復讐令嬢は生まれない
「おまえみたいなちんちくりんが嫁に!? 冗談じゃない!」
「こっちだってお断りなのだわ!」
「――と、いうのが初対面での第一声でしたね。お互いの」
にこりと微笑んでいるものの、しかし目はこれっぽっちも笑っていない男に言われて、王は若干たじろいだ。
「そもそも最初にお断りしましたよね。イヴリエンヌは我が公爵家唯一の娘。将来は婿を迎えて女公爵となるのだから、王家に嫁入りをするわけにはいかないと。
それをどうしてもとごり押しして、とりあえず顔合わせだけでも、と陛下が言うものですから仕方なく娘を連れて登城しましたが。
まさか挨拶もなしにあのような事を言い出すとは思いもしませんでしたよ」
ははは、と笑っているがその声に温度はない。
乾いた笑いというよりは、完全に棒読みである。
「む、しかしまだ子供であるが故に」
「それ言ったらうちの娘もそうなんですよ。
殿下が会いたいと言っている、とりあえず一度顔合わせだけでも、と説明して連れていったのに、会いたいと言っていたはずの殿下があの態度ってどういう事ですか。
あと、殿下は確かにまだ子供で六歳ですが、子供のした事だからあの暴言を許せ、というのならうちの娘はまだ四歳なので。こちらも娘が殿下に言った言葉は同じように子供であるが故です」
六歳の王子の失礼な態度を許せ、と言うのなら、王子を拒絶した娘も許されて然るべきである。
これがたとえば、王子が失礼な態度をとった相手が二つ年下の娘ではなく、公爵本人であるのなら、子供のした事として大人の対応を取って水に流しただろう。
内心で王家の教育どうなってんだと毒吐くかもしれないが。
だが、相手は王子より更に年下の娘であるが故に、大人の対応を求められても困る。
公爵自慢の娘は四歳であるが既に淑女教育を始めているので、礼儀作法に関しては四歳とは思えないほどきちんとしている部分もある。
だがしかし、公爵家の娘であるが故に周囲がイヴリエンヌに対して失礼な態度を取る事がそもそも無い。
幼女相手だからと使用人が侮るなどあり得ない事だし、他家の子供たちとて公爵家の方が身分が上であるからこそ、親から失礼な事はしないようにと言われているし、ちゃんとした挨拶もマトモにできないのであればそもそも早い段階で関わらせようなんてさせるはずがない。
幼女相手に大人がみっともない態度をとれば、それこそそのような人物は社交界で噂が流れ、人としての器の小ささを露呈させるだろう。
イヴリエンヌが気にしなくても、彼女に対して失礼な態度を取るような相手を親である公爵夫妻が見逃すはずもない。
公爵家に悪印象を与えるかもしれない、となれば、そもそもの話イヴリエンヌを相手に失礼な態度に出る者などほとんどいないのである。
だからこそ、イヴリエンヌもまた相手に合わせて挨拶をしたり、友好的な笑みを浮かべて話をしたりするのだ。
無礼者に対する態度、というものを今の今まで公爵が見た覚えはない。何故なら今までそんな奴いなかったので。
ところが、初めての初対面で失礼な相手が現れた。
それが王子である。
城で開催された遊園会で五歳になった王女殿下に挨拶に向かった時に、王子はどうやらイヴリエンヌをちらっと見かけ気に入ったらしいのだが、あの子をお嫁さんにしたい! と言われてもイヴリエンヌは一人娘。将来は公爵家を継いでもらうつもりでいるし、それ以前に王家と今縁付く必要性はないのである。
何代か先ならまだしも、今縁付いたところでイヴリエンヌと王子とでは血が濃くなってしまいかねない。
だからこそ、王から話をされた公爵は主君相手とは思えない速度で断ったのだ。
元々公爵と王は学生時代どころか幼い頃からそれなりの関係を持っていた。その分気安さもあったが、しかし公式の場ではお互い弁えていたからこそ王は公爵の態度を咎めるでもなかった。
「先に言っておきますが、殿下が照れ隠しであんなことを言った、なんて言われてもこちらはそれを受け入れるつもりはありませんよ。というかイヴリエンヌはあの時点で義理を果たしましたし年下相手の無礼を大目に見るならまだしも向こうが年上。相応の態度もとれない相手の何もかもを母の如き慈愛を持って許せ、などまさか四歳児に求めませんよね?
