2.サタンさんの場合
「おいクルルァ! イズモ! なんだよこのプレゼントは! 宛先間違えてんじゃねぇんか!」
ある日の昼、ちょっと休もうかと思っていた時に、ボクの部屋の扉にノックせずにサタンさんが入ってきました。
丁度良いタイミングだったので一時作業を中断する事にしましょう。それに、少し言わなければいけないこともありますし……
「今度から部屋に入るときにはノックしてくださいね、サタンさん」
「んなことはどうでもいい! なんでオレ宛でこんなチャラチャラした下着が届いてんだよ!」
「あー……」
ボク以外にはあまり分からないでしょうから説明させてもらいます。あれは今から5日前……
「プレゼントですかぁ〜?」
「はい、サタンさんに何をプレゼントしようか迷っているんですよ……他の皆さんへのプレゼントは一応もう決まっていますけど、サタンさんだけ何が欲しいか分からなくて……あ、アスモさんには服をプレゼントするつもりでしたけど、他に欲しいものとかありますか?」
「サタンさんに……あ、可愛い下着なんてどうでしょうかぁ〜?」
「下着、ですか……ありがとうございます」
「いえいえ〜悪魔と人の関係も、基本的には助け合いみたいなものですから〜」
「アスモさんの言う通りですね」
以上、尺延ばしの一切ない回想シーン終わり。
ボクは結構働き者なので回想シーンで尺延ばししたりなんてしませんよ。
「おいイズモ! てめぇなんのつもりだ!」
「……プレゼントのつもりだったんですけど……気に召さなかったんですか……?」
「…………いや、サイズはあってたし、デザインも悪くはなかったんだけどよ……チャラチャラしてるのはあんまし好きじゃねぇから……その……」
確かに、アスモさんに薦められたデザインだったとはいえ、ちょっとサタンさんが気に入るかどうか微妙な……流石に可愛すぎるデザインだったかな……?
そんな事を考えていると、サタンさんが叫んだ。
「ああもう! 着りゃあいいんだろ! 着りゃあ!」
そう叫んで、サタンさんが部屋を飛び出していった。扉を開けっ放しで……
「また開けっ放しにして……今度また一言言わないといけませんね」
なんだかんだで休めたと判断したボクは、詠様から受け継いだもののひとつである、神河コンフェルツの社長としての仕事に戻ることにしました。