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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
序章~幻想入り~
33/75

日常(非日常)編2/?

終わりの見えない物語──(ちゃんと考えろよ!)

「だあああぁぁぁ!!何時まで寝てんのよ!このアホぉ!!」

 ──大した暇潰しをせずにじっと堪えていたがいよいよ限界だったらしい、見た目からは想像も出来ない絶叫で部屋の空気を一声に塗り潰す。そうは言ってもレミィにしては堪えた方だろう。

 「落ち着いて下さいお嬢様!」

 飛び起きた咲夜は咄嗟に空気を読み、レミィを引き留めながら剣呑な目付きで石橋を睨めつける、咲夜もご立腹なんだろう。当の石橋は目覚めたばかりだというのに二人からの激烈な視線により困惑している模様。二人に加担しても良いがすっかり忘れられている本題に話を戻さなくては。説明は本来こいつにする予定だった事だし、本来関係の無い二人にそう猛られても説明しづらい。

 「まぁまぁ、落ち着いて二人共、説明するから」

 「僕は何故ここに……?ここ俺の部屋か?」

 「……一人称は統一したら?、まぁどうでも良いけど、あなたは何処まで覚えているの?」

 そう聞いても石橋は小首を傾げるだけだった──記憶の混濁が起こっているのなら魔力の欠乏によって倒れた可能性がある、魔力は普通にしていれば自然に回復していくのだが一旦空になったのでは、回復は遅くなるわ後遺症は残るわで少々厄介な事になるかもしれない。確かめておくか。

 「確か……魔法陣から火花しか出なくって、それで──そうそう急に疲れが来たんですよ」

 「記憶とかは大丈夫?、魔力は残ってる?」

 「えぇと、いけっかな……えいっ!」

 そう言うと石橋は指を震わせ指先から雷を出して見せた、それはとても小さく、お世辞にも魔法とは言えなかったが確かに魔力由来の力だった。これなら大丈夫だろう、一回やってみただけで魔法陣無しでの魔力の変質成功とは──成長が早すぎる気もするが実践で手にはいる経験がそれだけ大きいってことだろう。

 「ねぇパチェ?、そういった事はどうでも良いからさっさとあの轟音の正体を説明してよ」

 あれだけの怒号を発しておきながら落ち着く事は無いらしい、未だに頬が上気している。まぁ石橋の方もあまり納得した様子は無いし、なんなら実物を見せた方が良いかもしれない。

 「じゃあ、分かったわ、何が起こったのか、その目で確かめさせてやるわよ」

 そう言ってするりと窓を抜ける、あのサイズでは室内で射つわけにもいかない。そして携帯している魔導書から火属性変換、魔力増幅だけの中級魔法陣を夜闇に浮き上がらせる。これだけで準備は終了。本来あんなに時間の掛かるものでは無い。

 「今からやるから、しっかり見といてよ」

 きょとんとしている石橋を指す、まったくしっかりして欲しいものだ。ふっと一息吐いて魔法陣を見つめ、あの火柱を思いだす。そして一気に魔力を吹き込む!。

 吹き上がった火柱はロビーの天井を目指した時と同じ様に、黒々とした夜空を焦がさんと天に伸びて行く。

 「ええっ!?嘘っしょこれ!っはー、やべぇなぁ……」

 ひとしきり興奮した石橋は突如電源が落ちたかのように静止している、どういうリアクションなんだろうか……レミィは理解したっぽいけど。

 「これがロビーで発生したからあんな音が出たのね」

 「まぁだいたいそうね──なんでああなったかは分かってないけどね」

 「えっ?パチェじゃないの?」

 「あいつがやったのよ、私は魔力を貸しただけ」

 へぇ、と意味ありげににやつくレミィ、こういった顔の際は大方何かを企んでいるのである。巻き込まれる側からしたら警戒するべきだろう、とは思うものの代わり映えしない日々よりかは厄介事の方が充実した時間を過ごせる。幸い人間よりも長い時間を過ごせる事だし、意味の無い悪ふざけも悪くない。そう思って二人でニヤニヤしていたがふと見渡せば咲夜が居ない事に気付いた。

 「あれ?咲夜は?」

 「食器を洗いに」

 納得したところで弱々しい低音が聞こえてきた。

 「あの……僕はどうすれば良いですかね……」

 「何でも良いから仕事はした?」

 「清掃をしました」

 「仕事さえしたら別に自由に過ごしても良いわよ、特に寝る時間とかも決めて無いし、まぁ何も仕事をしてないのに遊び回ってもらってちゃ、流石に色々考えるけど。」

 そう聞いて考えこむ石橋、しばらくすると自分のバッグをあさり空色の機器を手にどっかに行った。

 「私達も戻る?ここあいつの部屋だし」

 そう言われて思い出した、何気なく過ごしていたがここは石橋の部屋になったのだった。持ち主が目覚め、必要な説明も終わった今長居する理由も無い。

 「そうね、あの現象についても考えたいし……私は図書室に戻るけど──あなたはどうするの?」

 「暇だし私も行こうかしら」

 今回の会話は部屋に重厚な沈黙をもたらす事は無く、少女達は会話を弾ませ、気分を弾ませて──部屋を去って行った。

割と本気で終わりが思い付かないんですよ……

閲覧有難うございました

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