甘えたいなら母親がいるのだから、きちんとそちらに甘えればいいのです」
まったくもってそのとおりだった。
王としては息子がもじもじしながらイヴリエンヌと会いたい、あの子をお嫁さんにしたい、と相談というかおねだりされて、家柄は問題ないし年齢差も問題なし、とくれば確かに彼女が嫁になっても問題ないだろう、と思いはした。
将来女公爵になる予定のイヴリエンヌだが、つまりそれは王妃になれるだけの素養もあるわけで。
公爵家に関しては親類から養子として誰かしら迎え入れれば問題ないと思ってしまったのである。
王としては息子が緊張のあまり思ってもいない言葉をつい口に出してしまった――要は照れ隠しである――とわかっているし、公爵もそれは理解している。
けれど、イヴリエンヌにそれを理解しろ、というのは酷な話であった。
会いたいと言われて、イヴリエンヌも王子様ってどんな方なのかしら? とドキドキワクワクしながらも城へ赴いたのだ。ところがいざ会った直後の暴言。
そもそもお嫁さん云々の話ですらイヴリエンヌはまだ聞いていなかった。
それなのに、いざ会った王子様からいきなりお前が嫁とか冗談ではない、みたいな事を言われて、四歳児は四歳児なりに考えたのだ。あの一瞬であっても。
そして瞬時にこの人嫌い、という判定を下した。
お嫁さんというものに関してイヴリエンヌは一応理解はしている。相思相愛の両親の姿を見て、将来は自分もおかあさまみたいにおとうさまみたいな素敵な方のところにお嫁さんにいって、素敵な奥様になるの。なんて言っていたくらいだ。
公爵がイヴリエンヌは将来家を継ぐからお嫁さんにいくんじゃなくて、お婿さんがくるんだよ、と訂正すればきょとんとした表情をしていたが、すぐにそうなのね! と理解する賢い娘なのだ。
それじゃあすてきなお婿さんを迎えて仲良くなって、領地の皆も幸せにできるように頑張るわ。
そうすぐに言える可愛い可愛い娘である。
王子とイヴリエンヌとの顔合わせは非公式だったので、王子の暴言もそれに対するイヴリエンヌの返しも表向き問題になったりはしなかった。
仮に公式の場であったとして、デビュタントすらまだの幼児だ。率先して失礼な事をしでかしたならともかく、最初にやらかしたのは間違いなく王子なので、それに対して反射的に返したイヴリエンヌの何を咎められようか。
イヴリエンヌからすれば、王女殿下とは良いお友達になれそうだと思っていて、その兄である殿下も会いたいと言ってくれたのだから、こちらとも良いお友達になれるのかもしれない、くらいに思っていたのだ。
それがいざ顔を合わせたらいきなり存在を否定されたようなものなのである。
喧嘩を売られた、と言い換えてもいい。
イヴリエンヌが公爵家の娘でなければ、もっと教育にゆとりをもって育てられていた娘であったなら、突然の暴言に言い返すよりも言われた事を理解するのに少しばかり遅れてぽかんとした表情で王子を見るだけで済んでいたかもしれない。
だが、幼い頃から既に優秀さの片鱗を見せつつあるイヴリエンヌは、言われた言葉を即座に理解して言い返すまで流れるようにこなしたのである。
イヴリエンヌがもう少し大人しい娘であったなら、言い返す事などできなかったかもしれない。
だが、その場合彼女にとって人生が不都合な方向に傾いていた可能性が高い。
「一応ね、娘には殿下と会った時は正直に答えていい、って言ってあったんです。
もう一度言いますがうちと王家を今縁付かせてもこれといった利はないので。むしろちょっと派閥間の調整をしないといけないから殿下と我が娘が結ばれるとなると面倒だなと思うわけで」
非公式の場であるために、公爵は容赦がない。
いや、一応これでも多少は抑えているのだ。
