残されしイズモと憎悪の天魔 終
魔界編……完?
第三層『如界』と第四層『獄界』を繋ぐ扉……その目の前に、ようやくボクらは辿り着いた……
マスティマには一度半死状態にされ、ロカンセには詠様に関して衝撃的な事を告げられ……それでも、ボクは進まなきゃいけない。皆さん……ルシフェルさん、サタンさん、レヴィさん、ベルちゃん、マンモさん、バアルちゃん、アスモさんの元へ……他ならぬボク自身の、数少ないわがままの為に……
「……開きますよ?」
「…………待って、ここから先はイズモ1人で行った方が良い」
「……あー、考えてみればそうかもしれませんね……」
「……うぬ?」
「人の恋を邪魔する程、僕達は野暮じゃないもんね。イズモ君とは親友だけど、それとこれとは別だもん」
「そうでありますよ。自分達は待っていますから、存分に愛を語り合ってくるのでありまする」
「そんな目的じゃないんですけど……その……ありがとうございます」
皆さん(こういうことに疎いブルースさんは除く)に背中を押されて、ボクは扉を開き、吸い込まれるように入っていった……
……いつの間に気を失っていたのかは分からないけど、気が付けば誰かの太ももに頭を載せられていた。
恐る恐る目を開けば……
「やっと目が覚めたかしら、イズモ?」
ボクの、銀色に近い白髪を撫でながら、いつも通りの不機嫌そうとも取れる声色で言った。
「ルシフェルさん……!」
久し振りの再会……ついついルシフェルさんに抱きついてしまいました……
そして、気持ちが高ぶりすぎてルシフェルさんを抱き締めたボクに対して……
……ドアから顔を覗かせて、ダディしていたレヴィさんが一言。
「デデーン、イズモのDEATHポイント、ついに1000万点突破ッス、あと8782万8782ポイントであっしが地獄に送るッス」
そんなよからぬポイントのキリ番達成は通知しなくてもいいです。ホントに……
……あ、レヴィさんの事も抱き締めて、ポイントを下げてもらいました。
……それはそれとして、ルシフェルさんのハグと膝枕でDEATHポイントはいくつ溜まっていたんでしょうかね?
他の5人にも釈明をしようとして、早速サタンさんに拘束されました。
厳密にはサタンさんの膝の上……親が子供にするようにして座らされました。
……意外と悪くないんですね、座り心地は……背中の感触に関してあまり考えたくない事を除けばですけど。
「……つまり、てめぇは危険を顧みずに魔界の最下層まで旅してきた、と……」
「…………だって、寂しかったんですもん……いつの間にか皆さんが書き置き1つ残さずに居なくなっていたんですから……ミハエルさんの情報が無かったらボク」
「……ちょっと待てイズモ、今何つった?」
「え? だから、ベルちゃんのネトゲ仲間のミハエルさんが」
「そ! の! ま! え! だ! 書き置きがどうとかだ!」
久し振りに怒鳴られました。やっぱりサタンさんはこうでなきゃ。
「あー、書き置きが無かったんですけど……もしかして誰かの部屋に」
「……ちょっと待てやイズモ……緊急七罪会議だ」
…………えっ?
「証人、神河イズモ君、前へ」
即席で作られた証人席から立ち上がり、謎の会議にて証言するために口を開いた
「……朝起きたら、皆さんが魔界に行っていたために居なくて……一応書き置きがないかとか、皆さんがどこかに隠れていないかとかは探したんですけど見つからず……」
「異議あり! ベルちゃん的に今の台詞待った!」
……逆転でもするつもりなんですかね? この会議で……
「今、『置き手紙が無かった』って言った?」
「はい、確かにリビングとかを探しても書き置きが無くて……」
「ベルちゃんたちは、イズモが寂しくないようにって思って、ちゃんと明日までには帰るって書き置きをイズモの部屋に置いていったんだけど!?」
「えぇっと……」
「とどのつまり、その言葉は矛盾しているウラ!」
……帰っていいですか?
「そ……そうだ……! 確かにベル公の言うとおり、オレ達はちゃんと置き手紙を残していったハズだ……!」
「でも現に置き手紙は無かったワケなんですけど……」
「ベルフェゴールに代わって異議を宣言するわ。確かに私は皆に手紙を一枚ずつ受け取った後、それを投げ捨……別の封筒に分け」
「ちょっと待ってよルシフェルちゃん! とすると、ぼく達の手紙はどこにやったのさ!」
「そしてその封筒はさておき、私の手紙と本題の書かれた手紙を同じ封筒……いつかあなたに貰った指輪と蝋で封をして、あなたの部屋のテーブルに置いたはずよ」
「ボクからも異議あり、その証言はベルちゃんのものと微妙に」
「ちなみに、マンモ以下6人の手紙はリビングのテーブル……の下のゴミ箱に捨てておいたわ」
「この女あっしらの手紙を捨てやがったッスか!?」
「返せーベルちゃんの労働力をー返せーベルちゃんのお小遣いをー!」
「……鬼」
「ルシフェルちゃんの悪魔!」
「えぇっと……ちひ」
「(緑色の服きた三つ編みの事務員)ッス!」
「パメ畜が!」
「まないた悪魔ー!」
…………それにしても……ゴミ箱を探しても、机の下を探しても、更に使われていない倉庫を探しても見つからなかった手紙は……一体誰が何のために奪っていったんでしょうかね?
