あくまでもプロローグみたいなものです。
あくまでもプロローグなので本編より少し短めです
はじめまして皆さん、神河イズモと申します。
突然ですが、皆さんは『はーれむ』というものに憧れを抱いているのでしょうか?
別にボクは変な質問をしているワケじゃないので、皆さんには普通に答えていただければ大丈夫です。
多分ほとんどの男性は憧れを抱いているのだと思います。
それはそれで結構です。なんとなくボクにもその理由は理解出来ます。そして、女性にモテない男性ほど憧れが強いことも理解出来ます。
別に喧嘩を売っているわけではないです。今のボクの状況を説明する前段階としてお話したまでです。
そして、今のボクが置かれている状況なのですけど……
「イズモさぁん……フフ……」
色々ありまして、気づけば絶世の……いえ、傾国の美女と同衾しておりました。
あ、嫉妬はしないでください。やましい事は何一つありませんから。そこら辺、ボクはしっかりしているらしいので。
それはさておき、ボクが話そうとしていたことの続きを……
「起きなさいイズ……モ……って何をしているのよアスモ! このルシフェル様を差し置いてイズモを堕天そうなんて100兆年早いわ!」
この名前でピンときた、もしくはティンと来た方も多いとは思いますが、一応言わせていただきますと、なんとこの2人は悪魔なのです。
なので100兆年もそう非現実的な数値では無いわけです。それ以前にボクは生きていませんけれど。
それはさておき、彼女達は2人だけボクを堕とそうとしているわけではありません。
七罪、傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲の7つそれぞれを司る悪魔、7人と色々ありまして同居しているわけでございます。
あえて同居とした理由としましては……え、妬ましいですか?
ボクの置かれている状況が端から見れば妬ましいという事はさておきまして、ボクを堕とそうとしているのは7人中、実質半分程度といったところです。
ある人はボクには欲望そのものが欠けているといい、またある人は謙虚過ぎて恐ろしいと言いました。
そういったボクの性格もありまして、彼女達は半ばボクの事を諦めている状況なわけです。
一応ボク自身をフォローしますと、生まれた時からこのように無欲で謙虚だったワケではありませんし、過去に辛い出来事があったからという理由で心を閉ざしたわけでもありません。
全ては詠美様……大叔母様の英才教育の賜物……いえ、副作用といったところでしょうか……
まあ、ボクの自分語りはさておきまして、そろそろ2人を止めないとお腹を空かせた皆さんが……
「起きろイズモ! 飯はまだか!」
一番声の大きな、憤怒のサタンさんがやってきました。
「やれやれ……あっしらがお腹空かせて待っているのに……なんと妬ましい光景か……!」
次いで嫉妬のレヴィさんが、何故かボクを巡って喧嘩をしている2人に嫉妬心を燃やしながら覗きに来ました。
「アスモちゃんもルーシーちゃんも、喧嘩するならイズモ君はボクが貰うっちゃうよ? あとイズモ君、早くしないとボクが料理作っちゃうよ?」
「……(無言の拒絶)」
「ベルちゃん、マンモの料理を食べるくらいならイズモが料理するのを待つし……」
面倒見の良い強欲のマンモさんもまた、暴食のバアルちゃん、怠惰のベルちゃんの2人を半ば強引に引きずりながらボクの部屋を覗いた。
「あー、ルシフェルさん……ボク、朝食作りに行ってもいいですよね?」
「勝手にしなさい!」
一応許可を貰えたから、厨房に向かうことにしよう。
ちなみに、前にこのような状況になった時に一度だけマンモさんに任せてみたんですけどその結果は……まあ、ベルちゃんの言葉で察してください。端的に言えば、盛大に失敗したワケです。
さて、改めて聞きますけど……間違っても悪魔な7人には堕とされてはいけないこの状況、羨ましいと思いますか?
普通の人なら堕とされても一向に構わないから添い遂げようとするか、理性と欲望の板挟みになるような状況ですけど、このような状況になったのにはワケがあります。
まあ、理由は後々語りますので、早く料理を作らせてください。話はそれからでも遅くはないですから。
とりあえずルシフェルさん回からいきましょうか……