抑えていなかったら王子に対してもっとボロクソ言っている。
「それは……そうだが」
「だから殿下が娘に素直に君をお嫁さんにしたい、とか言ってたら、娘だって正直に答えたと思うんです。
結果までは知りませんが。
でも実際はアレです。正直に娘は殿下の嫁になどなりたくないと言ったも同然なんです。
なのに無理に王命で婚約を結ばせるような事をしてごらんなさい。
娘は嫌がり続け、我が公爵家並びにその一門は王家に不信感を持ち始め、最終的に国を出るかもしれなくなってしまいますよ」
「やっぱり!? やっぱそこまで!?」
王も王の仮面をかなぐり捨てて素で叫んだ。
「そりゃあそうでしょう。どうしても殿下とイヴリエンヌを結ばせなければならないだけの壮大な理由なんてどこにもないわけですし。
どうしても二人を結び付けなければ国が傾く、とか、そういう切羽詰まったのっぴきならない事情があるならともかく、ありませんよね」
「家臣たちが優秀すぎて国が傾く様子がないからな」
「派閥間での多少のいざこざはあれど、国平和ですからね。昔ほど政略結婚で無理に縁を結ばなきゃいけない、っていうのが今ないのに、そこで無理にやらかせば王家への不信感が一気に増しますよ」
だから、と公爵は一拍置いてから告げた。
「殿下には初恋は実らないものだと言い聞かせて諦めてもらうしかありませんね」
「そっかぁ……やっぱそうだよなぁ……」
頭を抱える王に、公爵は生温い眼差しを送るだけだった。
かくして、王子と公爵令嬢との婚約なんて話は、社交界で噂として浮かぶこともなく。
存在しない話なので誰も知らないままだった。
気になっているあの子に会える! とソワソワドキドキしていた王子はしかし出会ったイヴリエンヌの愛らしさに心打ちぬかれドキドキが限界突破しテンパった結果の暴言だったのだが、自身の言葉であるが故に誰かのせいにもできず、初恋は見事に散ってしまった。
しばらくは諦められなかったようだが、しかしあれ以降イヴリエンヌと直接会う機会もないままで。
妹の王女とイヴリエンヌが会っているという話を聞いても、その時にはとっくにイヴリエンヌは城にはいないので会って初対面の時の態度を謝る事すらできないままだった。一応謝罪の言葉を連ねた手紙を出しはしたものの、返事はとても当たり障りのないものでそこをとっかかりにまた交流をしよう、という流れにはなれなかったのである。
成長してなお、王子は初恋をずるずると引きずっていたけれど、それもイヴリエンヌに婚約者が決まったという話を聞いて、僅かに残されていた初恋の欠片は木っ端微塵に粉砕されてしまったのである。
それと同じくして自分にも婚約者が決まったというのも大きい。
幼い頃に失恋して、両親からそれぞれに慰められた時にいずれ自分にはイヴリエンヌではない相手が選ばれる事になるとは言われていた。
その時には王族として、人として恥ずかしくないようきちんと相手と向き合えとも。
そうじゃなければ、イヴリエンヌの時と同じか、それ以上に相手との関係が拗れるであろう事も。
幼かった頃はそれでもイヴリエンヌじゃなきゃイヤだと駄々をこねたりもしたけれど、成人間近となった今、流石にその我侭が通用しない事は理解している。
だからこそ、長く引きずっていた恋心をようやく捨てて、王子もまた他国から嫁ぐためにやって来た第四王女と真摯に向き合うのであった。
――原作回避ミッション コンプリート!
王子と友好国からやって来た第四王女との結婚式が終わり、その後に開かれた公爵令嬢とその婚約者との結婚式も無事に終わって、公爵は心の中でそう叫んだ。
よかった~~~~! おかげでうちも破滅しないで済んだ~~~~!
