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終戦

終戦


1945年7月。マリアナ諸島では米上陸部隊との戦闘が続いていた。

守備隊は防衛に成功しており、飛行場を奪われたとしても使用されないように砲撃を加えるなどして妨害していた。


日本では第二次マリアナ沖海戦で損傷した空母の修理が急がれ、マリアナ諸島救援のための機動部隊が準備されていた。

日本の空母は離着艦不能になった段階で退避した艦ばかりであったため、短期間での修理が間に合い戦力を整える事ができたのだった。


対するアメリカは、第二次マリアナ沖海戦で正規空母を執拗に攻撃され、正規空母は一旦全滅していた。

新たに就役した正規空母がマリアナ攻略部隊に参加していたが、さすがにその数は少なかった。

米軍としては早期にマリアナ諸島を占領し、現地の飛行場を利用していく予定であったが、攻略に手間取り予定が完全に狂ってしまっていた。


1945年8月。マリアナ救援作戦が行われた。

日本機動部隊は米マリアナ攻略部隊の後方拠点である、マーシャル周辺海域の島嶼や環礁を攻撃した。

米拠点の破壊後、日本機動部隊は分散し、周辺海域を航行していた輸送船や護衛空母など艦艇を撃破していった。


日本機動部隊は、米マリアナ攻略部隊の補給を一時的に断ち、増援が来ない米攻略部隊を叩く作戦を立てていた。

しかし、米マリアナ攻略部隊は後方を攻撃された事で、時間切れを認識し即座に撤退に移ったのだった。

日本機動部隊がマリアナ近海に到着する頃には、米攻略部隊の姿は見えず、捜索するも空振りに終わってしまった。


日本機動部隊は次善の策に移る事にし、マーシャル奪還作戦を行った。

こちらも米軍拠点はもぬけの殻になっており、その決断の早さに舌を巻くのであった。


そんな中、ドイツに核兵器が使用された。

ドイツは政府中枢との連絡が取れなくなり、一時的に混乱した。

ドイツ政府首脳が行方不明になった事から、ドイツ軍高官が後を引き継ぎ、連合国に停戦を申し入れた。


ドイツ軍は前線では通常通り戦っていたが、本国に核兵器が使われ、ドイツ総統始めナチス高官が行方知れずとなったため政権が瓦解し、軍高官が代理となり米英に降伏したのだった。


米英は本来ならマリアナ諸島を攻略し、日本への戦略爆撃と共に日本本土で核兵器を試す予定であったが、マリアナ攻略は難航し長期化してしまい、日本の反撃を招くまでになって断念された。

しかし、結果的に欧州の戦争は終結し、残すは日本のみとなった。


ドイツが降伏した事でソ連が動き出し、旧領土奪還のためソ連軍は西進した。

ドイツは降伏の条件であった占領地からの撤退を開始しており、ソ連は妨害を受ける事無く進軍していった。

しかし、ポーランドに迫ったところで米英から待ったがかかり、ソ連はウクライナを奪還したところで足を止める事になった。


日本ではマリアナ諸島から米軍を撃退した事に沸いていたが、ドイツが新型爆弾により降伏した事で内閣が総辞職し、新体制へと移行した。


日本は米英に講和を申し入れたが条件が厳しく、容易に受け入れられる内容ではなかった。

条件は大まかに、東南アジアと大陸からの撤退だった。


新体制になっていた日本政府は、この条件を呑むかどうかで意見が分かれ、決定は御前会議の場にもつれ込んだ。

御前会議で天皇の意向を汲み、講和の条件を呑む事が決定した。


日本は東南アジアから武器を遺棄しながら撤退し、大陸からはソ連に領土を奪還されないよう、米英軍と入れ替わる形で撤退していった。

東南アジアに遺棄された武器類は、現地勢力がたまたま拾い独立運動のために活用されていった。


1945年9月。第二次世界大戦が終結したのであった。

日本は大陸利権と半島の領土を失ったが、ソ連の脅威を取り除くという戦争目的は果たしたのであった。


日本は戦中の債務によりインフレと大増税に苦しむが、中国で国共内戦が起こっており、武器を輸出し食糧や資源を輸入する事で持ち堪えていた。

国民党に輸出する武器は、戦中こそ旧式化した兵器であったが、日本が大陸から撤退して以後は最新兵器も輸出していった。


日本は大陸に足がかりがなくなった事から、陸軍はおとなしくなっていった。

独断専行で勝手に戦争を出来なくなったのであった。


米英は満州や沿海州、朝鮮半島を開発するため位置的に距離の近い日本を利用するようになっていった。

これにより日本海側が工業地帯となり、日本は潤っていくのだった。


世界はアメリカ一強の体制となり、新秩序が構築されようとしていた。

しかしそれは、ソ連が核兵器を保有するまでの話だった。

力を取り戻しつつあったソ連はアメリカと対立し、世界は東西に分かれての冷戦構造になっていった。


日本は抑止力としての核兵器を求め、4番目の核保有国となった。

核を保有した事で軍縮が進み、予算を国内に回す事ができるようになっていった。


日本は核を保有し、国連に加盟。

国連は、常任理事国が米英仏であった。

日本は反共産主義であるため、一応米英の陣営に入っていた。


ソ連から援助を受けていた中国共産党は国共内戦に勝利し、国民党は米英が領有していた満州へ撤退していった。

その後ベトナム戦争が起こり、日本は戦争特需により経済成長していった。


核保有国が増えた事で、大規模な戦争は起きなくなったが、各地で代理戦争は起きる世界が続いた。


やがて東西で電子機器等の技術格差が広がっていき、冷戦構造は終わりを迎えた。


日本は、広大な領海と高い軍事力を保有する国として、自主独立を保ち続けたのだった。

お読みいただきありがとうございます。

評価・リアクションありがとうございます。


IFルート。ドイツ首脳陣は核爆弾で狙われていたが、イギリスの情報にない行動を急遽総統が行い、奇跡的にドイツ首脳陣が助かる。核攻撃への報復として、飛行爆弾を運用する潜水艦による毒ガス攻撃を北米東海岸へ行う。この潜水艦は、日本との技術交換でもたらされていたイ400型潜水艦の情報を基に建造された。核爆弾と毒ガスの報復合戦になり、米独は甚大な被害を被る。その後停戦となり、日本も米独の被害を見て講和の条件を受け入れる。世界経済は低迷する戦後となる。

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― 新着の感想 ―
ウラン核分裂かプルトニウム核分裂かで原子炉などの前提が違ってくる
IFルートの方が魅力的w
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