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間章~12~
夢を視たーー。
暗い暗い底の中。
悲しみと苦しみが蔓延している闇の中。
泣いている声。
苦しみと、憎しみと怒り。
人の薄汚れた感情のすべて。
それらで満ちた世界の中。
何を求めるでもなく、静かに泣いている声。
ああーー。
朕は知っている。
この声の主をーー。
こぼれ落ちていく命の欠片を必死に掬い上げる。
けれど、手のひらから無情にもこぼれ落ちていく生命。
それを、どれだけ嘆き悲しめども。
そなたには、掬えまい。
それを、掬うことが出来るのは朕であってそなたではないからだ。
古世未。
そなたは掬う者ではない。