内心でそうホッと安堵する勢いですらある。
公爵にはこの世界ではない別の世界で生きていた記憶がある。
所謂前世の記憶であり、公爵は転生者だった。
田舎の親戚の家に行って数日過ごしていた間、あまりにも暇すぎて姪が読んでいた漫画を見せてもらっていたのだが、まさか自分がその世界に転生する事になるなど果たして誰が想像できようか。
一見すると絵柄はキラキラふわふわしたハートフルな内容の少女漫画っぽい印象だったのに、しかし中身はえげつない復讐物語だったのである。絵柄で騙されてるけど結構エグイ内容だった。
幼い頃に結ばれた婚約。
しかし婚約者は自分に対して常に暴言を吐いてくる。
こんな結婚嫌だと訴えても周囲は一切理解を示してくれない。
どうしても結婚しないといけない理由があるわけでもないのに、何故か自分にだけ強いられる理不尽。
結婚前ですらボロクソな扱いなのに、結婚したらもっと酷い事になるのでは……!?
そうして追い詰められた令嬢の、復讐物語であったのだ。
周囲の大人たちは王子が素直になれずつい照れ隠しでそういう態度に出てしまっている、と知っているから令嬢には嫌われていませんよ、と言葉で宥めたりしていたものの、しかし令嬢からすればそんな言葉信じられるはずもなく。
望まぬ結婚をするくらいなら……! とたった一人孤立無援のまま少女の復讐が今、始まる――!
っていう感じの内容だったのである。
復讐相手は当然婚約者である王子もそうだが、娘の親もそうだった。
王子の態度や言葉を伝えて、このまま結婚しても不幸になるのが目に見えているし、我が家だって侮られると切々と訴えたにも関わらず軽く受け取るだけの両親にも、少女の復讐の矛先は向いていたのだ。
そして復讐の先で両親は壮絶な死を迎える。
長年熟成された恨みつらみがそうさせたのだ。
可愛い絵柄でえっぐい内容だなー、と前世でなんとなく読んだ漫画。
そして自分はその壮絶な死に方をする少女の父親、とくれば選択肢は回避一択である。
現代日本と違って自由とか人権とか大分不自由な世界で、貴族として育てられた娘が家を出て平民に紛れて生活などできるはずもない。家から逃げ出す事もできず、結婚した後も夫に尽くさねばならないのに、その夫が自分を虐げる相手となれば未来に夢も希望も持てるはずもない。
せめて、少女が結婚を嫌がった時点で王子の態度がどうにかなっていれば救いはあったかもしれないが、しかしあの王子はツンデレのデレが限りなく消失した状態だった。好きな子を前にするとどうしても素直になれないのである。漫画ではそんな態度に出てしまう事をヒロインのいない場所で常に後悔し続け、次こそは……! と態度を改めようと努力もするのだが、しかしその次も失敗するのだ。
ひたすらに、ヒロインの事を愛しているのにそれが上手く表に出せない。
それ以外の人たちにはそういう事もないのに、たった一人、愛する者の前だけで素直になれないのである。
読者目線で見れば王子もなぁ……頑張ってはいるんだけどなぁ……でも拗らせすぎてるんだよなぁ……と生温い目で見ていられるが、しかし拗らせた言動をモロに浴びる令嬢からすればそんなもんは知ったこっちゃないわけで。王子は令嬢をとても愛していても、令嬢からすれば王子は最悪自分の命を狙って亡き者にしようとしていると思ってもおかしくないのだ。
結果として、殺られる前に殺れとばかりになるのだが。
直接手にかけるわけではなかったが、それでも王子のラストは凄惨だった。
愛してやまない相手から、死ぬほど憎まれていたと知って絶望の中命を落とす。
せめて愛する者の手で直接命を落とすのならまだしも、そうではなかった。
最後の一瞬であってもお前の瞳に自分を映してなどやるものか、とばかりのヒロインの気持ちに気付いた王子は、最期になってようやく「愛している」なんて言葉が口から出たものの、その言葉はヒロインに届く事は決してないのだ。
