9.ルシフェルさんとボクと……
ルシフェルさんの過去少し
「ルシフェルさん」
「……なにかしら?」
仕事に少し余裕が出てきたため、前々から少し気になっていたことを、ルシフェルさんに聞いてみることにした。
「誰かとの賭けでボクを堕とすためにルシフェルさん達が来たっていうのは一応聞いたんですけど……」
「……誰から聞いたのかしら?」
「マンモさんからです」
「…………それで?」
「誰と賭けをしたんですか? マンモさんからはルシフェルさんの親友にして宿敵に賭けを持ちかけられたって聞いたんですけど……誰なんですか?」
マンモさんに聞いたときには曖昧に誤魔化されたけど……ルシフェルさんなら答えてくれるかもしれない。だから……
「……ねぇ、イズモ……あなたは私について、どこまで知っているのかしら? 私の過去のこと……」
「……確か、元天使でしたっけ? それで……堕天して傲慢の悪魔に……あ、ひょっとして天使ですか?」
「……なんでそこで微妙に外すのかしらね……まあいいわ、要点だけ説明してあげるわ。心して聞きなさい。」
「まだ私が天使だった頃、神に一番近い天使と呼ばれたふたりの天使が居たわ……まあ、片方は私なのだけど。ある日、当時の神が悪魔退治を私達に命じたわけ。たかだか300程度の悪魔を退治しろっていう命令だったわけだけど……まあ、その時に色々あって急に虚しくなったのよ……だから、それで神に反旗を翻すして……でも、親友にしてライバルだったあいつの指揮する軍勢に敗れて地獄に落とされたワケよ……その後の七罪の悪魔になるまでの経緯は省略するけど、そんなことがあって私は堕天使になったわけ。それなのに……私が七罪の悪魔になった後にも、あいつは何故か積極的に私と接触してきたのよ。下手を打てば自分が失脚しかねないのに何度も何度も……まあ、今回の……アンタを堕とすっていうのもそういう感じの経緯があったのよ。だいたい分かったかしら?」
……つまり、ルシフェルさんのライバル兼親友……仮にSさんとするけど、そのSさんが堕天使になったルシフェルさんに対して何度も会いに来ているらしい。そんな時、Sさんがルシフェルさん達にボクを堕落させられるかという賭けをした。
うん、だいたい分かった。堕天の経緯はあんまり関係なさそうだったから話半分に聞いて記憶したけど、ボクを堕とす事になった経緯は分かった。
それに、そのルシフェルさんのライバル兼親友がどういう人でなんのためにルシフェルさんに会いに行っているのかも。
「とどのつまり、今の神様がルシフェルさんに会う口実を作りたいがために、ボクを堕とせるかどうかの賭けをしたわけですね?」
「……その平和ボケした脳が書き換えられる程酷い目に遭わせようかしら?」
あながち間違ってはなさそうだったんですけどね……?
次は……イズモの過去少しかも?




