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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
序章~幻想入り~
12/75

就職編5/5(終)

「はぁ!?、まぁ別に良いけど……」

 今までメイド長として何人も執事志望、メイド志望の人間、妖精を面接してきたがこいつが一番おかしい。大体は吐くなり何なりするというのに、本当に初めてだこんな奴。私だって最初は泣きながら肉を裂き、謝りながら臓器を取り出した。行って丸一日は何も食べれなかった、一週間は夢の中まで血肉で染まり、悪夢にうなされた。それなのにこいつは現世でおそらくのうのうと育った筈なのに嬉々として人間を解体する。一つ一つの工程を丁寧に、憑かれたように熱心に。一体解体する毎に自分の技術の上昇に喜び、前に出来なかった部分が出来るようになると愉しそうににんまり嗤って。もうちょっと運んでくる奴を選べば良かった、と遅まきながら後悔する。そうして咲夜が言葉を失い自分の行いを悔いていると、石橋がちょうど三体目を捌き終わっていた。

 「よっしゃー出来たー!」

 三体を解体する頃には既に正確さ、手際のどちらも石橋のそれは咲夜に追い付いていた。やはり言葉は出せない、それが呆れからか、紅魔館で唯一この仕事を行っているプライドからかは咲夜本人にも分からない。

 「お疲れさま、もう今日は寝て良いわ、明日は六時に庭集合」

 「片付けは?」

 「やっておくわ」

 「ありがとうございましたー、お疲れさまでしたー」

 そう言うと石橋は地図を片手に自らの部屋に戻っていった。ふぅ、と一回大きなため息を吐き、奴が解体した死体を片付ける。正直な所、見事だ。初日にこんなに上達するとは、思ったよりは優秀なのかもしれない、色々とおかしい奴だが。しかしそれだけに不安だ、奴が仕事を出来るようになればきっと自分の、ひいては妖精メイドの立場が危うくなる、どうしたものか。

 「あなたらしくないわね、咲夜」

 「見ていらっしゃったのですか?、お嬢様」

 喋ったコウモリを中心に別のコウモリが集まり、人の形を成す。吸血鬼の技の一つだ。

 「あいつの様子は?、使えそう?」

 見ていたのなら分かるだろうとは思うけど一応答えておく。

 「お嬢様のお食事の準備だけは優秀です、他は大したこと無いかと」

 「へぇ、意外ね、これなら追い出す必要も無いかしら」

 お嬢様の言葉に一瞬体が強張り片付けの手が止まる、気にする事無い筈なのに。

 「……そんなに気になる?」

 お嬢様には隠せなかったようだ。ふふん、と笑いお嬢様が近づく。

 「所詮只の人間よ、なにも嫉妬しなくてもいいじゃない」

 そこまで気付かれていたか、お嬢様の洞察力には感服するばかりだ。なら隠さずとも良い。

 「私にはここ以外に居場所がありませんので……奴が成長した時、無用になるのが怖いのです」

 「それこそ無用な心配よ、私と咲夜の仲じゃない、今回あいつを雇ったのは咲夜に休んで欲しいからっていう理由も有るのよ、たまに無茶もさせちゃうし」

 「どうせ明日も早いんでしょ、もう休んだら?」

 「そうします、おやすみなさい、お嬢様」

 「えぇ、おやすみ、明日も頑張ってね」

 深く頭を垂れ、死体を詰めた袋を重そうに持ち上げる。そして咲夜は部屋を後にした。血の香りだけが残る部屋の中心でレミリアだけが佇んでいる。そして咲夜が行ってしまった事を確認すると一人でに笑った。

 「分からないとでも思っているのかしらね、私の自慢の従者の考えぐらいどうって事無いわよ」

 やがてレミリアも部屋から消えた。扉を閉める際、こんな扉でお互いの思いを隔て、閉じ込めてしまった妹の事を気にしながら。

これで就職編は終了となります、石橋がこれから紅魔館の住民とどの様な繋がりを築いて行くか──

是非ご期待下さい!閲覧有難うございました!

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