終章‐ご利用ありがとうございます。またのご来店お待ちしております
いかがでしたか? 当店で取り扱う商品がいかにお客様の人生を変えているか、ご理解いただけましたか? え?「ハッピーエンドばかりではないのはどういうことだ」って?お客様、私も申し上げていましたでしょう。道具に罪はありません。それを扱う人間に問題があるのです……。『ポテンシャルカード』も『正義の帽子』も途中までは彼らの人生を大いに助けていたではないですか。ハッピーエンドを迎えられなかったのは、扱い方を間違えた彼らの過失によるものですよ。他の商品も同じことです。
「そんなの詭弁じゃないか」ですって? お客様、物を売った店がいつまでも保障をしてくれる訳ではないことをご存じでしょう? 例え商品に瑕疵があっても数年経てば時効となります。クーリングオフも、その権利を行使できる期間が決まっていますよ? 売った後の商品をお客様方がどう扱うのかは私の知る所ではありませんよ……。
もし、売った商品について、いつまでも責任を持たなければならないのなら商売なんて成り立ちませんよ。
「納得が出来ない」ですって? それは見解の相違と言うものです。商業は多かれ少なかれ『利点を大きく見せ、欠点には触れないもの』です。度が過ぎると詐欺になりますが、どんな店も、どんな営業マンもそのようにしていますよ? 今までの人生を振り返ってみてください。特大セールと言う名の在庫処分、読む気が無くなる様な分量の契約書、意図的に問題点に触れないセールストーク等、お客様にも覚えがあるのではないでしょうか?
……わかっていただけたようで何よりです。それでお客様は何を買われますか? ……ふむふむ。でしたら、このような商品は如何でしょうか? あなたの望みをかなえてくれるはずですよ。
お買い上げになりますか? ありがとうございます。お客様ならきっと素晴らしい使い方が出来ますよ。え? 商売トークじゃありませんよ。本心ですよ。
もうお帰りになられますか? かしこまりました。気をつけてお帰り下さい。ご利用ありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。
昔に書いた話です。
三人称が使えていないですが……。
お楽しみいただければ幸いです。