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元殺し屋の異世界転移  作者: 南無
第一章 異世界で最初の仲間は災厄の魔物でした
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もう一つの依頼

アルマドフの部屋に勇者一行と共に連れていかれ軽い説教を頂いて解散となった

説教自体はカズマを叱責するものだったがホムラも魔物憑きとしては破格な気配を発するトバリについて自覚を持てとの事だ


「トバリが見える人間の判断が分かんねーだよな、気配を悟られるのはまだ分かるんだけど」

「それは簡単ですよ金色の瞳を持つ人は基本的にそういったモノが視えますから」


クインが疑問に答えてくれた

確かに思い返せばアルマドフも杖を持った女も金色の瞳だった

勇者はトバリを気配で危険と判断して斬りかかってきたようなので気配を感じる事も出来る人間も一定数いるようだが


「あの人数差は正直生きた心地がしなかったなマジで」

『とはいっても先の勇者の仲間で動かれて一番困るのは黒服の仮面だったんじゃがな』

「そうなのか? むしろあの杖が光った時の方が変な悪寒がしたんだが」

『あの程度ならば防御魔法で事足りるが仮面の方は強者の風格を持っていた………勝ち負けは分からぬが厄介なのは確かじゃ』


そんな話をしながらクインと別れ部屋に戻り服を着替えて明かりを消す

今日は色々あったせいだろうか精神的疲労感のお蔭で少々硬いベットでもよく眠れそうだと思った時何者かの気配を感じた

気配の感じる方向の部屋の角の暗闇に目を凝らす

そこには先ほどまで話題になっていた黒い外套に身を包んだ仮面の女が立っていた


ホムラはベットから跳ね起き防御魔法を発動し、トバリも邪魔にならないようにと消え失せる

だが黒仮面はまたもや一切動かずホムラを見つめるだけだ

そんな膠着状態が十分ほど続いて全然戦い始めない両者に違和感を感じてトバリが姿を現す


「何の用だテメェ、さっきは何もしてこなかったのに気が変わったのか?」


仮面の女は答えない


『言葉を話せぬのか?』


トバリが声をかけるも聞こえていないのか変わらず無言を貫き続ける



         #


一晩が明けてホムラと仮面の女は未だに向かい合っていた

トバリは飽きたのか何かったら呼べと言い残し消え失せている


「朝じゃねーか! なんなんだお前!? 嫌がらせか? 勇者がアルマドフちゃんに叱られたのがそんなに気にくわなかったのかゴルァ!」


徹夜明けのテンションでホムラはついに黒い外套の胸倉を掴む

一切の抵抗がない事に驚くが掴んでしまったものは仕方がない、しかしこれからどうするかもホムラは考えていない


「いったい何の騒ぎですか」


そこで初めて事態が動いた

ホムラの声に顔色の悪い司祭メルセフが部屋に入ってきたのだ

その瞬間仮面の女はホムラの腕からするりと抜けて窓を破って逃走した


「本当に何の騒ぎですか」

「あの黒いのが部屋から出ていかない上に喋らないから徹夜で見張ってたんだよ」

「確かあの方は勇者様と一緒にいましたね、というか何故教会の者を呼ばなかったのです」


メルセフが破られた窓から飛び散ったガラス片をハンカチで拾いながら問う


「ああ、しかもアイツ俺より強い可能性があるせいで下手に動けなくてな。そのくせ何もせずに眺めてくるだけだし気色悪いったらありゃしねぇ」

「………ふむ、一応アルマドフ枢機卿に報告はしておきますが部屋は変えた方がいいかもしれませんね。神の家の寄宿舎で暗殺などあってはなりません」


嫌われていると思っていたメルセフが意外と親身に話を聞いてくれた事に驚きながらもガラス片を拾う手伝いをする

窓の割れた音で目が覚めたのか他の冒険者が様子を見に来るがメルセフが「窓に鳥がぶつかった様だ」と

答えるのでそれに話を合わせておく


「申し訳ありませんがホムラさんとカズマさんでは立場に大きな違いがあります、今ここで話を広めるより枢機卿に指示を仰いだ方がいいと私は判断しました」

「そうだな、アルマドフちゃんなら上手く事をまとめてくれるだろ」


本人のいない所でならばいいだろうと個人的に気に入ってしまった呼び名を口にするとメルセフはぎょっと目を見開く

流石に不味かったかとホムラはメルセフの表情の変化を読み取ろうとするが以外にもメルセフは小さく笑うとガラス片をハンカチで包んで立ち上がり部屋を出ていった


『あの司祭、案外冗談が好きなのやも知れぬな』

「気が合いそうな人間を初めて見つけた気がする」


一通り片づけを終えてエントランスの隣にある食堂で朝食をとっていると隣にクインが座った

未だに白い重鎧を外した所を見ていないがその重さに耐える椅子は何なのだど椅子に目を向ける

その間に正面にアルマドフが座った


「またまた面倒ごとに巻き込まれたようですねホムラさん」

「昔からそうだから慣れたっちゃあ慣れたんだけどな、今回の夜みたいなのは初めてで困ってる」

「災難でしたと言っておきます、侵入者の件はまだ何も手を付けていないのですがホムラさんに一つお願いが合ってきたんですよ朝食ついでに」


アルマドフがパンを小さくちぎり小さな口へ運ぶ、いつも眠たそうな半眼だが今は頻繁に欠伸をするので本当に眠いのだろう

クインは食事をとるつもりは無いらしく辺りをしきりに見まわしている


「なんだよ改まって………あ、まさかメルセフの奴チクったのか」


先ほどアルマドフちゃんと呼んだことを思い出しながら一瞬でも仲良くなれそうと思った自分が恨めしいと硬いパンに丸ごとかじりつく


「何の事か分かりませんけどソレについて聞いたら話がややこしく長くなりそうなので今回は聞かなかった事にします」

「あ、ああ。頼む最悪ボコられそうだから」


アルマドフは怪訝そうにホムラを見ながら野菜の入ったスープを飲み干した


「あーまっず、コレ昨日のヤツじゃないですかね変な風味あるんですけど………ああ、そうそう単刀直入に言ってちょっと殺して欲しい人がいるんですけどホムラさん()ってくれませんか?」



黒仮面の口調は考え中

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