砂漠に住む魔物~1~
そこを見つけるのとても容易であった。
街で聞いた噂を元に砂漠を探すと、すぐにその入口を見つけることが出来た。
入るのはそれほど容易でもなかったが、所詮は素人の警備。王城に潜り込むよりはずっと楽だったろう。
そうして、そこに潜り込んだ俺が見たのは何とも不思議な光景だった。
灯りは一つもない。地下にあるので、当然の如く窓もなく、太陽の光など入ってこられるはずもない。
それだというのに、室内は人が不自由なく歩ける程度には明るかった。
理由は明白だ。
通路の脇に溝があり、そこに流れている水が青く発光している。
最初は水の底に灯りでも仕掛けてあるのかと思ったが、どうやら水自体が発光しているようだった。
通路の壁には等間隔に水瓶を持った女の彫刻が施され、瓶の口から水が流れ出している。
不思議な光景であるのと同時に美しく、また不気味な光景でもあった。
人に見つからないように注意しながら通路を暫く歩き、少し開けた空間を見つけた。
すぐには入らず、入り口から中の様子を伺う。
中には少女が一人ーー。
腰まである白銀の髪。
白いスカートから出た細い足は、洋服に負けないくらい白く、青い斑点のようなものがあった。
少女に気づかれないように後ろからそっと近づき、気付いた。
青い斑点のように見えたのは鱗だ。
それを見て、鼓動が跳ね上がる。
ようやく、ようやく見つけたーー。
嗚呼。
どれほど、お前を探したことかーー。
一時、歓喜に酔いしれる。
ああ、こうしてはいられない。
もう目と鼻の先にあるのだ。
絶対に手に入れてみせる。
決意を新たにし、声をかけた。
振り返った少女の目は青く、首もとにも青い鱗があった。
俺はお前を手に入れる。
たとえ、どんな手を使ったとしてもーー。
誤字脱字があればお願いいたします。