弟子入り編2/?
「結構勤勉なのね」
「有難うございます」
どれ位俺は不真面目に見えているのだろう、それっぽい見た目じゃ無いと思うが……そういうアピールが足りないのかな。
「唐突で悪いけど、昼食を門番に持って行ってくれない?」
「門番って居ましたっけ?昨日の昼は居なかった気が……」
「あのときは休憩中だったってだけでちゃんと居るわよ……、ともかくあなたの分も入れてあるから、頼んだわよ。」
はぁ、もうそんな時間か。腹時計が故障気味な俺には気付けなかった。それにしても館の門番かぁ、どんな人なんだろうな。なんとなく厳格なイメージ。
玄関を出る。正午の日光が目に痛い、この館に来て確実に日光に弱くなっている気がする。朝から眩しさにやられっぱしだ。太陽から逃げる様に目を背け、渡されたバスケットを覗けば綺麗に並んだサンドイッチが、早く食べてみたいものだ────
さて、今俺は紅魔館門前に居る訳だが、ここで寝てる中国っぽい少女を俺はどうすれば良い?。周りに人影は無い、すれ違いになったか……とも考えたがはたして館に玄関以外の出入口が有っただろうか。少なくとも俺の覚えている地図にはそんな場所無かった気がする。それにメイド長はその可能性までは示唆してはいなかった──はぁ直接聞くのが結局一番早いか。
「起きて下さーい」
「Zzz……」
起きない、真っ昼間に立ったまま寝る事自体凄いのだが更に起きないとは。これで門番が務まるのかは……はたはた疑問ではある。
「起きて下さい!昼食ですよ!」
「はっ!昼食ですか、いやぁー今日の昼……って誰ですか!」
「新入りです、咲夜さんに言われて昼食を届けに来ました」
「有難うございます、あ……寝ていた事は咲夜さんには内緒にお願いします」
一般的な門番のイメージを塗り替える調子の良さである。
「立ち話もなんですし、座れる所行きましょう」
こっちです、と案内された先にはカフェの屋外席のような簡単なテーブルと椅子。思ったより質素だ。
「今日の昼食は、おぉ、サンドイッチですか、頂きまーす♪」
門番は笑顔でサンドイッチを食べていく、寝ていても腹は減るのな。まぁそこはいいや。俺も手を付ける事にする、このままだと俺の分まで無くなってしまいそうだったし。
「まさかあなたがここで働いているとは、てっきりお嬢様の食事になるのかと」
「どういう事ですか?」
「あなたは気を失ってましたからね……、咲夜さんが連れて来たんですよ、お嬢様の依頼の品だって言って」
俺の記憶が咲夜さんに会った後の事か、道理で知らない訳だ。だとすればあの状況から助け出してくれたのは咲夜さんか、何から何まで申し訳ないな。
「あっ、仕事は何をされているんですか?一言で仕事って言っても色々有りますけど」
「執事長に任命されました、まぁ、新入りなんで色々分かってませんけどね」
「えぇっ!?上司だったんですか!?って執事なんて居ましたっけ?、あぁすいません、これはとんだ失礼を」
「あぁ、いえいえ、まだやれる事は少ないですし、僕の方が後輩ですから」
「そうですか?だったら私も一つ先輩風を吹かせましょう!なんかリクエストは有りませんか?」
「じゃあ今度手合わせしません?、武器の切れ味を試したいんで、それにあなたも門番って事はそれなりに強いのでしょう?」
「体術であれば負けませんよ!」
ここで門番が高速で最後の一個を差し押さえる、それも数秒のうちに綺麗さっぱり無くなってしまうが変わらずに会話は弾む。
「体術ですか、いけっかなぁ」
「あなたは何を使うんですか?」
「刀を少々」
「なるほど、なら大丈夫そうですね」
「ほほぉ、言いますねぇ、休憩時間はいつ取れそうですか?」
「いや、仕事柄休憩時間とか無いんですよ」
「無いんですか!?でもまぁそりゃそうか……」
「でも適当な時間作るんでその時にでもやりましょう!」
その時門番の後ろに見慣れぬ人影が──
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