正直、絵柄だけが癒し要素。
内容はどこまでも救いがない。
すべてに復讐をしたヒロインだって、ラストは幸せになれていないのだ。
最近の若い子こういうの読むの……!? と前世で姪に対して困惑したのもいい思い出だった。
ともあれ、そんな世界に転生したと気付いた以上、原作展開を回避するしかないわけで。
主人公と同世代ではなくその親である、というのはそういう意味では有利だった。
自分の身分も高い事もあって、王族と関わる事があったのも大きい。
幼い頃から王族との関係を途絶えさせず、王の親しい友人というポジションを得て、気心知れた仲になりつつも、国内をじわじわ改革していった。
急に何もかも変えるのは反発が起こるが小さなところからコツコツ変化させていくならそこまで反対派も声を上げない。
草の根活動が功を奏したのか、結果として自分が公爵となり娘が産まれる頃には原作と比べてマシになったのだ。そうでなければ、王命で無理にイヴリエンヌと王子との婚約が結ばれていたかもしれない。
そうでなくとも、娘に一切寄り添わず、王子は照れ隠しをして素直になれないだけで君の事を愛しているよ、と言うだけのぼんくら親父になるつもりはなかった。
だって! うちの! 娘が! 世界一!! 可愛いッ!!
あんなのに嫁がせるくらいなら、うちを継いでずっと家にいてほしい。
それが、公爵の切実な願いであった。
原作のままだったなら、女が後継者になる事すら難しかっただろう。
学生時代に王に対してじわじわ意識改革させた甲斐があったというものだ。
原作だと王も復讐対象に入っていたので、最終的にこの国滅亡カウントダウンすらあったのだから、それを回避したという事で王子の初恋が粉々になったくらい広い心で許してもらいたいものだ。
原作では王子とイヴリエンヌが初めて会う時、失礼な態度をとってはいけない、と父にきつく言い含められていたからこそ、イヴリエンヌは反論できなかった。幼さ故に言い返したくもなっただろうに、それでも父親に叱られないように……とたった四歳の娘が頑張ったのだ。
だが、その頑張りが後の人生を大きく狂わせるのだから、それならば、と公爵は正直に答えていいからね、と事前に言っておいたのである。
王子が原作と異なり素直に気持ちを告白できれば、イヴリエンヌだってもしかしたら良い返事をしたかもしれない。
だが実際はそうならなかった。原作より暴言は控えめだった気がするが、それでも王子はやらかしたのである。
だからこそ、その恋を早々に打ち砕く事にした。
ここで公爵がそれでも娘に対して王子といる事を強いれば、原作コースまっしぐら。
自分は死にたくないし、妻だってそのせいで死なせるわけにもいかない。
何が悲しゅうて自分の娘に殺されなければならないのか。
あんな可愛い娘を人殺しにしたくはないし、自分も死にたくはない。
その一心で原作を変えるために、長い間コツコツと努力してきた甲斐があったというものだ。
これが一年二年程度の期間しかなければ難しかったが、自分が転生している事に早々に気付けたのはやはり大きい。
娘も無事に素敵な相手を婿にできたわけだし、自分たちの破滅ルートも回避できた。
(今日は一番いいワインあけよう……)
頑張った自分へのご褒美であった。
次回短編予告
婚約者には自分以外の愛する女性がいた。
自分よりも身分の低い娘。当然周囲が許すはずもない。
けれども、それでも彼はその愛が結ばれると信じ夢見ていた。
だからこそ、彼女が何者かに嫌がらせを受けていると知った時、彼が疑ったのは自身の婚約者だった。
次回 もうじき滅びる国の話
以前拙作の中で一番文字数の少ない短編ができたよー! って言ったばかりなのに、記録を更新してこのお話が文字数一番少ない話になりました。とってもショート。