34話
「うぐっ。うぐぐぅ……」
魚屋の店長は不承不承に猫族の女の子を解放した。すると女の子はトールに抱き着いた。彼女からはとても心地良い香炉のような香りがした。
「ありがとう、お兄さん! 恩は体で返すね」
「え!? 体!?」
顔どころか耳まで赤くするトール。少し想像してしまったようだ。
「私はミーニャだよ。」
人垣をかきわけ住宅街を歩くミーニャとトール。並んで歩く二人はまるで眷属のようだ。
「二人はまるで恋人のよう!」
「え!? なに?」
戸惑いを顔に出すトール。彼はそれとなくミーニャに質問する。
「家族とかはいないの?」
ミーニャは悲しそうな表情で頭の上の耳を寝かせ
「居ないよ……独り立ちしたんだもん。でもお金無くなっちゃて……つい盗みをはたらいちゃったの」
「そうなんだ」
「お兄さん名前は?」
「あ、そうだね。忘れてた。僕はトール」
「トール。私を雇ってよ。お礼は体で返すから」
「えー!? いや体で返すて……。お礼はいいよ。行くとこないならついてきなよ。宿屋だけどね」
「わーい! トール大好き!」
ミーニャは背伸びしてトールの右頬にチュッと口づけした。
あけましておめでとうございますm(__)m
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