慣れと部下と首切り編5/?
「おい!しっかりしろ、立てるか?いや、先ず意識はあるか?」
問い掛けると弱々しく手が挙がった、一応意識は有るらしい。嘔吐物は能力で無理矢理消したので衛生面は安全と言っても良さそうだがこのままではまずいだろうな。
「運んでも大丈夫か?」
すると微かに頷いた様に見えた、だったらもう迷う必要は無い。抱えこんで最寄りの空き部屋に直行する。そして即刻ベッドに寝かせ布団を被せておいた。こういった時にどういう対応をすれば良い、なんてマニュアルは持っていないし正直こんな形での嘔吐は初めて見た、これ以上やれる事があるのかどうかすら分からない。取り敢えず近くに座って経過を見守ろうか。
「石橋ー?何処に行ったの?」
見守ろうと思った途端である、何ともタイミングが悪い。この声は咲夜さんか。
「はい、ここにおりますが?」
「今日の五時から宴会に──って何やってんのよ」
「あの部屋見せたらこうなっちゃって……」
宴会に連れて行く予定だったとしたら相当まずいな、流石に気絶から回復して直ぐにつれ回す訳にもいかない。
「能力で癒しましょうか?」
「いや、その必要は無いわ、彼の体力等を考慮して、置いて行くつもりだったの」
そうだったのか、それなら気を遣わなくても良いか。
「じゃあ先に行ってて下さい、僕はちょっとした用事がありますので」
鈴君に書き置きを残さなければいけない。俺のせいでこうなってしまった事だし、慣れない環境下でやることも分からずに一人だなんて心細いにも程があるだろうし。
「そう、なら十分以内に来なさい、それ以上は待てないわよ」
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