬢様を隔てる様な物は無い、手元が一回でも狂えばお嬢様のあられもない姿が晒されてしまう。会場に居るのは霖之助と俺以外は全員女性とは言えども気分が良い訳無い。
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