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大鳳が伝えた物②

大鳳が伝えた物②


1933年3月。三陸地震に伴う津波により、多くの被害が出ていた。

被災後、本州最東端の地に打ち上げられているいる大きな船が発見される。

船首に菊の御紋がある事から、海軍の船である事が分かり、急ぎ海軍に通報された。


打ち上げられた大きな船は空母のようであったが、現在海軍の空母で行方がわからなくなっている艦はなく、海軍が中心となり調査が行われる事になった。

被災地では津波による被害からの復旧作業が行われている中、打ち上げられている空母の調査が行われた。


5ヶ所に魚雷の爆発によって開けられたと思しき破孔が開いており、その他にも爆弾の至近弾が爆発したような箇所も見付かった。艦内は海水に塗れており、一度沈没した事が窺えた。

これらの事から、この空母は戦闘により損傷し沈没した艦だと判った。


しかし、海軍はこんな空母は建造していないし、どことも海戦などしていない。

全くもって謎の空母であった。


内部の調査が始まり、遺体を発見する。まだそんなに日数は経っていないと判断された。


信じられない事に、判読可能な文字や文章からこの空母が11年後のアメリカとの戦争で沈没した、大鳳という空母だと判明した。

という事は、現在遺体の彼らはまだ存命中という事になる。遺品から個人を特定できる物もあったが、存命中であるのならば本人に通達はされず、遺体は手厚く葬られた。


判読できる書類は調査に回され、アメリカとの戦争について詳しく調べられる事になった。

軽く分かった事は、1941年12月から米英との戦争が始まり、1944年6月にマリアナ沖の作戦で記録が途絶えている事から、そこでの海戦で沈んだのだと推測できた。


日本は、欧米からの非難を受けながらも大陸に進出していた。

米英との戦争は、その延長線上ではと思われた。


艦の内外にある電装品や兵装、格納庫にあった航空機は貴重な物であり、艦本体含めて全てが調査解析の対象だった。

しかし大鳳は不安定な状態であり、本格的な調査解析は安定化工事の後とされた。


大鳳は破孔を塞ぎ応急修理を行えば、再び海に浮かべ設備の整った船渠まで運ぶ事が可能なのではないかと思われた。

しかし、ロンドン海軍軍縮条約を批准しているため、大鳳は条約違反の空母となってしまう。

船渠まで運ぶのは可能だったかもしれないが、断念され大鳳は隠蔽された。


不安定な大鳳の安定化工事と平行して、調査解体を容易に行うための建屋が建設された。

大鳳を覆う建物であり、多くの予算と人員が注がれる事になった。それに伴い津波で被災した地域の復興も進む事になった。


その間に、判読できた書類から、驚愕の事実が判明した。

ただでさえ11年先の未来から来た大鳳に驚いていたが、なんとその大鳳は2代目だったのだ。

既に1度過去に戻っており、多くの情報を伝えていたのだ。

そして、解体して出た大鳳の鋼材を鋳潰し、2代目大鳳を建造するのに使われたとの事であった。


大鳳についての書類がある程度残っていた理由は、もし大鳳が再び過去に戻るような事があった時のためだったようだ。

まさか本当に過去に再び戻るとは、2代目大鳳を建造した日本海軍も本気で思ってはいなかっただろう。


しかし2度有った。2度有る事は3度有るという。

海軍は大鳳の調査解体が終わったら、2代目の鋼材を鋳潰し再利用して3代目大鳳を建造する事を決定し、艦内に水密性の高い資料室を設ける事にした。


安定化工事が終わり、大鳳が水平になった事で解析調査が大いに進む事になった。

飛行甲板は厚く装甲化されており、複数の爆撃を受けた痕跡がある事から、装甲空母大鳳は設計の想定通り爆撃に耐えたのだと判明した。


空母の弱点である飛行甲板を装甲化し、多少の航空攻撃では継戦能力を失わせないという設計思想が窺えた。

しかし、格納庫が制限されてしまうため、搭載機数が減ってしまうという欠点も判った。


電装品は取り外され、調査解析に回された。

どの電装品も、現在の技術を大きく上回る物と予想された。


昇降機や着艦制動装置から、11年後の航空機は大型化し重量が増加する事が判った。


格納庫にあった機体は被弾損傷しており、修理されようとしていたようだった。

幸い修理に必要な機材は揃っているようで、全て運び出し完全に修復し可動試験や研究が行われる事になった。


口径が10cmの高角砲は、次代の高角砲であるとして研究された。


船体の構造は

参考にされ、今後の空母建造の参考にされた。


大鳳がもたらしたものは多く、個別に研究解析が行われていく事になった。

日本は11年後の技術、もっといえば初代大鳳から続く技術を継承した事になる。

さらに、新型空母を1隻建造し、それを標的艦にしたに等しい情報を得られたのだった。


もちろん、1941年12月から始まるという、米英との戦争の情報も重要だった。

米英と戦争をするなど、いったいどのような状況に陥っていたのか、やはり大陸進出が原因なのではないかと推測された。

可能なら戦争回避に努めつつも、海軍は対米英戦争に備えていく事になった。

お読みいただきありがとうございます。

評価やリアクションありがとうございます。


ようやく航空機の情報が伝わりました。史実の大鳳はどうやら空っぽだった可能性が高いようです。最初それを知らずに書き進めていて、一から書き直す羽目になってましたw

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― 新着の感想 ―
史実とあまり変わらなくてしょんぼりしたまま、これからは大鳳がそうなった過程を違う視点で振り返っていく構成なのかなと思っていたらまさかの3周目突入していて思わず笑いました。
また戻ってしまったのか・・・
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