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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
序章~幻想入り~
14/75

忙しき日々編2/?

初バトルなんですがどう書いたら良かったんでしょうかね……難しいです。

それとこの話はそこそこ長くなります。

倉庫から意気揚々と歩み出る。早く何か斬ってみたい、今なら人でも、魔獣でも何でも斬れる気がする。

 「で、何と戦えば良いですか!?」

 興奮を隠さず咲夜さんに詰め寄る、咲夜さんさんは鬱陶しそうだが気にならない。一秒でも早く何か斬りたいのだ。

 「相手は私、参ったと言うまでの勝負よ」

 その一言で一気に萎える、咲夜さんさんを斬りたくは無い。てっきり魔物の中でも弱い奴を試し斬りさせてくれるとばっかり思っていた。

 「間違えて斬っちゃったらどうしましょう……」

 「安心して、絶対に無いから」

 咲夜さんが強気な宣言をかます、そしてその口元には妖しげな微笑みが。昨日の咲夜さんさんの化け物相手の戦い……というより一方的な虐殺は忘れられる筈も無く、あれを知っているだけに何とも言えなくなる。

 「ほら。構えて、いつでもどうぞ」

 距離を取られ、構えを促される。取り敢えず刀を下段に構え、作戦を考える。そういえばこれは相手に参った、と言わせれば勝ちの模擬戦なのだ。萎えていなければ思い出せなかった。ちらっと咲夜さんの手元を確認するとその手には銀のナイフが光る。リーチ差を生かして刃先を使うか、思いきって飛び込むか。作戦は取り敢えず二択。今、咲夜さんは構えていない。きっと油断がそうさせているのだ、ならばその隙につけこむのも良いだろう。昼前の今、狙える最大の隙はあれしかない。構えを解かず、獲物を待つ毒蛇さながらに待つ。

 「来ないの?」

 まずい、そっちから来られるのは非常にまずい、もうちょっと待たせてくれ。焦りと共に嫌な汗が出てくる。きっともうちょっとなのだ、春の陽気をひたすら信じる。そのとき微動だにしない咲夜さんに動きがあった、ナイフを持っていない左手で口を覆う。来るか、来てくれ。あれを心待ちにじっと見つめる。石橋の緊張をよそに咲夜さんが口を大きく開き目を閉じる。来た、欠伸だ。

 それを合図に全力で走り出す、出来るだけ音を発てず、それでいて全力で加速する。最初の大振りで首ギリギリを狙い、返す刀でナイフを飛ばす。最初が肝心の作戦、絶対に失敗出来ない。

感覚を研ぎ澄まし近づく石橋に咲夜がようやく気付く。

これならいける。驚いている咲夜さんの首をはねるイメージで刀を振るう。そしてかろうじて避けた咲夜さんの目が見開かれる、首は駄目だったが体勢を大きく崩す事に成功した。ここまでは計画通りだ。

 「はぁっ!」

 気合を込めた一振りでナイフを狙う、しかし狙いがずれ、構え直す隙にバックステップで逃げられる。これでは作戦は失敗だ。焦りが強まるが焦ってばかりもいられない、これより油断無しの咲夜さんが攻めて来る。さっきの不意打ちで怒っていれば勝ち目は無に等しい。まぁ精々粘ってやろう。

 「危ないじゃない、もう!奇術『エターナルミーク』!」

 戦闘中ににあるまじき抗議の叫びを挙げ、カードを構えた咲夜が無数のナイフを飛ばしてくる。物量がえげつないので投げナイフの筈なのに立派な弾幕を貼れている。既にナイフで咲夜が見えない。成す術無し、どうしようとも大怪我必至だ。

 「危ねぇのはどっちだよ!、こんにゃろう!」

 敬語を忘れての絶叫。そうしていると頬をナイフが掠り、細やかな痛みを覚える。慌ててアニメの様に刃で弾こうとするが出来る筈も無く、皮膚と服をズタズタにされる。参ったと言ってしまいたい、しかし不意打ちまでやっておきながら降参なんて情け無くて泣けてくる。何をどうしても無駄だろう、万事休す。もうどうにでもなれ!。

 僅かな隙間を探しナイフの群れに突っ込む、もう全身が痛いがどうでも良い。捨て身の特攻である、咲夜も見えないがまた驚いているだろう。これ以外に策なんて無い。さっき逃げられた分の半ばまで距離を詰めたが、そこで脇腹に今までとは違う痛みを感じた。掠ったときとは違う、特大の異物感と、そこだけが焼け付く感覚。これは間違いなく刺さっているだろう、今までは運で助かっていたがそれも尽きたようだ。思わずぐうっ、と呻きが洩れる、これが異世界の痛みか。中程まで来ているから逃げる事も出来ない。

 兎に角安全地帯を探し、地に伏せてみる。うん、当たらない。詰めが甘かったな。 バレないギリギリまで、腹に残るナイフに気を付けて這い進む。銀幕の奥に少し人影が見える。場所は良いが、ナイフの幕から外れればすぐにバレてしまう。何かチャンスが欲しい。痛みに顔をしかめながら暫く耐える。すると先程叫んだ技に効果時間でも定めてあったのか、ナイフが急激に減っていった。今こそが最大限のチャンスだろう。

 「おらぁっ!」

 狙いも定めずに適当に咲夜に斬りかかる、作戦も何も無い。それを避けた咲夜はまたバックステップで逃げる、しかしまたさっきのようになってはたまらない。

 「逃がすかよっ!」

 ぴったり、とまではいかなかったが咲夜を追い間合いのキープに成功する。チッ、と舌打ちを響かせ咲夜はナイフで直接切りかかって来た、ここからが勝負だ。咲夜の動きには迷いも無駄も無い。しかも素早い上に時折のフェイントで更に速くなったように感じる。こんな猛攻防ぐので手一杯だ。そんな状態で攻勢に出られる筈もない。この辺で勝負は決まっているようなものだが、咲夜は妙にそのまま斬り合おうとはせず距離を取りたがった。逃がす訳にはいかない。パターン通りに逃げられる所で今度は咲夜の足元を薙いでみる。

 「何っ!?」

 刃先がかろうじて咲夜の足にかかり、予想外の衝撃に咲夜の着地が崩れた。このときばかりは基本的に不運な俺にも天が味方をしていた。

 この千載一遇、絶対にものにする。咲夜に体制を整えられる前に、急いで上から斬りつける。ぶつかり合うナイフと刀が火花が散らす、しかし咲夜の細腕のどこにこのような力があるのか、このままでは勝てそうにない。そこで刃を引かせ、一発の威力より手数を優先し何度も斬りかかる。こいつは首ばかり狙う、そう思ってくれるように丁重に首を狙って、フェイントをかますために。そして暫く打ち合うと斬りかかるほんの少しの隙にも咲夜はナイフを首もとに寄せ、俺の攻撃を防ぎ安くしていた。カウンターを狙っているのがバレバレである。これならいける!。

 「せい!」

 スピード重視で渾身の突きを放つ、狙いはさっきと変わりしっかり握られたナイフ。この瞬間は自分でも決まっていたと思う。突きの勢いを受け継ぎ、澄んだ金属音と共にナイフは春の晴天に舞う。それから緩慢な動作で、嫌味をたっぷりと込めて咲夜の首に刃先を突き付ける。

 「……っ!」

 「王手」

閲覧有難うございました

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