54.ちーちゃんは絶対に守るよ、アルフ今までありがとう(お兄ちゃんモルー視点)
『じゃあ、そろそろ探すか!』
『うん、そうだね』
『じゃあ最初は、俺とお前と……』
『ちーちゃんとお前はここに居ないとダメだぞ!』
『ここで僕達の事待ってて』
『動いちゃダメなんだからな、とっても大切なお仕事なんだぞ』
『うん! ちーちゃん、おちごとがんばりゅ!!』
『ここでしっかり待ってようね』
順番にお昼寝をして、みんな元気いっぱい。もう1回木の実を食べて、これからまた順番に、壁の中に入るための穴か隙間を探しに行くんだよ。
でもちーちゃんは小さいからここで待つ係なんだ。だってちーちゃんは1番小さいんだもん。探すのは僕達のお仕事だもんね。
それから僕は、最初はちーちゃんと一緒に待ってる係。最初から僕が居なくなっちゃうと、ちーちゃんが寂しくなって、不安になって泣いちゃうかもしれないから。でも次はちゃんと僕も探しに行くよ。
うんとここは、シマウの声が聞こえる場所。僕達の小屋からシマウ達のお家までは、ちょっと遠い。もし中に入れても、ちーちゃんには頑張って歩いてもらわないと。でももし疲れちゃって進めなくなっちゃったら、僕がおんぶしてあげなくちゃ。
そのためにも、もう少し元気になっておかなくちゃ。みんなを待っている間、木の実をもう1つ食べても良いか聞いてみよう。
僕は探しに行こうとしている1番お兄ちゃんモルーに、木の実を食べても良いか聞いたよ。そうしたら2個も食べて良いって。
『おにいちゃ、ごはん?』
『うん、もう元気だけど、もっと元気になるんだ!』
『ちーちゃは……、ちーちゃも。もっちょげんき! いっちょたべりゅ!』
『うん。じゃあ半分こしよ』
1個ずつ食べようって、ちーちゃんに木の実を渡して。2匹で木の実をひと齧り。それから1番のお兄ちゃん達が歩き始めようとしました。
でもその時、魔獣園の魔獣達みんなが、いきなり鳴き始めたんだ。僕達はみんなビックリ。行こうとしていた1番お兄ちゃん達が戻って来て、みんなで1カ所に固まって魔獣達が何て言って鳴いているか聞こうといました。
だけどみんなが一斉に大きな声で鳴いているから、最初ぜんぜん分からなくて。ちーちゃんが怖くなって、目に涙が溜まっちゃったよ。
『おにいちゃ……』
『大丈夫、大丈夫だよ。お兄ちゃん、絶対にちーちゃんと一緒にいるからね』
『うん……』
『良いかみんな、体に巻いたか!!』
『『『うん!!』』』
ちょうど僕達が居た壁の所。大きな草が生えていて、葉っぱが大きな草でね。それから長いツルがぐるぐる何本も生えていたから、隠れるにもちょうど良かったんだ。
それにツルを体に巻いてしっかりと縛れば、もし離れ離れになっちゃっても、ここに戻って来れるから。みんなでしっかりと縛りあったよ。
『よし、良いか。みんななるべく動くなよ。それから……』
1番お兄ちゃんが話している時でした。やっと魔獣さんが何て言っているか聞こえたんだ。でも、それを聞いて僕達はまたまたビックリ。
『ワイバーンが来てる!?』
『ワイバーンって、ワイバーン!?』
『グーちゃんやグリちゃんがやっつける、とっても強いワイバーン!?』
『でもお父さん達は、ワイバーンは近くにはいないって言ってたよ!』
『た、大変、でもワイバーンが来ちゃったんでしょう?』
『お、おにいちゃ!?』
『大丈夫、大丈夫だから!!』
僕はちーちゃんを抱きしめました。それから魔獣さん達の話している事を、もっとよく聞きます。今どの辺を飛んでいるとか、みんなの攻撃の準備をしろとか、あっちに行ったぞとか。
色々な事を話していたけど、でも大切な事を聞き逃さないように、みんなで頑張って話しを聞いたんだ。
でも少しして、向こうの方から大きな鳴き声が。
『グギャアァァァ!!』
『ギャオォォォ!!』
『グアァァァ!!』
あれってワイバーンの鳴き声!? 1匹じゃない、3匹も居る!? 僕1匹だと思っていたから、またビックリしちゃいました。だって強いワイバーンが3匹も。
でもでも大丈夫だよね。この魔獣園には強い魔獣さんがいっぱいだもん。だからすぐに倒してくれるよ。そう思いながら、ちーちゃんを強く抱きしめた僕。
更に近くで鳴き声が聞こえた瞬間、ズジャアァァァッ!! バシイィィィッ!! 色々な音がして、強い風が吹きました。魔獣園のみんなが攻撃を始めたんだ。それで強い風が吹いたの。
『みんな葉っぱに掴まれ!!』
1番お兄ちゃんの声で、みんなが葉っぱに捕まります。どんどん激しくなる攻撃の音。それぞれの相手を威嚇する鳴き声。それですぐに1匹のワイバーンのやられた鳴き声が聞こえて。あと2匹!! って、みんなで応援しながら、葉っぱに捕まっていました。でも……。
1番嫌なことが起こっちゃったんだ。ワイバーンの1匹がなんと僕達の方へ来ちゃって、ただ僕達は小さいからワイバーンは気づいていなかったんだけど、でも僕達の周りで攻撃が始まっちゃったの。
『おにいちゃ!!』
『ちーちゃん!?』
一瞬だったよ。ちーちゃんが飛ばされちゃって、ツルで途中で止まったんだけど。でも落ちた時に思い切り地面にぶつかって、ちーちゃん動けなくなっちゃったんだ。
僕は急いでちーちゃんの所に走ります。そしてちーちゃんの所について怪我を確かめようとしたんだけど。
向こうからワイバーンが僕とちーちゃんの方へ飛んできたんだ。僕はちーちゃんを守るように、ちーちゃんに覆い被さって。ちーちゃん、ちーちゃんだけは僕が守るからね。絶対に守るからね。
アルフともう1度会いたかったなぁ。僕とちーちゃんの大好きなお友達のアルフ。アルフにもう1回抱っこして貰いたかったなぁ。アルフ、今までありがとう!! ちーちゃんのことよろしくお願いします。
なんかゆっくり飛んでくるように見えるワイバーン。それでももう、僕の目の前までワイバーンは飛んできていて。僕は目を閉じました。
「モルーおにいちゃん!! ちーちゃん!!」
アルフの声が聞こえた気がしたんだ。




