72.森へ出発!! 変な魔獣さん達
「お、しっかりバンダナを付けて来たな」
「印は大事だからな」
「おはよ、ございます!!」
『おはよう!!』
「ミルくんが、おはよっていってるよ」
「そうかそうか、おはよう! 今日はよろしくな!!」
「おはよう」
今日は森へ行く日。一緒に行くのは、パパとママと、ライアンおじさんにオルドールおじさん、それからトロイです。
森のどこに行くかは決まっていて、前に木の実を採った所にはいきません。同じ場所の木の実ばっかり採っちゃったら、すぐに木の実がなくなっちゃうし。
森に住んでる魔獣さん達が、ご飯がないって困っちゃうでしょう? だから前に採りに行った場所には行かないんだぁ。
ちゃんと僕のカゴ車を荷馬車に乗せて、それから順番に荷馬車に乗って。森に出発!!
「しゅっぱつ!!」
『出発!!』
今日木の実を採る場所には、お家から門まで行くのと、森に行くの合わせて、1時間30分くらいだって。
だから僕とミル君は、お家の門を出るまでは、魔獣園の魔獣さんに朝のご挨拶をしながら。門から出て木の実を採る場所に行くまでは、ミル君に僕の荷物を見せてあげるんだよ。
それでね、ちょっと変な事があったの。朝、魔獣さん達にご挨拶をすると、いつもみんなニコニコ、僕に挨拶してくれるのに。今日は最初はニコニコ。でもその後すぐに僕じゃなくて別の方向を見て。キッ!! って睨んだり、ぶすっとしたり。しら~って感じのお顔をしたんだ。
変なのぉって思いながら、魔獣さん達が見ている方を見ても何もなくて。時々ミル君は居たけど。ミル君は僕の周りをずっとフラフラしていたから、たまたま魔獣さん達が見ていた方に、ミル君がいたと思うんだ。
みんな、何を見ていたんだろうねぇ。それにね、この前みたいに、悪い魔獣さんが来た時のキッ!! って睨みじゃないの。うんとねぇ、ちょっとイラッとしてる感じのキッ!!
だから僕、明日もみんなが睨んでたら、何で睨んでるか聞いてみようと思いました。もしかしたら困ってる事があるかもしれないでしょう? ほら、芋虫さんのくさ~い泥みたいに。みんなの困ってる事、僕が解決してあげるんだ!!
『えへん! 僕はアルフの家族だぞ!!』
ミル君が門を出る前に、ちょっと力の入った? 独り言を言いました。
「ミルくん、なんていったのぉ?」
『みんなに、美味しい木の実を採ってくるよ、って言ったんだ!!』
「そか! ぼくも!! みんな!! おいしいきのみ、まっててください!!」
僕がブンブン手を振ったら、近くにいた魔獣さん達が、行ってらっしゃいをしてくれました。
その後少しして、森の中に入って。その後はずっと森に中を移動。僕はミル君に僕の荷物を見せてあげて。手袋でしょう、スコップでしょう、物を挟む道具でしょう。今日は色々な物を持って来ています。
だって木の実を採った後は、宝物を探すんだもん。それには道具が必要。だから必要な道具を、ちゃんと全部持って来たよ。
『そうだ!! 僕が匂いを嗅いで、何か見つけたらすぐにアルフに教えるね!!』
「うん!! いっしょにさがそ!!」
『前はどんな物見つけたの?』
「えとねぇ、くまさんみたいないしとか、おほしさまみたいに、キラキラひかってるいし? とか……」
ミル君と一緒で楽しくて、ずっとお話ししてた僕とミル君。いつの間にか今日の木の実を採る場所に着いてました。もう1時間30分も経った?
「ほら、アルフ。みんなが待ってくれてるぞ!!」
荷馬車の前に乗っていたパパがそう言ったから、僕は急いでパパの所に。それでパパに支えてもらって前を見たら、ちょっと向こうに、いっぱい魔獣さん達が待ってくれていました。
「こんにちはー!!」
僕が手を振りながら挨拶したら、集まって待ってくれてた魔獣さん達が、一斉に鳴いて、こんにちはって。
「あいかわらず集まってるな。この様子だ、あっちの方もいつも通りか?」
「そうだろうな」
「しまったブルーノを連れてくるべきだったか?」
「隊長、別に大丈夫だと思うぜ?」
「今回はアルフとミルのことがあるからな。魔獣達が集まりすぎるかもしれない。それを注意するにはブルーノの力が必要だった」
「確かに」
「あ~、そうか。まぁ、どうにかなるんじゃないか? この現象は今に始まった事じゃないんだから」
「それはそうなんだが。それでもなぁ」
パパがミル君の方を見たよ。パパ、どうしたのかな?
集まってくれていた魔獣さん達の前で荷馬車は止まって、荷馬車から荷物を下ろしながら。途中で僕も荷馬車から降りて、すぐに魔獣さん達の前に。今日もいっぱいの魔獣さん、たぶん50匹くらい集まっていました。
あのね、僕が森や林に来ると、森や林に住んでいる魔獣さん達が、いつも集まってるんだ。初めて来た時からずっとだよ。僕が来ないで、パパ達だけの時は集まってこないみたい。どうしてかな?
「こんにちは!!」
『『『こんにちは!!』』』
「きょうはマツボックとカーキをとりにきました!!」
『よく来たな、アルフ。いつも通り元気か?』
もう1回ご挨拶をして、それから今日何をしに来たか言ったら。いつも来てくれるペガサスさんが前に出て、お話ししてきました。
ペガサスさんは、この森を守ってくれていて、森に住んでいる魔獣さん達も守ってくれている。とっても素敵なペガサスさんなんだよ。前にパパとママに教えてもらったんだ。
「うん! げんき!」
『そうか、それは良かった。今日も森でゆっくりしていってくれ。それからマツボックとカーキだが。ちょうど俺達の所にあったから、少し持ってきたんだ。余っている物だから、持っていって良いぞ』
ペガサスさんの後ろから、ゴリラに似ている魔獣さんのゴーリーさん達と、猪に似ているイノシさん達が、持ち上げたり転がしながら、マツボックとカーキを僕の前に持って来てくれました。
「わぁ!! いっぱい!! ありがとございます!!」
ミル君に頭から降りてもらって、僕はしっかりありがとうをします。魔獣さん達はニコニコ、どういたしましてって。でも、なんか森の魔獣さん達も、魔獣園の魔獣さんみたいに、ちょっと変だったんだ。