「ストップストップ、埒が開かないのでストッ」
「あのぉ……わたし、魔界に行く直前にゴミ箱に入っていた手紙をリビングのテーブルの上に置いたのですけどぉ……念のために」
「それを早く言いなさいこのウシチチ悪魔!」
「あ、悪魔はルシフェルさんもですよぉ〜……」
……証言から情報を整理しましょう……
まず皆さんが手紙を書いて、その中からルシフェルさんが自分のものと要件を書いたものだけを抜き取って、後は封筒に入れてゴミ箱に……
そしてその手紙はベルちゃんが見た、と……
その後、アスモさんがその封筒をリビングのテーブルに置いた。ここまでは分かりました。
問題は……誰が何のために手紙を隠し……いえ、誰が何のために両方の手紙を捨てたんでしょうかね?
「…………あ、そういえば、皆さんは何のために魔界に来たんですか?」
「…………大したことじゃないわ、マスティマが動き出したから気を付けろっていう忠告の為だけよ」
「……そして何者かによる手紙の故意の紛失……マスティマが詠様及び神様、そして七罪の皆さんへの宣戦布告……ロカンセさんが詠様の正体を告げて……そして、手紙で済ませれば良いはずの事をわざわざ魔界に呼んでまで……」
引っかかると言えば、ほぼ全ての事が引っかかる。
まず詠様に関する事……仮に詠様が本当にボクの守護天使だとしまして、更に言えば手紙の事の犯人としますけど……何のために手紙を捨てたんでしょうか?
そして、マスティマに宣戦布告をされたほぼ直後といってもいいタイミングのロカンセさんの言葉……
もしかして、ロカンセさんは聞いていたんじゃないでしょうかね? いえ、全て知っていたんじゃないでしょうか? マスティマがボクに接触し、詠様達に宣戦布告をした事を……その上で……
これ以上は考えても無駄ですね。
…………本人の証言が無い限りは……
「…………ロカンセさん、隠れていても無駄ですよ」
そう、ドアの向こうで盗み聞きしていたロカンセさんに告げると、観念したかのように部屋に入ってきた。
「……よく分かったネ……イズモ君?」
「さっき、ルシフェルさんが手紙を捨てたと証言した時……よく聞いてみれば声が1人分多かったんですよ」
あえて口には出しませんけど、「まないた悪魔ー!」という言葉がロカンセさんのものでした。
「盗み聞きとはいい度胸してんじゃねぇか!」
「……嫌い、盗み聞きなんて卑怯な真似するロカンセは嫌い……」
「…………フフン、バレた以上は仕方ないか……ちゃんとボクが証言するよ。だから……ボクの事を嫌いにならないでネ? バアルちゃん?」
「……考えておく」
バアルちゃんは考えておくと言いました。嫌いにならないとは一言も言っていません。つまり……
「分かった分かった! じゃあ説明するネ!」
……まんまと釣られたロカンセさんが説明しだした。
「……つまりあなた、マスティマが宣戦布告するであろう事を見越して、イズモに真実を教えたの?」
つまるところ、ロカンセさんの口から語られた言葉はそういうことだった。
そして、手紙で呼んだ目的は……「正直あまり出歩きたくないボクがキミ達の様子を確認する方法がコレだったからネ!」の一言ですまされた。
ボクが死にかけたにも関わらず、たったこれだけだった。
勿論、バアルちゃんの判定は……
「…………判決、ロカンセ……嫌いだからタイキック」
「バアルちゃン……約束ハ……」
「……タイキックが嫌? じゃあ……サタンビンタ」
「ほちくなイ! そんなのほちくな……」
……インガオウホー、ロカンセさんはこれで反省してくださいね。
「イズモ君! 代わって! 何でもするから!」
「ロカンセ……歯ぁ食いしばれや!」
ピタァン!
……ロカンセさんの自業自得なので同情はしません。
ネクストテビルズヒーンッ!……
ニート可愛いベルちゃん「ソウル、マリオネッター」
「ところでなんでソウルマリオネッターなの?ベクターなの?ポイント制なの?和久名は死ぬの?」




