開戦から大鳳竣工
開戦から大鳳竣工
海軍はアメリカとの戦争を覚悟し、漸減邀撃作戦を練っていた。
しかし、いざ開戦前になると連合艦隊司令長官がハワイ奇襲を提案。空母6隻を使った真珠湾攻撃を行う事が決定してしまう。
宣戦布告と同時に奇襲攻撃を仕掛ける事となり、海軍は急な方針転換に困惑しながらも作戦を遂行した。
結果として、宣戦布告前に攻撃してしまったが、戦艦を始めとする米艦隊に大打撃を与える事に成功する。残念ながら、そこに空母の姿はなかった。
連合艦隊司令長官としては、緒戦で米海軍にに甚大な損害を与えれば、アメリカの方から講和を申し出るのではという考えがあった。
しかし実際は「真珠湾を忘れるなっ!」を合言葉に、米国民の戦意は高揚してしまい、早期講和は実現しなかったのである。
とはいえ、米艦隊を当面の間は行動不能に陥らせる事に成功したのであった。
マレー沖海戦でも英戦艦を沈めており、戦艦が航空機で撃沈可能であると証明してしまう事にもなった。
その後、日本は快進撃を続け東南アジアを占領していった。
そんな中、1942年4月。米爆撃機B-25による帝都空襲を受ける事になった。
これにより、ミッドウェー島を占領する作戦が立案される事になる。
米空母を誘引撃滅する意味でも、ハワイを警戒する意味でもミッドウェー島攻撃は実行に移された。
1942年6月。ミッドウェー海戦が生起する。
日本の空母は、大鳳がもたらした技術情報により、大鳳がいた世界よりも性能が良かった。
しかし、どんなに性能が良くても運用を誤れば敗北する。
日本の機動部隊は、アリューシャンに戦力を分散しミッドウェーの戦いに臨んだ。
戦力を分散した時点で怪しいが、それでも空母の数は優勢である事から実行された。
日本の機動部隊がミッドウェー島を空襲。
米空母は見付からなかったため、第二次攻撃は陸用爆弾に兵装転換する事に。兵装転換していたら米空母を発見してしまう。また対艦用に兵装転換を行う。
結果艦内は、そこらじゅうに爆発物が転がる状態になってしまっていた。
そこへ、ミッドウェー島を攻撃していた味方機が帰艦したり、米軍機の攻撃が加えられ続ける事になる。間が悪すぎである。
米軍機の来襲が始まってからは無線封止を解き、電探を作動させ米攻撃隊を捕捉し始める。
米攻撃隊に対し直掩機の零戦が迎撃し、空母は爆弾や魚雷をかわし続けるが、やがて被弾してしまう。
爆弾や魚雷といった爆発物が大量にある状態での被弾であったため、致命的な打撃となってしまった。
生き残った1隻の飛龍が反撃し、米空母1隻を撃沈する事に成功する。
しかし、飛龍は米攻撃隊の攻撃を受け飛行甲板を損傷し、これ以上の戦闘は断念された。
この海戦で日本は3隻の空母を失い、1隻の空母が損傷。さらに多くの熟練搭乗員を失ってしまう。
対するアメリカは、1隻の空母を失い、多くの搭乗員を失う事になった。
ミッドウェー海戦は、日本にとって問題が多かった。
珊瑚海海戦の戦訓が生かされておらず、急降下爆撃対策や索敵機の不足が改善されていなかった。
アリューシャンへの戦力分散や、米空母が目的なのかミッドウェー島占領が目的なのかはっきりしない目的も問題だった。
戦艦大和が米空母の電波を傍受し、それを機動部隊に伝えなかったのも問題で、度重なる兵装転換による爆発物の散乱も問題であった。
いくら大鳳によりもたらされた技術により、空母の性能が向上していても、使う側の人間が運用を誤れば結果は伴わない。
しかしながら、大鳳が元いた世界と違い、飛龍が生き残ったのである。
電探のおかげで米航空隊の損害が増しており、飛龍の防空戦闘も電探を使い効果的に行えた。
それが大鳳が元いた世界との違いを生んだ。改善されたのである。
ミッドウェー海戦後、戦いの場はソロモン諸島へと移っていく。
南太平洋海戦では飛龍が復帰しており、海戦の結果は米空母を2隻撃沈している。飛龍と隼鷹が奮戦したのであった。
しかし、熟練搭乗員を多く失う結果となっており、ガダルカナル島の飛行場は奪還できずに終わってしまう。
第三次ソロモン海戦では、電探を使った夜戦が行われ、一度目は混戦の結果痛みわけとなり、一旦撤退する。日本の戦艦部隊は護衛の空母2隻に護られ、追撃の航空攻撃をどうにか凌ぎきる。
再度ガダルカナル島への攻撃を計画し、二度目の夜戦が発生。米海軍は新型戦艦を投入し、戦艦の性能差で日本は敗北している。
今回の海戦では、相応に米艦隊に損害を与えているが、米新型戦艦と日本の旧式戦艦とではいかんともしがたい戦力差があった。
日本軍はソロモン諸島で消耗していき、米軍にも損害は与えているものの、日本軍の損害の方が多かった。
絶対国防圏が策定されるも海軍は従わず、さらに消耗していく事になる。
1943年10月。大鳳竣工。
予定より2ヶ月早められた竣工であった。
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