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元殺し屋の異世界転移  作者: 南無
第一章 異世界で最初の仲間は災厄の魔物でした
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殺し屋オファー

「報酬はなんだ? 話に乗るかどうかはソレ次第だ」


ホムラはアルマドフの言葉を聞くと目を細めながら椅子に踏ん反り返った

理由を聞かない事にアルマドフは驚いたのかいつもの半眼が少しだけ開く

クインも視線を一瞬だがホムラへ向けた


「報酬は私に出来る範囲の事ならば何でも、それだけ厄介この上ない依頼です」

「何でもねぇ……じゃあ金だ出せるだけ出せ」


完全にヤクザの如き物言いだがホムラは悪びれもせずアルマドフを見つめる

対してアルマドフもその言葉を聞いて悪い笑みを浮かべた


「いいですねぇいいですねぇ、ホムラさんみたいな人は中々いなくて困ってたんですよ損得で動く人間って案外貴重なんですよ」

「んで、仕事の内容はなんだ。俺に出来る仕事だから俺に声をかけたんだろ」

「そうですね、どこから話しましょうか」


アルマドフが事の発端を話そうとしたあたりで食堂の扉が閉められ窓にもカーテンが掛けられる

カーテンを閉めているシスターから視線を戻すと根回しは済んでいるとも言いたげにアルマドフはニコリと笑った



事の発端はカズマの魔王討伐らしい

蝿の王と呼ばれる魔王をカズマとその仲間たちは戦い一度敗北した、しかしそこに遅れてきた盲目のシスターのセシリアと共に辛くも勝利を収め晴れて勇者になった

魔王を浄化した聖女としてセシリアはアディスティナ教会で祭り上げられ首都パレスに招かれ祈りを捧げていた


街の東の外れにある霊廟では今までの聖女が安置されており新しく聖女に認定された者は巡礼と称してほかにも複数存在するアディスティナ教の霊廟を回らなければならないらしく

聖女セシリアもその初めとしてパレスの霊廟を巡った。


パレスの霊廟は世界でも最大級であり地下に広がっていゆく珍しい場所でもあった

アルマドフいわくパレスの聖法騎士団は歴史上でも飛びぬけて戦死者が多く後の死者のために霊廟を含めた巨大な墓地を作ったらしい


パレスの霊廟の巡礼をセシリアは無事に終えてコンクレスタなのどにある他の聖職者や聖騎士たちの墓を回り最後にまたパレスの霊廟を巡って巡礼は終わる


しかしセシリアは戻らなかった、最後の巡礼の最中に霊廟から大量のアンデットが現れ護衛の部隊は全滅しその後に各地で聖騎士のアンデット化が始まった

アルマドフはクインや自身の扱える部隊を総動員して情報を集めた結果ある結論にたどり着いたのだと言う


ここまで話してアルマドフは食後の薄い紅茶の様な飲み物を飲んで口を湿らせた

これから話すことは依頼を受けても受けなくても口外するなと前置きを置いてアルマドフが口を再び開く


「どうやら聖女様が黒幕っぽいんですよ、コンクレスタの黒騎士から面白いものが出てきましてね」


そう言ってアルマドフはポケットから小瓶を一つ取り出した

その中に入っていたのは巨大な蛆だ、瓶の底に水が少し張ってあり蛆は弱々しく動いている


「その蛆がなんだ、デカイが一応死体から出てきたんだろ問題あるのか」

「ただの蛆なら外に出てきた黒騎士に沸いてきたと考えられなくもないんですけどね」

『その蛆は強い力を持っている』


いつの間にかトバリが現れて瓶に詰められた蛆を眺めながら呟いた

アルマドフはトバリの言葉にうなずきながら一回りほど大きいもう一つの瓶を取り出す

その中にはネズミの死体が入っておりアルマドフはネズミの入った瓶にさっきの蛆を入れた


すると最初は弱々しくネズミの上を這いまわるだけだったのに口元についた瞬間凄まじいスピードで死体の中へ入っていった

アルマドフが瓶のふたを閉めて机に置くと変化はすぐに起こった


ネズミの死体が小さく痙攣しているのだ

痙攣は次第に大きくなり初めに髭が動いた、次に尻尾が動き最後は目を開き四足で立ち上がってみせた


「これが聖騎士のアンデット化の正体です、通常死体が動くタイプのアンデットは瘴気やゴーストが死体に乗り移ることで発生します、よって結界を張ってある教会が管理する墓地の死体は瘴気を吸わずゴーストも入れません」

『だが物理的に死体内部に侵入して内部から瘴気を吐いてアンデット化させられるとどうしようもないのじゃろう』

「その通りです蛆の入っていた瓶には聖水を張っておいてかなり弱らせていたので力が足らなかったのでしょう、本来ならばこのネズミのアンデットは瓶を割って外に出てきて襲い掛かってきますし」


アルマドフはネズミの入った瓶の前で十字を切る

ネズミと言えども死体を弄んだ事に懺悔しているようだ

クインがネズミの入った瓶を受け取り腰のポーチへ仕舞った他の場所で処理するらしい


「話を戻しますが、この蛆が黒騎士の死体以外からも出てきたんですよ」


もったいぶらずに早く言えと冷えてより一層不味くなった野菜スープを飲みながらホムラはアルマドフの話を聞く


「聖女様の寝室ですよ、死んだとされて部屋の片づけをしていた使用人がアンデットに成りました。現在アディスティナ教会の上層部は満場一致で聖女セシリアを異端認定しました。しかし一度聖女にしてしまったので公に火刑には出来ませんですから霊廟内でアンデットを作り出しているセシリアをそのまま殺してもらって既に死んでいたことにして収めたいんです」


リアルに余裕なくて吐きそう

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