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紅魔の館の拾われ執事  作者: 夜に生きる中途半端
序章~幻想入り~
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就職編4/?

 「次で最後、これは別に出来なくても良いわ、出来なくても気にしないで」

 講習が一つ終わる度に聞いてきた説明に今回は妙なフォローみたいなものが入る。咲夜の表情を伺ってみるが少しも分からない。どんな仕事なんだろう、これは大人しく現地入りしてから考えますか、と思考を停止させ咲夜に付いて行く。

 「ここよ」

 咲夜が止まったのは厳めしい鉄の扉の前、所々に血のような斑点が見える。なるだけデザインであって欲しい。咲夜が錠に手を掛ける。これも鉄製で実に重々しく見える。扉は見た目に反して割と軽く開いた、奥は暗く、上手く見渡せない。しかし扉が開いたときからむせかえるような血の香りが鼻腔を刺してくる。扉のデザインといい何とも物騒な場所である、こんな所に執事のやる仕事が有るとは思えない。

 「ここではお嬢様の食事の準備を行う」

 咲夜に言われ初めて気付く、吸血鬼の食卓となれば人間と同じ物が並ぶはずはない。しかしそれは本当に執事やメイドの仕事なんだろうか、調べた事は無いがなんか違う気がする。

 「お嬢様は何を召し上がるのですか?」

 「人間よ」

 まぁ想定内だ、もうこの程度で驚く石橋では無い。人間を捌くのは中二病を発症していた小五、小六の頃に ずっとしたいと思っていた事だ、イメトレは完璧である。と思っていたがやっぱり緊張はする。

 「練習は死体でするわ」

 咲夜が奥にある台から布を取り外す。すると一糸纏わぬ裸体が目に飛び込む、べつに何の感情も沸き上がってこない、理由としてはがっつり男だということと外傷の後処理が見事であった事などが挙げられるだろう、死因も分からない。

 「死んでる……」

 現世のノリでついつい声に出してしまう。咲夜からの目線が痛い。すいません、と軽く詫びを入れ死体に向かう。

 「始めるわよ」

 咲夜が返事も待たずに死体に包丁を入れてゆく。また咲夜の表情を伺ってみるが無表情だ、そこに歓喜も憐れみも感じれない、どうやらここで咲夜の事を知ろうとしても無駄らしいと感じ、諦めて死体に視線を落とす。流れる様に作業は終わり、石橋の番がやって来る。

 「これで終了、あなたのはそこに有るからやってみて」

 咲夜の指の先を見るとそこには若々しい死体が、歳もそこまで離れていないだろう。咲夜に包丁を渡される。キョドっていても仕方がない、勘と記憶を頼りに見よう見まねで包丁を刺す。魚等を捌くときとは明らかに違う、ぞぶっとした肉の感触が手に伝う。最初はキモいが癖になりそうだ。目に焼き付けた咲夜の解体ショーを思いだしつつ解体を進めるが、所々に咲夜の解説が入る。やはり見よう見まねでは難しい、覚えの悪い石橋に途中からは咲夜も呆れ気味だ。しかし駄目であっても練習を重ねれば良い。

 「すいません、後一体……いや、二体やって良いですか」

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