砂漠に住む魔物~13~
刺すような日射しが俺に降り注ぐ。
背中にかついだ荷物は氷のように冷たく感じた。
一歩、歩くごとに荷物が重くなるようなのは変わらず、首を絞められているような錯覚もまた、消えない。
冷たい手が俺の首を絞める。
後ろから寄りかかるように、抱きつくように、人魚が俺を殺そうとしている。
そんな妄想に俺は取りつかれていた。
地下神殿を出てから7日経っている。
その間に2つほど街を通ったが、俺が目指す街はまだ先だ。
本当なら今頃はもう着いているはずだった。
予定よりも大幅に時間がかかってしまっている。
早く、ラストに会いたい。
彼女は今どうしているだろうか。
彼女との過去を思い出しながら、彼女との未来に想いを馳せる。
あの日、ラストは何故俺を生かしたのだろうか?
俺が彼女の立場だったら殺している。
自分が助かるために俺が嘘をついているかもしれない状況だった。
あの場を離れてから、俺が衛兵を呼ぶ可能性があった。
そうしたら、彼女は殺されていたかもしれない。
なのに、彼女は俺を信じてくれた。
きっと今まで散々裏切られてきただろうに、俺のことを信じて待っていてくれた。
そう思うと胸が熱くなる。
だから俺も彼女を信じてやらなきゃ。
彼女を守ってやらなきゃ。
どれほど、悪夢にうなされようとも。
命の重さに押し潰されそうになったとしても。
彼女の為に。
そして、自分自身の為に。
俺は必ずラストを助ける。
ラスト共に生きる。
人魚の肉さえあれば、彼女と共に生きることが出来るのだ。
背中の重みが彼女との未来を繋ぐ希望。