41話
「!!?」
動揺し目をパチパチと開閉するトール。すると離れて物色していたスミレとミーニャが足早に集まってきた。女性陣二人は老人を怪しんでいるようだ。
こんな遺跡のような廃墟に人が居るなんて普通考えられないし、当然だろう。猫耳をピコピコさせながらミーニャが口を開いた。
「おじさんは人なの?」
失礼極まりない質問だ。しかし老人は気を悪くした様子もなくミーニャ達を振り返って視界に入れ回答した。
「人であり赤虎でもある。少年よそなたの名前はなんだ?」
「えと、トールです」
「トール……ミルニの子か……生きておったか……なんと嬉しいことじゃ。トールや、わしはルンテ、そなたの祖父で君の母の父じゃ」
「え!? おじいちゃん?」
ルンテはしわしわの顔を喜びに歪ませ、トールに歩み寄りトールの右手を両手で優しく握った。小さな手だとトールは思った。しかしトールを自然と安心させた。
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トントンと豪奢な造りの扉をノックするカルト。彼の心は喜びに震えていた。ここで俺は強くなれる。奴を殺せる程に。もっと実力をつけたい。しかし反応が無い。
カルトはドアノブを回した。しかし鍵がかかっているようだ。




