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7.イズモの場合

コメディじゃなくて恋愛に……いや、でもハーレムものなのに恋愛で……?

 屋敷から徒歩で十数分の場所にある、とあるビルの、お世辞にも広いとはいえない一室……そこにボクはいた。

 会社の事かどうか問われれば、一応はNOだ。

 詠様から受け継いだ物は会社や資産だけじゃない……詠様の持てる全てを……詠様が忌み嫌っていたものまで受け継がされてしまった……ボクでさえ、忌まわしいと思う、あの醜悪な……『教団』の幹部によって、半ば強引に……とってつけたような旗印として……

「イズモ様、ご用意は……」

「……もう出来ていますよ」

 取り繕った笑みを、教団におけるボクの側近……『ジェニー』さんに向けた。

 彼女は教団の中でほぼ唯一と言ってもいいボクの理解者だ。彼女を除けば、ボクをただ盲目的に崇め続ける信者と表面的にはボクを崇めながらもボクを利用することしか考えていない幹部しか、この『教団』には存在しない。

 しかし、彼女は自身の立場があるが故に、あまりボクに干渉しない。いや、出来ないの方が正しいかな……? まあ、それでも……

「……イズモ様、一昨日、ゾルゲ様の一派に怪しい動きがありました。イズモ様の事を快く思っておられないゾルゲ様の事です、おそらくは……」

「仕掛けられたらいつもの手を使って尻尾だけ教団から追い出して……そのあとで、それとなく忠告しておきますよ」 それだけを告げ、修道女のような格好で信者の集うホールへと向かった……


 ボクはこの『教団』が嫌いだ……

 斬りかかろうとして黒服の集団に取り押さえられた男を見下ろしながら、ボクは思った。

 たった数百にも満たない人数なのに協調性のないこの集団が嫌いだ……

 取り押さえられている男をけしかけた可能性の高い、ゾルゲの方を冷めた目で見ながらボクは思った。

 そしてなにより……ボクは教祖ボク自身が嫌いだ……

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