砂漠に住む魔物~18~
俺が今、踏みしめているのは、緑色の大地。
草が茂り、強い日射しも、ハゲ鷹もいない空。
ああーー。
俺は、抜け出せたのか……。
ずっと……
どれだけ足掻いたところで、
父の掌の上から抜け出すことなど出来ないーー
そう思っていたのに……。
今ここに、自分が立っているということは、父の呪縛から解放されたということーー。
嬉しいのか、どうかよく分からない。
気持ちの整理がまだついていなかった。
男の言葉に唆されて、城を抜け出したものの、本当に抜け出せるなんて思ってなかった。
でも、今こうして自分は城の外どころか、街の外、国の外にまで来た。
初めてのことで、まだ思考が追い付かない。
それでもーー。
早く俺は事を済まさなければいけない。
ラストの為に。
彼女が戻る可能性が少しでもあるなら、俺は……。
必要なのは、人魚の肉とラストの頭。
それから、妖精の羽とエルフの血。
人魚の肉は、城にある。
俺がもっていた死体は、父に取られ、どこかへ隠されてしまった。
ラストの頭も城にある。
持ち出すことは困難だった。
だから、材料を集めて、その甦らせることが出来るやつに方法を聞く、最後に城に戻れば良いのだ。
城に戻るのは嫌だったが、人魚の死体をまた、持ち運ぶのは嫌だったし、何より城のどこにあるのか探すのは難しい。
実現が可能なことから、やっていくほうが良いだろうと判断してのことだ。
俺は、今度は間違えない。
たとえ、何を誰を犠牲にしようとも、必ず目的を果たして見せる。
たとえ、どんなにこの手を血で染めようとも。
たとえ、どれだけの死体が足元に転がろうとも。
俺はーー。
もう迷ったりしない。