最終話
彼の体も首から血しぶきをあげながら倒れ伏した。勝利をおさめたトールだったが全く嬉しくなかった。大切な人を失ってしまったのだから。
†
ここはベルガジの傍の丘陵地帯にある墓地の一画。トールが膝を曲げ拝む墓石にはカルト・バーンズと記されている。二年が経ち少し大人になったトールは心の中で
(カルト君、トールです。未だに男同士の約束は守れてないけど一歩一歩前進しています……多分。僕たちには新しい仲間ができました――)
「こらカルトー! 待ちなさーい!」
(――犬のカルトです。君の名前をつけちゃったけど許してね。今も幸せです。カルト君が居てくれたらもっと嬉しいのにな……)
「やっと捕まえたわよ! カルト!」
スミレが茶色い雑種の犬カルトに首輪を付ける。じたばた暴れる犬のカルトであったが首輪を付けられてしまった。なんか悲しそうな顔をしている。ミーニャがトールの横に来て
「カルトってどんな人だったの?」
「とっても勇敢で心根の優しい人だよ。しかも銀髪のイケメン」とトール。
「こら! カルト。止めなさい! トール逃げて!」
「へ!?」
ガプ! ガジガジ。
「痛ーい! 頭噛まれたー!」
(こんなそんなで楽しくやっています。カルト君見守っててね。歳をとったら君に会いにいきます)
END
最終話まで読んでくださりありがとうございますm(__)m




